本当になる文
中学2年生の朝比奈 湊は、小説投稿サイトで無名の作家として活動していた。
湊の小説は自由奔放だった。その日あった出来事を小説に書く、それだけだった。
しかし、湊には友達がいなく、学校では目立たない存在だった。
でも、文章では自分の感情を文字で表せる。だから自由奔放なのだ。
ある日、湊はふざけ半分で「翌日、先生は倒れた」と書いた。
その日、湊は数学で指名され、問題を解かされることになった際、黒板の前でチョークをもったまま固まった湊を見て激怒したのだ。
「何してるんだ、時間の無駄だ。さっさとしなさい!」
「わからない」の一言も言えず、ただ立ち尽くしていた。そんな私を見て苛立っている先生を見て湊までイライラしてきて、ついそんな不謹慎なことを書いてしまった。
次の日、先生は本当に倒れた。
「先生?先生!!」
「救急車呼んで!誰か!」
騒然としていた教室で、唯一湊だけが笑みを浮かべていた。
その日の夜、湊はまたふざけ半分で「幼馴染が転校した」と書いた。
数日後、本当に湊の幼馴染が、父の転勤によって転校した。
湊は気づいた。自分が書いた小説は、現実になると。
湊は内心嬉しく思っていた。数日間、自分の欲望を満たすためにたくさんの小説を書いた。
「テストの点数が満点だった」
「僕と結衣は両思いだった」
「嫌な思い出がなくなった」
たくさんの欲望を叶えた数日後、異変が発生した。
「君、転校生?」
クラスメイトに突然言われた。「いや、元からいます」と冷静に答えたが、後から考えると何か月も一緒に過ごしてきて、忘れるはずがない、湊からは違和感が離れなかった。
その他にも、家族写真に湊だけがいなかったり、子供の頃の思い出が曖昧になったり。
何より、日に日に湊の体は透けてきていた。
「朝比奈...湊。」
僕の名前って、こんな漢字だったっけと、違和感を覚える回数が増えていくのを実感していた。




