ヲタ優位!中の下!
話す相手は選びたいものです。あなた、張力注意ですよ!
シーナたちの体は何も食べなくても生きていけるようになっている。それでも定期的に食べ物を体に入れているシーナとレインは体が温かく、基本的に食べないジャックと違い体温なるものが存在しているのだった。
もう頭の中が限定ケーキでいっぱいになって頬を赤くしているシーナに対し男は目の前の夢見る少女にほとほと困り果てていた。
自分がくだらない夢を見ているのかとも思い、一度目を閉じてからそうっと開けてみたがそんなわずかな希望もあっさり打ち砕かれ頭を抱えてしまった。そのまましゃがんで大きなため息をつく。
「そのー……なんだ、君そのショコなんたらが欲しくて俺に付きまとってるわけ? じゃあ好きなだけ買ってあげるからそれ持って早くお家に帰ろうねー。ほらお店どこ?」
「きゃーーあ! いやーーーっ!」
いきなりシーナが両手を上げて飛び跳ね始めた。いや、と言っても感謝感激しているだけだ。シーナは自分の感情に実に正直だった。
それにしてもこれでは聞きようによっては襲われて悲鳴を上げているようなので男は慌てて周りを見回す。
「ちょっ、バカ! 静かに! なんでそうなるんだ! 頼むから静かに! しーっ!」
好きなだけ買ってもらうなんて夢のような話だ。シーナのことだから迷うことなくケーキだけ抱えて何もせずに帰ってもおかしくない。しかしレインはきちんとシーナを教育していたため、することはしてから好きなだけ買ってもらうという結論にきちんと辿り着くことができた。ひと通り騒いでから、もういちど本題を切り出す。
「っとー。じゃあ、その前にもう一度聞きまーす。さっき答えなかったもんねー。『なぜあなたは寄付をしたのですか?』はーい、答えてー」
男が神妙な顔になる。
「なんでそんなこと聞くんだ? そもそもそれを知ってるってことは君もあの会場にいたってことか?」
「もー。おじさん私の話聞いてたー? 私そんなこと聞いてないし早く愛しいショコラ・オー・キャラメリゼに会いたいのー」
「だって初対面でなんでそんなこと聞かれるんだってなるだろ? それにおじさんおじさん言うな。院の中じゃ若くてお兄さん的存在だって評判なんだよ、これでもな」
明らかにがっかりした顔のシーナが小さくため息をついた。
「おじさん、それ悲しすぎる。社交辞令ってやつでしょ? そう言っとけば点数稼げるみたいなさぁ……」
言いかけてケーキのことが頭をよぎる。
「あー、でもでも確かに若いよねっ! じゃあお兄さん……? お兄さん……うーん」
その様子を見て居たたまれなくなった男が音を上げた。
「わかった、わかったよ! だけど君が一体誰なのかもわからないし、何でそんなことを聞かれるのかも、何でショコなんたらを買ってあげなきゃいけないのかもわからない。言ったからには買ってあげるけどね。とにかく君はもう少し詳しく説明するべきじゃないかな」




