Number.17 行くしかないだろう
「ふーん...ってことは、俺らの活躍をこいつに見せてやればいいってわけですね?」
仲間の一人が、眼球のような"使い魔"をツンツンとつついた。使い魔は嫌そうに"眼"を細めている。
「ま、そういうことだ。やはり......狙うならあいつらだろう。」
「えぇ~二回とも負けてるじゃないですかぁ...勝てる見込みがあるんですか?」
「ふふ...残念だったな。もう奴らの位置はおおよそスドキヨクルが見つけてしまっているんだ。こうなれば行くしかないだろう!」弱腰になっている仲間の背中を無理やり押しながら、ミナト一行のいる方向へと進んだ。
「デセアトが待機している建物がある、そこで武器を奪ってきてくれ。建物の位置までは、こいつが案内してくれる。」ハスファドの言葉を思い出しながら、先頭を歩く男の背中を見つめる。
「随分、遠いんですね。」返事はない。先程からずっとこんな感じだ。こちらから話しかけても、返事どころか頷きもしない。あの生真面目の方が、まだ愛想良かった。
「......てかさ、」ミナトが思い出したかのようにこちらに目を向けた。
「シスクトお前...イルマさんのこと嫌いなのか?」
ミナトとしては、純粋な疑問だったのだろうが......「別に。......」思わず目を背けてしまった。
にぎやかな街に囲まれた、美しき城。
幼い身体が、無限に続くように思わせた広く長い廊下。
走りまわる姿を見守るのは、母と...父と...数名の家臣...
そして、兄のように慕っていた......
「"イルマ"......あいつは...」
「あそこです。」シスクトが言い切る前に、どうやら到着したようだ。
見てみると、なるほど確かにそれらしい建物がある。
無骨で、倉庫のような見た目の建物が、荒野にポツンと佇んでいた。
と言っても、数体のデセアトが警備を務めているようだが。
「あそこから......しかし、あんなところを襲えば大事になるのでは......あれ?」
気付いた時には、案内をしてくれた不愛想は姿を消していた。
あとは自分たちでやれってことか......特別期待していたわけではないが、若干失望してしまった。
「......どうしたもんかね...奴らに"色仕掛け"は通用しないだろうし。」シスクトがチラッとこちらを見た。
「......」呆れてものも言えなかった。
「あそこ......隙間空いてるな。よし、シスクト、覗いてきてくれ」
「えぇ?!お、俺!?」ミナトに突然指名され、虚を突かれた気分になった。
「お前がこの中で一番足早い!ちょちょっと様子見て帰ってこい!」
「バカ言え!見張り居るじゃねぇか!!」
「安心しろ死なせはしないから!」
「何言っ......て!?」そんな言い合いをしている最中、自分とミナトとの間を何かが駆け抜けていった。
「レーザーか......!」間を抜けたレーザーは、岩にぶつかって消えた。
「随分と仲良さそうじゃないか?ええ?こんな岩陰に隠れて......」
その声のする方向を振り向いてみると、やはりか...ハイフィスたちがこちらを見下ろしていた。
レーザーを放ったのは、ハイフィスの隣にいる男だろう。彼の手がバチバチと放電している。
「あいにくだが......今回の目的はお前ではないんだ...」
ハイフィスは不敵に笑いながら、腰の剣を抜いた。
トリオウス王国
かつて存在していた大国。人類の半数以上がそこに住んでいたといわれている。
魔王によって真っ先に滅ぼされてしまった。




