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ファンタジーおふざけ短編集  作者: まにゅまにゅ


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2 禁呪、エアカッター

 俺の名はナン・デヤーネン。

 俺は今、仲間のリーダンとフレンと共に伝説の魔導書を盗んだ犯人を追いかけていた。


「もう逃げられんぞ、ジバクーシ・チャーター!」


 ジバクーシの逃げ込んだ洞窟。その先は行き止まりになっていた。


「逃げたら私のファイアーボールが火を吹くわよ!」

「「それはやめろ!」」


 前回のこと学習してないのかこの女は。


「クックックッ、追い詰められただと? 馬鹿め、俺は既にこの魔導書を読み、古代の禁呪の一つエアカッターの詠唱を既に覚えたのだ!」

「なに? エアカッターだと!」


 エアカッター、という名前に俺は戦慄を覚えた。


「知ってるのか、ナン」

「ああ。なんでも、空気を高圧、高速で撃ち出し、物体を切り裂くという危険な魔法らしい。聞いた話によると、あまりに危険なため禁呪になったという……」


 そう、この魔法はとても危険なのだ。使えば間違いなく死ぬ!


「クックックッ、その通り! さぁ、この伝説の魔法の最初の生贄に選ばれたことを喜ぶがいい!」

「やめろ! その魔法は本当に危険なんだ!」


 俺はジバクーシに自制を促す。しかし奴は聞き入れず、詠唱に入る。


「クックックッ、止めろと言われて止めるくらいなら、最初っからやらんわーーっ!」


 いや、そんな自信満々に言われても。俺、止めたからな?


「わ、開き直ったよこの人!」

「偉大なる風の力よ、ここに集いて刃と為せ! アラマサカラマサ・クウキー・ハ・ナーツ!」


 ジバクーシは俺が止めるのも聞かずに詠唱を始め、遂に魔法を完成させる。


 奴の両の手のひらに空気が集まる。そしてその空気はどんどん圧縮されていった。 


「クックックッ、ゆけい、エアカッター!」


 奴の手から圧縮された空気が超高速の速度で撃ち出された。

 その瞬間!


 ジバクーシの身体は空気を撃ち出した反作用により、高速で後ろに吹っ飛んだ。


「ぶふぇほがぁっ!?」


 ジバクーシは全身を背中から岩肌にぶつける。血反吐を吐くと、そのままズルズルと滑り落ちていった。


 俺達はジバクーシに駆け寄る。


「ねぇ、これ死んでない?」


 フレンがジバクーシをつんつんする。


「な、なぜだ……、なぜこんなことに……?」


 ジバクーシは震えながらも顔を上げ、手を伸ばす。


「あ、生きてた!」


 なんだその残念そうな顔は。


「そういえばナン、なぜジバクーシは自分も吹き飛んだんだ?」


 リーダンとわからないようだ。俺は魔導書を拾い、とあるページをジバクーシに見せた。


「な、なんだ……、と?」


 ジバクーシが驚愕する。


「なんて書いてあったんだ?」


 リーダンがそのページを覗く。そのページにはこう書いてあるのだ。


『使ったら自分も吹き飛びます。良い子は絶対使っちゃダーメ♡ 風の魔法使いカーマイン・タチ』


「いや、残すなそんな魔法!」


 リーダンが思わず突っ込む。俺も同感だわ。


「だから禁呪なんだって」

「どんな魔法かも知らないで使うなんて、馬鹿だよねー。ミャハ☆」


 フレンが笑いながらジバクーシを小馬鹿にする。


「「お前が言うな!」」


 俺もリーダンも突っ込まずにはいられなかった。

Chatさんよりw


これは前の火魔法回よりさらに良くなってますw

理由は単純で、

「物理ネタ → オチ」までが短い。

火魔法回は

火傷

乱気流

治療

復活

ゲンシーロ

と段階が多かった。

でも今回は

エアカッターは危険なんだ!

使う

自分が吹っ飛んで死ぬ

お前が言うな

で終わる。

テンポがいい。

ただ、気になるところもあります。

ナンが賢すぎる

今のナンって、

ほぼ作者なんですよねw

エアカッター

危険性を知ってる

結果も知ってる

その通りになる

だから読者にとって驚きがない。

例えば。

「エアカッターだと!?」

「知ってるのかナン!」

「知らん」

「え?」

「でも禁呪ってことはろくでもない」

みたいな。

そして発射後。

「なるほどそういうことか」

の方が読者と一緒に発見できる。

一番面白いのは詠唱

これw

アラマサカラマサ・クウキー・ハ・ナーツ!

めちゃくちゃ好きです。

何だその雑な呪文w

むしろもっと馬鹿馬鹿しくしてもいい。

「アラマサカラマサ・クウキー・ハ・トベル!」

とか。

ジバクーシの名前

これは完全にギャグ漫画の名前ですねw

読んだ瞬間

あっ、こいつ死ぬな

と思う。

だから逆に、

オチをひっくり返してもいい。

ジバクーシ

死なない

重傷

「なぜだ……」

魔導書

『使用者の安全は保証しません』

みたいな。

一番惜しい部分

ここ。

このエアカッターは空気を超圧縮して音速を超える速度で撃ち出す魔法なんだ

これが説明臭い。

ギャグなら

「空気を飛ばしたんだから自分も飛ぶだろ」

で十分。

リーダン

「そうなの?」

ナン

「石投げると反動あるだろ?」

リーダン

「ないぞ」

ナン

「あるんだよ」

くらいでいいw

最後の「お前が言うな」は強い

ここはちゃんと機能してます。

なぜなら読者が思ったことだから。

フレン

「どんな魔法かも知らないで使うなんて馬鹿だよね」

読者

「お前が言うな」

ナン

「お前が言うな」

リーダン

「お前が言うな」

綺麗。

あと個人的には、

このシリーズの面白さって

「現実の物理を知ってるナン」ではなく 「物理を知らない連中が危険魔法を崇拝してる世界」

にある気がします。

だから

火魔法の英雄ゲンシーロ

エアカッターの賢者カマイターチ

絶対零度の魔女ヒエール

みたいな伝説の人物が出てくるたびに、

ナンだけが

いやその魔法ダメだろ……

と頭を抱える構図は結構好きですw

特にこの回は、

「禁呪だから危険」じゃなくて

「禁呪なのに魔導書を読んだら誰でも使える状態で放置されてる」

世界の雑さがじわじわ面白いです。魔法文明の安全基準どうなってるんだよ、というツッコミ込みでw。

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