「制作中」
死ぬのが怖い。
なぜ死ぬのが怖い?何もなくなるから?辛そうだから?
死ぬのが怖くない。
なぜ死ぬのが怖くない?未練がないから?諦めてるから?
そんなの、自分自身にしかわからない。
だからこそ、自分自身に問いかけながら、今回の作品を作りました。
404夏の第一作目です。
「人は、忘れたものから順番に失っていくんじゃない。
失ったものから、忘れていくんだ。
だからもし、明日になって僕の名前を思い出せなくても
この文章を読んで、誰かが少しだけ胸を痛くしたなら
それだけで十分だ。
十分すぎるくらい。
僕は昔、誰かになりたかった。
特別な人になって、たくさんの人に覚えられて、死んでも残る何かを書きたかった。
でも気づいた。
残るって、名前が残ることじゃない。
救われた人がいるなら、
笑っている人がいるなら、
その理由が僕じゃなくても、
それはきっと――
存在したってことと同じだから。」
窓の外で、雨が止んでいた。
いつから止んだのかは分からない。
部屋にはキーボードを叩く音だけが響く。
カタ、カタ、カタ。
書くたびに思い出が減っていく。
母さんの声。
小学校の帰り道。
好きだった曲。
初めて名前を呼ばれて嬉しかった日。
消える。
でも、不思議と怖くない。
「たぶん、人は終わる瞬間じゃなくて、
終わるまでの途中を怖がる生き物なんだ。
もう途中じゃない。
だから、最後を書く。
これは誰かを救うための物語で、
そのために作者が消えるだけの、
ありふれた結末だ。
そして――
僕という人間は、
ここで制作を終了する」




