Number.18 今回だけだからな
「ハイフィス......」最悪のタイミングで来てしまった。
今回の目的とやらが気になるところではあるが、とりあえず腰をおろしてほしい。
向こうのデセアトに見つかってしまうではないか......それならそれでいいのかもしれないが。
「私の用があるのは...そこのお前だ。」指が向いているのは、赤髪の少女。
フィティ......どうやら彼女が目的らしい。
彼女自身、心当たりがないようで困惑した表情をしている。
「君には、私たちと共にペリセデューへ来ていただく」ハイフィスが、彼らの周囲を漂う眼球のような物体に視線を向けたことに、その時は気づかなかった。
「ペリセデュー......?」その言葉を聞いたのは初めてだった。来ていただく、ということは街の名前とかなのだろうか?
どちらにせよ...「彼女をおとなしく渡すつもりはない」と、腰をおろしたまま剣を抜いた。
「ま、そうだろうよ」そうなるとは分かっていた。だからこそ念入りに作戦を考えておいたのだ。
赤髪の少女を、確実に捕まえる作戦を。そのためには、とにかくミナトは邪魔だ。
しかしミナトは腰を上げない。赤髪の少女から離れる素振りを見せない。
なんとか引き離そうと思ったが......一旦、後回しになってしまった。
ハイフィスはまだ気が付いていないようだった。面白そうだからもう少し放っておいてもよかったが、これ以上は命が危ない。
「ハイフィス......だめだ、いったん中止」
「はぁ?何を言っているスドキヨクル。なぜ......」
「ん。」まだ、まだ気が付かないハイフィスのために、指をさして教えてあげることにした。
「......げ!」ハイフィスの隣に立つ魔法使いが指さした方向を見てみるとやはり、そこにいたのはデセアトだった。
いつ見ても変わらない無機質な見た目に、手に携えた無機質な武器。
ハイフィスたちが見つかったんだろう。大勢で堂々と立っていたから......
やはり奴らは、容赦のなさも相変わらずであった。
こちらを認識するなり、こちらに向かってその引き金を力強く引いてしまった。
「うっ...」無駄だと分かってはいたが、とっさに剣を自身の前に構えた。
死への恐怖から、思わず剣から目を背けてしまった。
カキンッという音が鳴り、撃ち出された銃弾がこちらに当たることは無かった。
ほ、本当に......?何とかなったのかと、信じられない気持ちで剣を見てみた。
目に映ったのは自分の剣......の先にある剣。
誰の剣か?それは、剣の元を辿れば簡単に分かった。「ミナト......!?」
ハイフィスを救ったのは、彼が構えた剣。ではなく、天に掲げたこちらの剣だった。
銃弾の軌道を邪魔するように配置された剣は、見事に思った通りの働きをしてくれた。
「今回だけだからな!ハイフィス君!」
見つかってしまえば仕方がない。重い腰をゆっくりと上げることにした。




