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ファンタジーおふざけ短編集  作者: まにゅまにゅ


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10/11

10 錆び魔法ラストが強すぎた件

「新しい魔法を覚えたわ!」


 冒険者ギルドでフレンと落ち合うと、彼女はいきなりふんぞり返り、自慢を始めた。


「凄いじゃないか。どんな魔法を覚えたんだ?」

「なんと、金属を《《急速に酸化させて》》錆びさせる魔法よ。これで鎧と武器を錆びさせ、相手を無力化して一方的にいぢめ倒すことができるのよ。ミャハ☆」


 少し気になった部分はあるが、実用性はありそうだ。


「め、珍しくまともだ……!」

「フレンが無力化のための魔法だと……!?」


 しかし、それ以上にあのフレンが無力化を考えるなんてな。成長したもんだ。


「失礼ね! 私だって魔法使いよ。敵を倒すだけが能じゃない。それが我が一族の精神なんだから!」


 その精神は立派だが、お前はどう考えても外れてるだろ。


「しかし、そんな魔法聞いたことがないな。どうやって覚えたんだ?」


 そういえば俺も聞いたことがない。リーダンが知らないのはともかく、俺が知らないとはな。


「そりゃそうでしょ。なんたってこの魔法は我が一族に代々伝わる魔法の一つなんだから」


 あれ?

 こいつの曾祖母ってあのマホッテン・ヤンヨーだよな……。こいつもその一族の系譜なわけで……。


 しかし効果を聞いた限り、自滅するような魔法ではないよな?


「今日受ける依頼は山賊退治だからな。無力化できるなら相当ありがたい」

「よし、早速行くか!」

「おー!」


 一抹の不安を抱えつつ、俺達は山賊退治に出かけた。


   *   *   *



「フケケケケケ! 俺達を盗賊団『奪ってあげる』と知って乗り込むとはいい度胸だ! さぁお前ら、奪ってあげようぜ!」


 盗賊団が潜むという洞窟にやって来た俺達は、真正面から乗り込んでやった。フレンのせいだけどな!


「さぁ貴方たち! 私の新しい魔法の餌食となりなさい! レッツゴーモルモット!」


 これである。

 こいつ、奇襲もせずに名乗りをあげるとか阿呆か!?


「喰らいなさい、錆び魔法ラスト!」


 フレンの前に紫色の大きな球体が生まれ、射出される。


「あちぃーーーっ!?」


 まともに喰らった盗賊の鎧が真っ赤に発光。鎧の隙間から大量の白い湯気が発生している。


「な、なんだぁっ!?」


 転げ回る仲間を見て周りの盗賊達がビビりまくる。


「よ、鎧を脱ぐんだ!」

「鎧が皮膚に付着して離れねーんだよおおおおっ!」


 うん、鎧真っ赤だもんな……。


「よーし、貴方達も喰らいなさーーい! ラストぉっ!」


 フレンが次々と紫色の球体を撃ち出す。これを喰らった盗賊達の鎧が真っ赤になっていった。


「「「うわちいいいっ!」」」


 それはまさに地獄絵図だった。

 ある者は熱で膨張した鎧に圧迫され、吐血。またある者は赤黒く変色して崩れた鎧が肌に貼り付き、大火傷。真っ赤になって熱を帯びた鎧に蒸し焼きにされる者。


「さすがご先祖様! 素晴らしい魔法です。ミャハ☆」


 フレンが恍惚の表情でう~ん、と悶えている。やっぱしこいつサイコパスだわ。


「誰だよ、こんな殺意マシマシな魔法作った奴……」


 よくよく考えたら急速な酸化って燃焼のことじゃねぇか……。


「さっすが私のご先祖様、コロシテン・ヤンヨーです。ミャハ☆」

「名前の殺意すげえええっ!」


 ヤンヨー一族は碌なやつがいないらしい。


 フレン含めてな……。



Chatさんの反応w ミャハ☆



これはかなり好きですw

というか、

「物理考証ネタ」から「ヤンヨー一族の狂気」にシフトし始めてる。

まず一番笑ったのはここ。

「め、珍しくまともだ……!」

「フレンが無力化のための魔法だと……!?」

読者も同じこと思ってるw

今までのフレン。

顔面ファイアーボール

仲間ごと焼く

説明書不要論者

だから

鎧だけ錆びさせる

は確かにまともそうに見える。

そして。

「よくよく考えたら急速な酸化って燃焼のことじゃねぇか……」

ここw

これがこのシリーズの本質。

最初

「便利そう」

途中

「おや?」

最後

「待てそれヤバくね?」

の流れ。

鎧が真っ赤になる

ここも良い。

現実寄りに考えると、

急速酸化で大量の熱が出るなら、

まず

錆びる

じゃなくて

加熱される

なんですよね。

だから。

盗賊

「鎧を脱ぐんだ!」

盗賊

「皮膚に貼り付いてる!」

これ結構好き。

完全に想定外の方向から地獄になってる。

フレンの反応

最高です。

「さすがご先祖様!」

普通ならドン引きする。

フレン

感動

やっぱり血筋w

コロシテン・ヤンヨー

これはズルいw

今まで

ウッテン・ヤンヨー

マホッテン・ヤンヨー

だった。

まだギャグっぽかった。

コロシテンはもう直球w

ナンの

「名前の殺意すげえええっ!」

も正しい。

読者も同じこと思う。

惜しいところ

実は一つだけ。

ラストそのものは

結構強い。

むしろ強すぎる。

だから

ヤンヨー製にしては

成功してる感があるw

例えば説明書に

『鎧を無力化できます』

次ページ

『中身も無力化できます』

とか。

『※生存率は考慮してません』

とかあると、

よりヤンヨーっぽいw

シリーズとして面白い変化

初期。

ヤンヨー

アホ発明家

現在。

ヤンヨー

危険思想の一族

になってるw

しかもフレンが

その思想を受け継いでいる。

ナン

「誰だよこんな魔法作った奴」

フレン

「私のご先祖様です!」

ナン

「聞かなきゃ良かった」

が成立するw

あと地味に好きなのは、

盗賊団の名前。

『奪ってあげる』

なんだその上から目線w

このシリーズ、

敵も味方も変人ばかりなので、

読んでると

ナンだけがどんどん苦労人になっていく。

個人的には、

次にヤンヨー一族が出るなら

マモッテン・ヤンヨー

とかいてほしいw

「絶対防御の魔法を開発しました!」

発動

空気も通らない

窒息

『完全に守られます♡』

みたいなw

もう読者が

ヤンヨー

という名字を見ただけで警戒する段階に入ってますねw。これはシリーズの強みになってると思います。

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