4 冷気魔法の恐怖
俺の名はナン・デヤーネン。
俺は今、仲間のリーダンとフレンと共に伝説の魔導書を盗んだ犯人を追いかけていた。
「もう逃げられんぞ、ジバクーシ・チャーター!」
ジバクーシの逃げ込んだ洞窟。その先は行き止まりになっていた。
「っていうかまたお前かよ! 前回ので懲りてないのか!?」
「前回も同じ所に逃げ込まなかったっけ?」
そう、このジバクーシはまたも懲りずに禁呪の魔法書を盗んだのだ。追いかける俺達の身にもなれ。
「逃げたら私の……」
「「やらんでいい!」」
「言い終わる前に言われた!」
「どうせファイアーボールが火を吹くわよ、だろ。頼むから洞窟で使うのやめれ。火矢とかあるだろ」
あれなら輻射熱控えめだし、敵を燃やすには十分だろう。
「えー、地味ぃ~。私はもっと派手にぶっ殺したいの!」
やっぱりこいつサイコパスだわ。
「俺を無視するんじゃねぇ! 誘い込まれたのお前らの方なんだぞ?」
あ、ジバクーシのこと忘れてたわ。俺にはフレンの方が危険人物に見えるからな。
「いや、どう見てもお前のほうが追い詰められてるだろ」
リーダンもそう思うよな。
「前回は貴様のせいで酷い目にあったからな。ここでその汚名を挽回してくれる!」
ジバクーシが俺達を指さし、メンチを切る。逆恨みかよ。
「いや、汚名挽回してどうすんだ。つか、前回のはお前の自爆だろ」
ツッコミ待ちだろうと思い、俺は親切にツッコミをいれた。
沈黙。
「やかましぃ! 貴様らにはこの禁呪、氷結地獄の恐ろしさを味わわせてくれる!」
ジバクーシはいきなり激昂する。
「なに! 氷結地獄だと!?」
また禁呪かよ!
こいつ学習能力ないのか?
「ふははははは! この魔法は《《術者を起点に》》前方に-150℃という極寒地獄を形成する。カチコチに凍りつくがいい!」
「やめろ! そんなことをしたら死ぬぞ!」
しかし俺が止めるのを聞かずにジバクーシは詠唱を始める。
「ふははははっ! 極寒の地獄の冷気よ、全てを凍てつかせたまえ。チャップーイ・チャプイ・ドン・トッポッチー!」
ジバクーシのかざした手に強大な冷気のエネルギーが生まれる。そのエネルギーはどんどん膨れ上がっていった。
「ふはははははっ……、っ!」
そして高笑いをした、と思ったら急にその場にうずくまり、ガチガチと震え出す。
そして瞬間冷気のエネルギーは消失する。
「え、え、え? 何が起こったの?」
「わ、わからん!」
フレンもリーダンも何が起こったのか、わからないようだ。
「取り敢えず捕まえようぜ」
「あ、そうだな」
俺はリーダンを促し、ジバクーシの確保に向かう。
「……!」
ジバクーシは口をパクパクさせているが、言葉にならないようだ。まともに呼吸もできてないのか、唇が紫で顔は真っ青。低体温症も起こしてそうだな。
「取り敢えず治してやるよ。復活魔法、ブチイキカエース!」
俺の魔法でジバクーシが息を吹き返す。それでもまだ寒いのだろう。ガタガタ震えていた。
「な、なぜこんなことに……!」
俺は魔導書を拾い上げ、とあるページをジバクーシに見せてやった。
『使用上の注意。敵を倒す前に自分が死ぬ危険性があるため、使用時には-150℃に耐えられる装備を用意して、最低10分間は呼吸を止めてください。でないと気道が凍傷起こして死んじゃうよー☆ 氷の魔法使い コーリャンセ』
「なぁ、こんな魔法どうやって使うんだ?」
「だから、使うと危険だから禁呪なんだってば」
リーダンの質問に俺が答えると、ジバクーシは口から魂が抜けたように真っ白に燃え尽きたのだった。
チーン☆
Chatさんよりw
これはかなり良いテンドンになってますw
というか、
「禁呪シリーズ」
として方向性が見えてきました。
特に笑ったのはここ。
「っていうかまたお前かよ!」
これw
前回読んでる前提の読者と認識が一致してる。
ジバクーシ登場
↓
ナン 「またお前か」
↓
読者 「またお前か」
綺麗。
今回の一番良いところ
実は冷気魔法じゃない。
ここ。
あ、ジバクーシのこと忘れてたわ。
ですw
敵
「俺を無視するな!」
↓
主人公達
「存在忘れてた」
完全にギャグ漫画の悪役。
「汚名挽回」も好き
「ここでその汚名を挽回してくれる!」
↓
「汚名挽回してどうすんだ」
ここもちゃんと機能してる。
ナンのツッコミが
以前より自然になってる。
そして最大の改善点
発動前に死ぬ
これですw
エアカッター回
↓
撃った
↓
死んだ
冷気魔法回
↓
発動しかけた
↓
死んだ
段階が進んでる。
読者も
今度はどう死ぬんだろう
と思いながら読むので。
特に説明書
ここはかなり好きw
最低10分間は呼吸を止めてください
無理だろw
しかも
気道が凍傷起こして死んじゃうよー☆
語尾が軽い。
開発者
コーリャンセ
頭おかしい。
もっと強くできる
例えば。
『最低10分間呼吸を止めてください』
『なお作者は成功しました』
ナン
「化け物か」
とか。
シリーズ化するなら
個人的には
禁呪開発者
を共通にしたいw
説明書
開発者
ウッテン・ヤンヨー
ナン
「またお前か!」
みたいな。
伝説の禁呪
↓
全部同じ研究者
↓
全部欠陥品
↓
なぜか魔導史上の偉人
かなり好きw
ただ一つ惜しい
冷気魔法そのもののオチが少し弱い。
なぜかというと、
読者は既に
発動したら自滅するんだろ?
と学習してるから。
だから例えば
ジバクーシ
「発動!」
凍る
ナン
「早っ!」
とか。
あるいは
ジバクーシ
「ニブルヘイム!」
フレン
「うわ寒っ」
ナン
「いやお前が死ぬんかい!」
くらいの即落ちの方がギャグは強い。
でも、
発動するとナン達も死ぬから発動させない
という判断は正しいですw
実際、
このシリーズの面白さって
「危険魔法が発動したらどうなるか」ではなく 「危険魔法の説明を聞いただけでナンが頭を抱える」
ところにある。
なので今回の
『最低10分間は呼吸を止めてください』
はかなりシリーズの方向性に合ってます。
読者も
いや無理だろ
で終われるのでw
個人的には、
チャップーイ・チャプイ・ドン・トッポッチー
が地味にツボでした。
禁呪の詠唱なのに昭和の子供向けギャグみたいな響きなのがズルいw。ジバクーシの威厳が毎回どんどん下がっていくのも含めて、今回はかなり「テンドン芸」になってます。




