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ファンタジーおふざけ短編集  作者: まにゅまにゅ


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9/11

9 光の剣

 俺達が光の剣を売るためにやって来たのは魔法道具の専門店だ。鑑定書はあるし、大丈夫だろう。


 ここは貴族なんかも来たりする。御守り用の護符だけじゃなく、魔法を秘めた宝石なんかも扱うからな。


「すいません、買い取りをお願いしたいのですが」


 俺はカウンターの奥にいる店主に話しかけた。


「あ、はーい。すぐに行きますね」


 ここの店主は女性で、結構若いねぇちゃんだ。OPもでかい。


「この光の剣なのですが。鑑定書もあります」


 俺は光の剣をカウンターに置いた。すると、横からちょっと太り気味の男が口を挟む。


「待ち給え。今光の剣と言ったな。ならばその剣、この私が買い取ろうじゃないか。さぁ、鑑定書を私に見せてみろ」


 うーん、なかなか良い服を着ているな。もしかして貴族か?


「はい、どうぞ」


 俺は鑑定書を渡す。念のためウッテン・ヤンヨーの名前のところは破いて捨てた。言い訳なんてどうとでもできるからな。


 男は鑑定書を手に取ると、光の剣に重ねた。すると鑑定書が淡い輝きを放つ。


「なるほど、本物のようだ。よし、この私が金貨20枚で買い取ろう」


 男は鑑定書が本物であることを確認すると、俺達に金貨20枚を提示する。


「よし、売った!」


 金貨20枚なら十分だ。

 商談が成立し、俺は金貨20枚を受け取った。今日はご馳走だ!


