聖杯騎士団の初陣――「絆」の連撃
アヴァンは蒼銀の装甲を纏い、愛剣の柄を強く握り締めた。背後には、かつて互いに憎しみ合っていた獣人の若者たちと、公爵家の元兵士たちが、肩を並べて呼吸を整えている。
「みんな、聞いて。……ボクたちの目的は、敵を殺すことじゃない。この村に、一歩も足を踏み入れさせないことだ。……ハンスさん、リリ、力を貸して!」
『応よ! 小僧、指揮は任せたぜ!』
『ボクの風、全部あんたにあげるわ!』
アヴァンの右手の聖杯が、戦場全体を覆うほど広大な「魔力ネットワーク」を構築した。味方全員の脳裏に、敵の動きと味方の位置がリアルタイムで共有される。
【聖杯奥義:戦術共鳴発動】
「……第一陣、ロルフ! 盾を構えて!」
アヴァンの鋭い指示に合わせ、元兵士のロルフ率いる重装歩兵隊が前進する。彼らが手にする古代の霊力盾が共鳴し、目に見えるほどの蒼い障壁が展開された。
ザバルの手下たちが放つ矢や魔法が、その障壁に触れた瞬間に虚しく霧散していく。
「な、なんだあの盾は!? びくともしねぇぞ!」
「今だ、ガラム! 右翼から突撃!」
盾の隙間から、影のように飛び出したのはガラム率いる灰狼族のスカウト部隊だ。
彼らは魔導装甲のブーストを使い、重力さえ無視したような速度で野盗の側面に回り込む。リリの風を纏った彼らの一撃は、野盗たちの武器を正確に叩き折り、戦意だけを削ぎ取っていく。
「……次はボクが行くよ」
アヴァンはリリの神速で戦場の中央を一直線に駆け抜けた。
ザバルが振り回す巨大な斧を、ハンスの剛力で受け流し、そのまま峰打ちで彼の巨躯を地面に叩き伏せる。
「……終わりだ。これ以上抗うなら、君たちの『存在』そのものをボクの聖杯に飲み込ませる。……選んで。降伏して生きるか、無に帰るか」
アヴァンの瞳に宿る、冷徹ながらも慈悲深い光。
カイルを「喰った」時の禍々しさは微塵もなく、そこには「統治者」としての圧倒的な風格があった。
「……が、はっ……。あ、あぁ……。降参だ、降参だッ! 命だけは助けてくれ!」
頭領の敗北を見た野盗たちは、次々と武器を投げ出し、その場に跪いた。
二百人の大軍を相手に、アヴァン側は**「負傷者ゼロ」**という、戦史に残るような完全勝利を収めたのだ。
【リザルト:初陣・完勝】
捕虜: 野盗団「赤錆の爪」200名を確保(村の外郭拡張のための労働力へ)。
住民の絆: 獣人と元兵士が互いの背中を守り抜いたことで、深い信頼関係が構築。
SP最大値: 8500 → 12000(指揮官としての覚醒により大幅上昇)
戦いが終わった夜、要塞の広場では、ガラムとロルフが笑いながら互いの肩を叩き合っていた。
「おい、ロルフ! あんたの盾、最高だったぜ。あのおかげで、俺たちは後ろを気にせず突っ込めた」
「ふん、お前らの速度がなきゃ、盾だけで耐えきれるもんじゃないさ。……アヴァン様の指揮、まるで見透かされているようだったな」
その光景を城壁から見守るアヴァンの隣に、バルトが静かに佇んでいた。
「お見事でした、坊ちゃま。……武力ではなく『絆』で勝った。これこそナリア様が望んだ姿でしょう。……ですが、この勝利の光は、あまりに強すぎましたな」
「……そうだね。きっと、もうすぐ来る。……本当の『敵』が」
アヴァンの視線の先、暗い街道の彼方から、一羽の霊的な伝書鴉が飛来した。
それは、アグニール公爵家本家からの「最後通牒」だった。




