その白い空間!後!
命あるものには必ず終わりがくるのです。でもそれは・・・。あなた、輪廻注意ですよ!
「それはよかった。心の準備ができたら次の部屋にどうぞ。そのまま隣の部屋にいるだけで自動加工されます」
コートのポケットに両手を突っ込んでしばらく立ちつくす青年。
「ねぇ、ここも“世界はすべてつながっている”なの?」
「えぇ。そうですよ。あなた方が現在、過去、未来と呼ぶすべてが、生物、国、宇宙と呼ぶすべてが、ひとつの世界としてつながっているひとつの物なのです」
「……変なことを聞くけど僕がここにきたのは初めてなのかな?」
「初めてであり、初めてではない、ですよ。その答えは、もうわかっているのではありませんか?」
「はぐらかされた気分だよ。まぁいいか。いくら聞いたって消滅するんじゃ意味ないもんね」
手を出して壁にふれてから前を向いて歩き出した。
次の、部屋へ。
同じような白い空間に入るなり入り口だった穴が消えて壁になった。
部屋中に静電気の塊が充満しているようなピリピリとした熱を感じる。
青年は見た目は同じでも違う空気を感じ取って思わず自分の腕を抱いた。
「ねぇ、まだ僕の声が聞こえるのかな? 聞こえるなら……」
返事は即座に降ってきた。
「聞こえていますよ。最後までお見送りするのが役目ですから」
(お見送りって)葬式をイメージしてしまい青年の気持ちがザワッとした。
「えっと、それじゃ……」
「痛みは感じませんよ。今までもよく聞かれました。その証拠に、何も感じないでしょう?」
青年は思わず自分の体を見回し、顔から足までさわれる限り手をふれてみた。
「それじゃ、もう加工され始めてるってこと? せめて気を失ってからくらいの気遣いはないのかな? さすがに自分がぐちゃぐちゃになるのなんか見たくないよ」
笑っているのか、カラコロと白い少年が発したような音が聞こえた。
「大丈夫です。ほらよく見てごらんなさい」
コートも靴も指先も体中が粉状になって崩れ、見えない風に巻かれるように舞い上がっていく。
「うわぁ……」
青年は本当に痛みがないので冷静に消えゆく体を見つめていた。まだ意識があるおかげで、体だけではなく心までが軽くなっていくのを感じ取っていた。
重力なる物も存在せず、足はとうに形はない。それでも消えゆく段階の胴と頭は宙に浮きながら崩れている。
そしてついに青年のすべては跡形もなく散ってしまった。
(そうか……こうやって、世界は創られ……)
………………




