↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界付与術師 ~ステータス画面に新機能を付与していたら、世界がどんどん便利になっていく~』  作者: ネコロビン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/32

第15話 掲示板を分けよう

第15話 掲示板を分けよう


 朝。


 冒険者ギルドへ入る前に、俺は立ち止まった。


 最近はこれが癖になっている。


 出かける前。


 ギルドへ入る前。


 飯を食べる前。


 とりあえず《掲示板》。


 歩きながらは見ない。


 そこは守っている。


「さて」


 ステータス画面を開く。


【西の森でゴブリン確認】


【今日の焼きたてパン】


【うちの猫、寝すぎ】


【南広場で大道芸やるぞ】


【北街道、荷馬車通行可能】


【新しい剣ができた】


【かわいい子あげよう!】


【薬草採取地について】


【今日の昼飯】


【銀鹿亭、新しい酒入りました】


【東の村で祭りやるらしい】


【犬】


【迷いの森、新ダンジョン調査】


【昨日買った靴】


【夕焼け】


「…………」


 指を止める。


「多いな」


 もう少し送る。


【うちの猫その二】


「猫増えたな」


 さらに送る。


【西街道の――】


「あった」


 街道情報を見たかっただけなのに、けっこう時間がかかった。


 掲示板を閉じる。


 顔を上げる。


 ギルドの扉の前にロイドがいた。


「何してんだ?」


「掲示板」


「知ってる。見えてるから」


「ああ、そうだった」


 ロイドが俺の横に来る。


「今日、西の方行くのか?」


「いや。街道の様子見てただけ」


「俺たちは北」


「依頼?」


「ああ」


 ロイドが自分のステータス画面を開いた。


「昨日、北の森で魔物の目撃があったらしいんだけどな」


「うん」


「その投稿が見つからん」


「……分かる」


 二人で掲示板を見る。


「これじゃない?」


「違う。それ一昨日」


「じゃあこれ」


「東の森だ」


「あ」


「昨日の北」


「ちょっと待って」


 送る。


 送る。


 パン。


 猫。


 宿。


 折れた剣。


 料理。


「……どこ?」


「だから探してんだよ」


 ロイドが言った。


 エナがギルドから出てきた。


「何してるの?」


「北の森の投稿探してる」


「ああ、それならこれ」


 エナが画面を開く。


 すぐに出した。


【北の森で大型の足跡を確認】


「それ!」


「どうやって見つけたの?」


「朝から探してたから」


「すぐじゃなかったんだ」


「全然」


 バルクも出てきた。


「そろそろ行くぞ」


「おう」


 ロイドが歩き出す。


 その前に俺を振り返った。


「ユウト」


「何?」


「掲示板、なんとかならん?」


「…………」


「冒険の情報だけ見たい時、面倒なんだよ」


「考えとく」


「頼む」


 三人が出ていった。


 俺はギルドへ入った。


「ユウトさん」


「はい」


 入ってすぐだった。


 ミリアが呼んだ。


 眼鏡。


 いつもの受付。


 最近、これを見ると掲示板のハート数を思い出す。


 見ない。


「こちらへ」


 ミリアの前には紙が何枚か置いてある。


「何これ?」


「要望です」


「…………」


 嫌な予感がした。


 一枚取る。


『冒険に関係する情報が探しにくい』


 さっき聞いた。


 次。


『店の入荷情報が他の投稿に埋もれる』


 商人かな。


 次。


『祭りの日程をもう一度見たいが見つからない』


 次。


『雑談だけ見たい』


「……雑談だけ見たい人もいるんだ」


「いるみたいですね」


 もう一枚。


『猫の投稿が探しにくい』


「これは知らない」


「私に言われても」


 紙を戻す。


「いつからこんなに?」


「ここ数日ですね」


 ミリアが掲示板を開く。


「《返信》とハートが追加されてから、投稿する人も増えました」


「ああ……」


 反応が返ってくるようになった。


 それで投稿する人も増えたのか。


「商人ギルドからも正式に要望が来ています」


「もう?」


「昨日です」


 紙を一枚渡される。


『店舗・商品に関する投稿を確認しやすくできないか』


「セドリックさんたちか」


「ご存じなんですか?」


「昨日一緒に店回った」


「そうでしたね」


 ミリアが別の紙を取る。


「冒険者側からも同じような要望があります。危険情報が他の投稿に埋もれる、と」


「うーん」


 俺は掲示板を開いた。


 今この瞬間も増えている。


【南の食堂、本日魚料理】


【迷いの森について】


【かわいい子あげよう!】


 ♥ 2,184


「……まだ増えてる」


「何がです?」


「いや」


 送る。


【西広場、今夜から三日間夜市】


【うちの犬が変な寝方してる】


【新しい盾買った】


【薬屋に回復薬入荷】


【東街道でオーク目撃】


 なるほど。


 確かに。


 全部同じ場所にある必要はない。


「分ければいいのか」


「分ける?」


「掲示板を」


 ミリアが俺を見る。


「どうやって?」


「内容ごとに」


 俺は紙を一枚借りた。


 書く。


 まず。


【冒険者情報】


「魔物とか、街道とか、ダンジョンとか」


「依頼に関係する情報もですね」


「うん」


 次。


【お店の情報】


「パン屋とか薬屋とか鍛冶屋」


「宿屋も?」


「店……まあ、ここでいいんじゃない?」


「いいと思います」


 次。


【催し・行事】


「祭りとか」


「劇団の公演もあります」


「武闘大会とか」


「そうですね」


 最後。


