加工されて!中!
覚悟というのは生きるものだけが使える強さですよ。死ぬ覚悟なんて存在しないのです。あなた、心魂注意ですよ!
「僕は名前をなくしたと思っていたんだがね。ジュニが気を利かせてくれたのかな?」
「私はあなたのおかげで、ここが破壊される心配もなく、レインのあんな姿まで見ることができました。これはレインとあなたへのお礼ですよ。こんなこと、ここができて以来初めてのことですから特別です!」
頬笑んだカインは軽やかに舞い、もう一度改めて自分の姿を眺めてから安堵のため息をついた。
「昔よりコートが長くなったのは気のせいかな?」
ジュニは頬が緩みっぱなしだ。
「いいえ。またひとつ成長しましたから。それとも、いい眼鏡をしていたのでその分、素材が余ってコートを長くしてしまったのでしょうか?」
そんな仕組みでないことを承知している二人は、思い切り笑った。
「でも本当は、あなたがあのまま素材として世界に吸収されてしまうのではないかと心配していました」
「心配? なぜだい? 君はそれが仕事だし僕だってそうなったとしても何も困らないってわかったいるだろうに」
その言葉にフルフルっと首を降る。
「というより、レインにご褒美を上げたかったのです。世界の仕組みを知りながら、そしてすべての記憶を背負いながら、それでも生き続けなければいけないレインに」
ふいにカインの脳裏に列車に轢かれた時のことが蘇る。
線路に男が横たわっていた。わざわざ鎖で足をしばってレールに巻き付け鍵までかけていた。「いつかくる死が怖いからいっそ自分で死にたい」という不思議な理由でそこにいるのだという。
カインは、こんな愚かな人間を作り出す世界の仕組みを呪いながら、そんなことをしても無駄だと教えてやった。だが男は動こうとしない。
そもそもカインがそこにいたのは偶然で、目指す人間の近くに変な気配を感じて何となく見に行ったら男がいた、というだけだったのだ。
命の仕組みを知っているカインは無駄な人助けをすることなくそのまま立ち去ろうとした。
だが男は列車がくることに気付くと急に怖くなって叫んだのだ。「頼む! 助けてくれ!」と。




