加工されて!前!
そして命はまた廻り出すのです。あなた、転生注意ですよ!
(眩しい……白い……何だ? どうなってるんだ……)
「あらあらあらまぁ! これはこれはこれは!」
(え……何?)
「大丈夫ですよ。さぁ目を開けて御覧なさい」
真っ白な壁と同じ白さの生き物が目の前にかがんでいる。上から下まで白く、服らしき布はふわふわと体に巻き付いて裾が広がっていた。
「えっと……あの……誰? 妖精?」
その言葉にカラコロと笑いながら真っ白な手を差し出す。
青年が反射的にその手を握り返すと、見かけによらない力でそのまま引き起こして青年を立たせ、またカラコロと笑った。
白い顔は青年の顔を見つめながら嬉しそうに微笑んでいる。
「あなたは自分の名前が言えますか?」
「え? ……えっと、いや、あの出てこないな」
(?)青年は何となく下を見て、自分が部屋と同じくらい真っ白なコートを着ていることに気付いた。
妖精は手をひとつ打ち鳴らしてにっこり頬笑む。
「はいっ! よろしい。答えたらどうしようかと思いましたよ」
「あっ、あの、一体?」
「さぁ目を閉じて。あなたに名前をあげましょうね。とっても素敵で特別な名前ですよ」
青年は首を傾げた。
すうっと息を吸いこんだ妖精が片手を自分の胸に、そしてもう片方の手を青年の胸に当てた。
青年が慌てて目を閉じる。
そうっと息を吐いてからキラキラの笑顔を見せてその名を呼んだ。
「カイン、あなたはカインですよ」
名前を呼ばれた瞬間、青年は雷に打たれたように体を震わせ目を見開いた。
「……ぼ、くは、カイン?」
妖精は白くて大きな目を輝かせながら服のフレアをふわりふわりと揺らしてはしゃいでいる。
「はい。そう! そうですよ。こんなに楽しいのは何時ぶりでしょうか。あなたのおかげで私は希望が持てたのです。よく帰ってきてくれました。おかえりなさい! カイン!」
カインは、しびれている体を少しずつ動かしてみた。
手、動く。足を持ち上げる。つるつるの黒い靴を履いた足、動く。試しに軽くジャンプをしてみた。
「おっとっ!」
天井に当たりそうになって驚く。
自分の体が思っていた通りに、動くことを確認してようやく妖精の顔を見つめた。
「なるほどね。今回の僕には記憶を残してくれたわけか。いや、戻してくれたというべきかな」
「さぁ、どうでしょうね」
妖精はまだ楽しそうに跳ね回っている。
「では、改めて。やぁジュニ。ひさしぶりだね。あれからどのくらい経ったんだろうか」
「それは人間の単位で? どんな形でも、ということなら二十五年、この姿でということなら九十六年ぶりですね! 私に名前を付けてくれたのもあなたですから、そうやって呼ばれるのも久々です」
カインが静かに頬笑んだ。




