見えてくるもの!中!
他人の手を借りて進むのも、ひとつの手段なのです。あなた、知覚注意ですよ!
「さてと、ところで彩内院 塔哉は、まだドアを開けないのかな?」
「ちょっと、そんな意味深なこと言われて聞き流せると思うのかい? あー、そうだ。それにまだこの組織のトップが何とかって話も言いかけたままだっただろ?」
「彩内院 塔哉、君ってもっとずっと単純なんだと思ってたよ。予想外だね」
「あぁ、それはいい意味として受け取っておくよ。それで?」
「じゃあ彩内院 塔哉、この世界は誰が創ったものだと思う?」
彩内院は今まで世間で見聞きしてきたこととアンケートの一文を思い浮かべた。
*あなたは神の存在を信じていますか?
それに対する答えとは……。
「そりゃー神様でしょ!」
その言葉に、少年が意外な顔で口を開きかけたとき彩内院が残りの言葉をつないだ。
「……って答えるのが一般的なんだろうけど。それもおかしな話だよね。僕に言わせれば、どうして人はそういう話を作って信じたり信じさせたりってことを真剣に繰り返してるのか本気で理解できないからね」
少年は「あ」という口のままで彩内院の顔を見つめる。
何かのスイッチが入った彩内院は、取り憑かれているようにしゃべり続けた。
「だってバカみたいじゃないか。どうして神様ってやつは僕らと同じ姿をしているんだ? なぜ自分の種族を中心に世界ができていると思うんだ? あれって信じるものは救われる、じゃなくて自分が弱すぎるから何か拠り所になるものに責任を押し付けて、すがって頼って泣きついてってやつだからね。この世界は誰が創ったか? その答えはどうでもいい。だよ。それに理由を付けるから人はどんどん愚かになっていったんだ」
「……」
少年が目を丸くして流暢に話す彩内院をまじまじと見つめた。
「彩内院 塔哉、君ってもっとずっとものすごく本当に浅はかで、何も考えられないただのふざけた頭空っぽの大馬鹿なんだと思っていたけど実は違ったんだね」
「ちょっと……そこまでいくとむしろ清々しいよ。ところで今の質問に答えはあるのかい? 口の達者な少年」
何かを思いついたように彩内院の目の奥深くをじっとのぞきこんだ少年は、ハッと息を呑んだ。
そして納得したように深くうなずいてから、ふわっと天使の頬笑みを見せた。




