始まりの場所!
消したくても消せないものもあるのです。あなた、過去注意ですよ!
レインはそれには答えないまま憎々しげに歯ぎしりをした。
(あの……クソ野郎どもめ!)
隊聖時三五六 ジック=キャル共国(一〇六年前 外世界)
「なぜだ! なぜおまえはこんなことをする!」
アレキサンダーは、兵士たちを端から端まで眺め、鼻で笑った。わずかに生き残った兵士たちは仲間の血しぶきを浴びながらも銘々の武器を構え、なおも抵抗の構えを見せている。
「主の命まで奪うとは……貴様は……!」
派手な銃声が轟き、生々しい音と共に大地に染みが広がる。それを境に兵士たちの言葉はすべて途絶えてしまった。
「てめーらの主なんか知ったことか。どうせお前らと同じクズなんだからよ」
馬鹿にするように軽く息を吐いてから、緑の瞳は辺りを見回した。足の下には砦だったものの残骸が積み重なっていて、時折乾いた音を立てながら形を変えていた。
(まだか……。まだ足りないのか?)アレキサンダーは弾を補充したイデアとゾルゲをホルダーにしまい、苛ついた表情で舌打ちをした。
未だ爆破による砂ぼこりが舞う中で瓦礫の頂上を目指し、血なまぐさい風に長いマントをたなびかせる。
眼下に広がる景色は壊滅状態で、元の様子を想像することさえできなかった。この世界は、すでに大半がこの大男の手によって破壊され無事と呼べる場所はほんのわずかしか残っていなかった。
ふいにアレキサンダーは両手を広げ天を仰ぎ、星の裏側まで届きそうな声で大地を震わせた。
「命を繰り返すのはもうたくさんだ! 一体何時になれば終わりがくるんだ! これでも、ここまでやってもまだ足りないというのか!」
しばらくその姿勢のままで立つアレキサンダーは両手を広げたままで砕かんばかりに拳を握りしめた。
(一体いつになったら……!)
その瞬間。
爆風にも動じないアレキサンダーが一歩引くほどの波動が起こり、世界に闇が降り掛かってきた。
「……!」
空間が歪む中で何が起こったのかを悟ると、すぐに態勢を立て直しその方向に向かってつぶやいた。
「ほう? ようやくお出ましか。遂に終わらせてくれるんだな! 本当に待ちくたびれたぞ」
アレキサンダーは遥か上空から現れた、とてつもない大きさの物体を睨みつけ冷たい笑いを浮かべる。
天を覆うその影は真っ直ぐにアレキサンダーを目指し、そして有無を言わさずその姿を地上から消し去った。