【雑談】


「猫」


「猫ですね」


「犬」


「犬ですね」


「夕焼け」


「はい」


「かわいい子」


「…………」


 ミリアが眼鏡を上げた。


「雑談ですね」


「はい」


 それ以上は言わない。


 紙を見る。


 四つ。


【冒険者情報】


【お店の情報】


【催し・行事】


【雑談】


「これくらいかな」


「少なくありません?」


「最初から増やしすぎても分かりにくいし」


 必要になったら増やせばいい。


 たぶん。


「それぞれ開いたら、その種類の投稿だけ出るようにする」


「今までの投稿は?」


「あ」


 そこを考えてなかった。


 既にかなりある。


「……分けられるかな」


「ユウトさんが分からないなら、私にも分かりません」


「やってみる」


 俺は《付与》を開いた。


 今回は書いた方がいい。


『《掲示板》の投稿を内容によって分けて表示できるようにする』


 続ける。


『投稿する時に【冒険者情報】【お店の情報】【催し・行事】【雑談】の四つから一つを選ぶ』


『見る時は、選んだ種類の投稿だけを表示できる』


 少し考える。


 既にある投稿。


『これまでの投稿についても、内容に合うものへ分ける』


 入力。


 ピコン♪


【《掲示板》の機能を変更します】


【《分類》を追加します】


【投稿時、以下から分類を選択します】


【冒険者情報】


【お店の情報】


【催し・行事】


【雑談】


【これまでの投稿も内容に応じて分類されます】


【承認しますか?】


「できるんだ」


 ミリアが横から見ていた。


「みたい」


「便利ですね」


「俺もそう思う」


 《承認》。


 押す。


 ピコン♪


 ギルド中で音が鳴った。


 最近、もう誰も驚かない。


「あ、まただ」


「今度は何だ?」


「掲示板?」


「なんか増えたぞ」


 受付にいた冒険者たちがステータス画面を開く。


 俺のところにも表示された。


【《掲示板》が更新されました】


【投稿を分類して確認できるようになりました】


 掲示板を開く。


 上に四つ並んでいる。


【冒険者情報】


【お店の情報】


【催し・行事】


【雑談】


「おお」


 まず【冒険者情報】。


【北の森で大型の足跡を確認】


【東街道でオーク目撃】


【迷いの森・新ダンジョン調査】


【西街道の石橋について】


 すっきりした。


「これだよ、これ」


 近くにいた冒険者が言った。


「魔物の情報だけ見れる!」


「街道もあるぞ」


「昨日の橋どうなった?」


「復旧始まったらしい」


 別の冒険者が【お店の情報】を開く。


「お、銀鹿亭に新しい酒」


「昼から酒の話すんな」


「見るだけだ」


 ミリアは【催し・行事】。


「南広場の夜市、今日からなんですね」


「行くの?」


「仕事が終われば」


 俺も見る。


 祭り。


 劇団。


 夜市。


 冒険者向けの小さな競技会。


 ちゃんとまとまってる。


「いいじゃん」


「見やすいですね」


「でしょ」


 最後。


【雑談】


 開く。


【うちの猫、寝すぎ】


【犬】


【今日の昼飯】


【東の丘から見た朝焼け】


【見てくれ! 剣が折れた!】


【かわいい子あげよう!】


「…………」


 あった。


 開いてみる。


 ♥ 2,241


「増えてる」


「ユウトさん」


「はい」


「何を見てるんです?」


「猫です」


「嘘ですよね」


 閉じた。


 昼頃。


 商人ギルド。


 セドリックは机で昨日の調査結果をまとめていた。


 ピコン♪


 音が鳴る。


 周りでも鳴った。


「更新?」


 掲示板を開く。


 四つの分類。


 セドリックは迷わず、


【お店の情報】


 を押した。


【今日の昼、新しいパンを焼きます】


【解毒薬入荷しました】


【新しい短剣が仕上がった】


【銀鹿亭、新しい酒入りました】


【南通りの宿、空室あり】


「……なるほど」


 昨日まで、猫や夕焼けの間から探していた。


 今は店の情報だけが並ぶ。


 向かいに座っていた年配の男も画面を見ている。


「要望を出したばかりだったな」


「はい」


「もう変わったのか」


「そのようです」


 男はしばらく画面を動かした。


「見やすくなった」


「ええ」


 セドリックは紙を一枚取る。


 そこには昨日まで調べた店の名前。


 客数。


 売れた商品。


 掲示板を見て来た客の数。


 まだ調べることは多い。


「調査は続けます」


「ああ」


 男が頷く。


「むしろ、やりやすくなったな」


 夕方。


 ロイドたちが帰ってきた。


「ユウト!」


「お帰り」


「掲示板、見やすくなったぞ!」


「朝言われたから」


「早いな」


 エナも頷く。


「北の森の情報、すぐ確認できた」


「よかった」


 バルクが横で画面を開いている。


「おい」


「何?」


「雑談も見やすくなったぞ」


「そっちは別にいいんだよ」


「猫だけ見れるわけじゃないぞ」


「猫から離れて」


 ロイドが笑う。


 俺も自分の画面を開いた。


 四つ。


 冒険者。


 店。


 催し。


 雑談。


 たったそれだけ。


 昨日までと同じ投稿なのに、ずいぶん見やすい。


 その時。


「ユウトさん」


 ミリアが呼んだ。


「はい?」


「要望です」


「もう!?」


「はい」


 紙を一枚持っている。


「何?」


 受け取る。


『雑談の中から猫だけ見たい』


「…………」


 紙を返した。


「それは自分で頑張って探してください」


 ミリアが少し笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。