ドアの向こう!後!
次第に見えてくるものを直視できますか?あなた、正体注意ですよ!
「……?」
頭の中を整理すべく、彩内院は握っていた眼鏡を胸ポケットに入れて、また床にあぐらをかいた。しばらく両手を顔に押し当てて目を閉じていたが、やがて大きくため息をつきながら顔を上げて少年に頬笑みかけた。
「ところで君は僕がレインのことを口にしたとき『彼は嘘つきじゃない』って言ったよね? 彼もここにきたことがあるとは言ってたけどレインのことを知ってるの?」
いきなり何事もなかったかのように違う話を持ち出してきた。いわゆる現実逃避である。
少年は彩内院に気付かれぬように、ふっとそらした顔を曇らせた。
「彼が入ったのはココであってココじゃない。世界はつながっていて僕らは世界中どこの言葉でも話せる。すべてがただのお遊びにすぎないんだ」
「急に何言ってるのかな? “僕ら”って、一体……? それに世界中って言うからには、やっぱりレインが日本人じゃないって意味かい?」
遠い目になった少年の顔は忌まわしい記憶を呼び覚ましているようで苦痛に歪んだ。
「そう。彼は……彼は僕が欲しくなるほどに綺麗なグリーンの目を持っていた……」
「え? レインの目は真っ黒だったはず。じゃあ、カラコンかな? そういえば自分で名前を付けたって言ってたけどレインは本名じゃないってこと?」
「いや、そうであってそうじゃない。名前はひとつだからね。つまり彼も彩内院 塔哉、君と同じくこうやって最後のドアまで辿り着いた過去を持っているんだよ」
最後の一言は、まるで汚いことのように言い放った。
「それって、どういう……」
「彩内院 塔哉、彼は言わなかったかい? 『私はもしかしたら未来のあなたかもしれません』って。外で選ばれた人間を集めてくるのはそれぞれ理由は違うけど……みんな、ただの出来損ないの元人間なんだよ!」




