時は来た!
何をそんなに考えるのですか?世の中はうまくできているのです。あなた、躊躇注意ですよ!
「!」
屋根に寝転んでいたレインが急に立ち上がった。その勢いで、レインのおなかに頭を乗せていたシーナとジャックが漫画のように転げ落ちて行く。
「あ、ごめ……」
ほんの数歩踏み出したレインが片手に一人ずつひょいっとつかまえた。
「レインひどいって……」
「なーにー? どうしたの? どこ? 私見てないよー!」
レインは二人を屋根に下ろして真っ直ぐに立つと、そのままの姿勢でしばらく空を見上げた。
シーナとジャックは黙って顔を見合わせる。
世界のバランスを取るためにこの街では毎日三〇人以上連れて行ってはいけない、というルールがあるので夜まで動き回ることは滅多にない。
この日は流れ星が見たいというシーナに付き合ってみんなで屋根に寝転んでいただけだった。
そもそもシーナがそんなことを言い出したのも「星が流れ落ちるまでに三回願いをかけるとそれが叶う」というのを漫画で見たからだったのだが、何時間経ってもシーナだけ見つけられなかったのだ。
「レイーン、ねーぇ? どうしたのー? また見つけた? 私も見たいよー」
ハッとしたレインが斜め後ろを向いてそのまま目を凝らしている。
とっさに二人も同じ方向を見るが何も見えない。もちろんオーラを感じるわけでもなかった。
いきなりシーナがレインに飛びついて肩までよじ登った。それでも全く動かずに一点を見つめている。おかしいと思ったジャックも同じように登ったが相変わらずそのままじっとしているままだ。
「……」
「え? ジャック今、何か言った?」
「いや。俺様じゃないし、レインでもない」
それまで黙っていたレインがそっと口を開いた。
「そうか……」
「え? 何が?」
「なになに?」
レインが何をしているかわからない二人はそれぞれ器用にしがみついて、レインの顔と自分の顔を並べてその視線の先に目を見開く。
するといきなりレインは肩に二人を乗せたままで屋根から屋根へと飛ぶように走り出した。
「うわっ!」
「わーおー!」
自力でしがみついているだけではなく、二人の体はちゃんと大きな腕で支えられている。そのおかげでシーナとジャックは安心して夜の散歩を楽しんでいられた。
街は建物が密集しているので足場には不自由せず、レインは長い足で地面と大差なく走り続けていく。




