快適隠れ家!後!
制御する側は冷静なものです。あなた、未熟注意ですよ!
レインを挟んで起こしたソファーに並ぶ三人。この状態であればさすがに殴り合いはしない。
「あー、そうだ。昔のことと言えば俺様聞きたいことあったんだよね。俺様がくるまではずっと二人っきりだったのかな? って」
レインとシーナが顔を見合わせる。
「あれ? レインさんジャックに話さなかったっけ?」
「えへ。私覚えてないや」
「アホのシーナは黙ってろ。俺様はレインに聞いてんだ!」
「なんだってー? その口に銀紙入れちゃうぞー!」
「こらこら……あのねレインさん最初は独りきりだったの」
「ひとりじゃやだー!」
寂しがりのシーナが拳を握っていきなり叫んだ。
レインが笑いながら、その頭をわしわしと混ぜてなだめる。
「大丈夫だよシーナ。すぐにもう一人増えたからね。それからレインさんとその子の二人でいろんなところに行ったなー。あっちにもこっちにも本当にたくさん……そしてここにきたときシーナも増えて三人になったんだよ」
何か考えている風のシーナがぼんやりつぶやいた。
「あぁ、そういえばいたかもね、もうひとりー」
ジャックが嫌な顔をする。
「シーナって最低だな。一緒にいたくせに忘れちゃうのかよ。で? そいつは今いないってことはどこ行ったんだ?」
レインが言い難そうに口を開く。
「あー……その子はね事故で粉みじんになっちゃったの。そのあとはまたしばらくレインさんとシーナの二人だけになって、ジャックがやってきたってわけ」
レインの両脇の二人が、すっかりおとなしくなり神妙な顔をしている。
「粉……」
「みじん……」
「そう。みんな不死身じゃないんだからね? レインさんこれ以上死体を見るのはごめんだよ? ちなみにシーナがあんまり覚えてないのは、その子とほんの少ししか一緒にいなかったのとレインさんがシーナに一切現場を見せなかったっていう両方のせいだね」
ジャックとシーナが現場を思い浮かべて同時に身震いをする。レインはそんな二人を見下ろして両手で、ぎゅうっと抱き寄せた。
「はい! 怖いならそうならないようにすることー! 二人ともわかった?」
「お、おう」
「はーい、もっちろーん! じゃあもう一個ケーキ食べていい?」
スプラッターな画面を想像した直後にケーキを食べているシーナを見てジャックが、おえっとなっている。
「俺様がもし何か食べてたら出ちゃいけないものが出てくるとこだぞ!」
「あー、レインのまねっこだー。どうせジャック何も食べないんだから出てくるものなくてよかったじゃん」
「俺様だってたまには何か食べることもあんだろー?」
しーながここぞとばかりにニカッと笑って“めめーぞん”の宝石タルトを差し出した。「じゃあ食べる?」
お持ち帰りの箱にはお目当てのショコラ・オー・キャラメリゼを初め、真っ白なチョコとチーズムースでできた定番商品のアンジェラまでぎっしり詰まっていたのだ。当然の如くシーナは、明日は買ってもらうのを我慢しなさい、とレインにしっかり注意されていた。
「○△□!」
丸ごと苺がたっぷりのタルトは血と肉片を連想するには、もってこいの一品だ。
声にならない悪態をつきながらジャックが逃げていく。それを見ながら満足げに苺の宝石箱にかぶりつくシーナ。
レインは、そんないつも通りの二人を見て幸せそうに笑顔を見せるのだった。




