その白い空間!中の下!
あるべき姿を見失っていませんか?あなた、姿見注意ですよ!
青年は黙って話の続きに耳を澄ませる。
「……人間たちが自我に目覚めて暴走を初めたせいで世界のバランスが崩壊しました。人間ばかりが増え続け、さらに何かをなくして何かを生み出すのルールが完全に破壊されました。そしてあの方によって、もう今回のサイクルで修復はできないと判断されたのです」
両手で頭を抱えた青年が言葉を吐き出す。
「わかるよ。今、君が言ったのは人間のエゴで絶滅危惧種と勝手に名付けたものを下手に守っているアレとか、その他もろもろの話だろ?」
「まさにそうです。人間はとんでもなく迷惑なことを正義を振りかざしながら行います。ひとつの例をあげれば何かが絶滅したあとには違う何かが生まれるのに、それを邪魔していることで新しい物が生み出せなくなった、ということです」
「あぁ、それに手を出してはいけない領域にまで踏み込んだからな。クローン技術は神の領域を侵す、なんて言うのも本当にそのままの意味でタブーにふれたんだろ?」
「その通りですよ。そういうわけで、もう今回のサイクルは見捨てられたも同然の扱いなのです。それでも残りの数億年、せめて次のサイクルに行くまでは世界を保たせようということで、ここは創られたのです」
定期的に起こる戦争や火山の噴火、洪水、大地震などにはすべて理由があったのだ。
増えすぎた人間を減らすこと、自分より大きな力が動いていることを人間に思い出させること、そしてその様子を見て楽しむ者がいるということ……。
「素材……か。僕みたいなのは一体何になるんだい?」
「そうですね、結果がどうなるかはわかりませんが、今回は土台の栄養になる予定です」
「土台っていうのは地球のことかな? 地球に僕というごはんを食べさせるってこと」
「はい。“地に生まれた者は地に返す”のルールを壊してしまったせいでどうなったかはご存知のはず。人間のおかげで地の栄養はなくなる一方ですから」
一番に青年の頭に浮かんだのは人間が始めた「火葬」のことだった。
「そして地に生まれた僕は地に帰れるってわけか。何かちょっと安心したよ」