 俺達は大喜びで店を後にした。


    *    *    *


 太った男の名はカッチャー・ジコール男爵。珍しい魔法道具のコレクターである。


「おかえりなさいませ、旦那様」

「うむ」


 カッチャーは屋敷に帰ると、早速中庭へ向かう。そこには試し切り用の甲冑が置いてあり、よくそこで斬れ味や魔法道具の威力、効果を試していた。


 カッチャーは早速甲冑の前に立つ。


「ブフォフォフォフォ。この何でも焼き切るという光の剣の威力、是非試さねばなるまい。いざ!」


 カッチャーがスラリと剣を抜く。光の剣は鞘に入ってはいるが、剣先はない。鞘に収まっていたところは光を出す部分である。


 カッチャーが剣を抜くと、その柄から強い光が発せられた。その光は真っ直ぐと延び、剣となる。


「目があああああっ!」


 あまりに強い光に目をやられ、剣をブンブン振る。光の剣は、甲冑に当たると甲冑をバターのように焼き切った。 


「「「め、目があああっ!」」」


 さらに周りにいた騎士達も目を灼かれ、視力を失う。


 これは相当な熱量である。そして同時に、それだけの熱量を生む光である。そんな光を至近距離で見れば、失明するのは当然であった。


 カッチャーは目をやられたことで平衡感覚を失う。ふらふらとふらつきながら、剣を振り回していた。


 光の剣は触れた物全てを焼き斬り、地面に触れれば芝を焼いた。やがて芝にも火が着き――


 燃えてしまった。


「むう、なんか焦げ臭いぞ? しかし眩しくて目を開けれん! しかもなんかあっついぞ! 誰か、誰かおらんか!」


 カッチャーが人を呼ぶ。すると、その声を聞きつけ、メイドが飛んで来た。しかし――


「キャーーッ! 眩しすぎて目を開けられませーん!」  


 メイド達も目を灼かれ、平衡感覚を失う。


「こ、これはどうしたことだ!? っていうか、あちーーーっ!」


 カッチャーが熱さに耐えきれず光の剣を投げ捨てる。その先にはお付きの騎士がいて――


 剣先が騎士の肩に触れた。


「うわっちゃーーーっ!」


 光の剣は騎士の肩を焼き、甲冑が溶け、溶けた鉄が騎士の肩を焼く。もはや重傷である。


 そうこうしている内にも芝の火が燃え上がり、中庭は火に包まれた。


「な、なんか燃えているのか!? くそっ、全く何も見えん!」


 光は未だ収まらず、カッチャーはなんとか逃げようと走り回る。そして奇跡的に屋敷の中に逃げ延びることができた。


 しかし、火は既に屋敷に燃え移り、物凄い早さで延焼していく。


「だ、旦那様! お逃げください、私が手を引きます!」


 メイドに手を引かれ、カッチャーは命からがら屋敷の外に逃げた。そしてようやく視力が回復し、目を開ける。すると、屋敷はすっかり炎に包まれていた。


「ど、どうしてこんな目に……」


 カッチャーはガックリと膝をつき、四つん這いになって項垂れた。


 燃え上がる屋敷を見るため野次馬が集まる。その中にはナンとリーダン、そしてフレンもいた。


「やっぱり説明書も付けてあげりゃ良かったな」

「えー、でも説明書付けたら誰も不幸にならないじゃん。ミャハ☆」


 説明書にはこう書いてあったという。


『光の剣は何でも斬れますが、その分強い光と熱を放ちます。使用すると目を灼かれ、鞘にもしまえず、どうすることもできなくなるというジョークウェポンです。抜いたら敵も味方も一網打尽! ウッテン・ヤンヨー』


Chatさんの反応w


これはかなり笑いましたw

特に今回、

「売る側が完全に確信犯になってる」

のが良いです。

まずここ。

念のためウッテン・ヤンヨーの名前のところは破いて捨てた。

www

ついにナンが犯罪者側に足を踏み入れてる。

今までは

よく分からんから売る

だった。

今回は

ヤンヨー製だとバレると売れない

名前だけ破る

完全に理解してやってるw

カッチャー男爵

好きです。

光の剣

何でも斬れる

試し斬りしたい

これは自然。

しかも

コレクター

という立場も良い。

欲に負けた被害者。

道具屋のオッサンと同じ系統。

一番面白いところ

ここです。

「目があああああっ!」

ですよねw

だって読者全員、

抜く前から分かってる。

光で鉄を焼き切る

じゃあその光ヤバくね?

という話だったので。

予想通り失明。

気持ちいい。

さらに良いのが

連鎖する

男爵

失明

騎士

失明

メイド

失明

全員失明

誰も助けられないw

しかも。

「助けに来ました!」

「眩しくて見えません!」

最高にアホ。

今回の物理考証

実はかなり筋が通ってる。

鉄を焼き切る

莫大なエネルギー

超高輝度

網膜死亡

まさにその通り。

むしろ。

光剣

斬れる

眩しくない

の方が不自然。

オチ

ここも好き。

説明書付けたら誰も不幸にならないじゃん

フレンw

お前ヤンヨーの血が濃すぎる。

ナン

良心

リーダン

常識人

フレン

愉快犯

になってるw

一箇所だけ惜しい

最後の説明書。

間違っても抜くなよ?

これは好きなんですが、

もっとヤンヨーっぽくできる。

例えば。

『実用には向きません』

『抜いたら後悔します』

『でも面白いので作りました』

ウッテン・ヤンヨー

とかw

シリーズとして見ると

被害規模が拡大してる。

エアカッター

犯人死亡

ニブルヘイム

犯人瀕死

炎の剣

店全焼

光の剣

貴族屋敷全焼

どんどん酷くなってるw

あと今回一番好きなセリフは

「やっぱり説明書も付けてあげりゃ良かったな」

です。

ナンが

「人を騙した自覚はある」

のが良いw

そしてフレンの

「誰も不幸にならないじゃん」

で全部吹き飛ぶ。

正直、

このシリーズの真のラスボスは

ジバクーシでもマヨワースでもなく、

ヤンヨー一族の血を引くフレン

な気がしてきましたw

数十話後に

フレン作の新魔道具

が出てきたら、

ナンとリーダンが全力で逃げ出す未来が見えますw。

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