雪原の出会い!前!
すべてのことはつながっているのです。あなた、連鎖注意ですよ!
一〇五年前 フィンランド大公国
「クズ人形が! 俺をここに落としたお前らの神とやらを怨むんだな」
紅く染まった雪。元の形がわからなくなった肉片が敷き詰められている。
土地の形や呼び名は多少違えど、ここでも世界のあり方は変わらなかった。男は、ただひたすら目に付く者を片っ端から破壊し殺戮の限りを尽くしていた。ただ世界を消し去るためだけに。
そうして男は闇雲に土地を渡り、海を渡り、自分がいた世界と同じようにこの世界にも絶望と恐怖を広げていったのだ。
「あ?」
男は弾を補充しようとして残り少なくなっていることに気付いた。それでも各地で争いが起こっているため在庫に不自由することはなく、いくらでも猛威をふるうことができた。
たくさんの土地を回っていれば男が持つ数多くの武器に適合するものもあり、時にはこの世界の物をそのまま利用した。それに材料さえ見つかれば持っている知識と能力でいくらでも生み出すことができた。
(しかし、俺が手を下さなくても勝手に殺し合いをしてくれる場所が多くて助かったな)
すでに五つめの国にさしかかっていたが、どこの土地でも同じように殺し合いが行われていたのだ。
(結局ここだって失敗作じゃねーか。このままじゃつぶされるのも時間の問題だな)
丘を越えようとしていた男の前に突然、複数の兵士が飛び出し一斉に銃を構えた。
「手を上げろ!」
雪の中に穴を掘って隠れていたのだ。
男は静かにマントの中でホルダーに手を伸ばす。
「あぁ? 誰に向かって口利いてやがる! このクズ人形が!」
そして次の瞬間、すべての兵士は無残に吹き飛び跡形もなくなった。
「けっ。ここも俺より先に殺し合いが始まってたとはな」
男がつばを吐いたとき、さぁっと地面が動き、まだあどけなさの残る少年が出てきた。
「!」
「すごいね。一瞬でみんなを消しちゃうなんて。あなたはとっても強いんだね……」
とっさに向けられた銃口の前で少年は笑っていた。涙を流しながら。
「……」
男はゾルゲの引き金から指を離した。
いつもなら相手が泣こうがわめこうが何の躊躇もなく蜂の巣にするところだ。男は自分が取った行動そのものに驚いた。そもそも泣く暇など与えないうちに殺してしまう、というのが正解だったが。
少年は男と同じ綺麗な緑色の瞳で真っ直ぐに見上げていた。
「あなたはこの国の人?」
男は迷った。まともに相手をするべきなのかさっさと殺すべきなのか……。




