第一目標決定!
「すまん、もう一回言ってくれないか?」
「ですから、“炭酸水”です。」
(それは・・・強いのかな?まあ名前で判断するものではないしな。)
「えっとどんな能力なんだ?」
「細かいことはこの説明書に書いてありますから、それを見て確認してください。」
そう言ってセイラは音也に一冊の本を渡した。辞典のような大きさでかなりの厚みがある。どうやら後ろのページには、音也たちのいる世界のことも書いてあるようだ。音也は、本の厚さにげんなりしつつも、その本を開いた。
能力テーマ“炭酸水”
この能力は、炭酸飲料を使うことで、凍結と放電、帯電の力を使うことができる。
凍結について
発動条件 手がぬれていること
発動速度 3ロード
クールタイム なし
能力詳細 手に触れることであらゆるものを凍結させることができる。温度調整可能。氷を生み出すこともできる。なお、生み出せる氷や凍結されられる量には限度があり、生涯のうちに飲んだ炭酸飲料の量と関係する。(1リットルで半径1メートルのものをすべて凍結させることができ、体積が1立方メートル程度の氷を生み出すことができる。)
放電、帯電について
発動条件 炭酸飲料を飲んで30分以内
発動時間 1~2ロード(放電の場合は2ロード、帯電の場合は1ロード)
クールタイム なし
能力詳細 放電することができる。また、自身がふれたものを帯電させることができ、自身が電気をまとうことも可能。なお、放電、帯電することができる量には限度があり、生涯のうちに飲んだ炭酸飲料の量と関係する。(詳しくは分からん。)
と、ここで音也はいったん本を閉じ、近くの椅子に腰かけているセイラに向かって話しかけた。
「若干テキトーなところもあるがまあいいや。それより、いくつか質問をしていいか?」
「どうぞ。」
「この能力、ちょっと問題多くないか!?特に下のやつ!なんだよ炭酸飲んでから30分以内って!短いわ!戦闘中に気持ち悪くなるわ!てかまず炭酸なんて戦闘中に持ってちゃいけねーだろ!動き回ったら吹き出すわ!異世界なのに炭酸なんてあるのか!?だいいち・・・・・・・・俺炭酸飲めねーんだよ!」
突然の大声にもセイラは驚かずに、意外そうな顔をしていた。
「あなた、炭酸飲料などよく飲みそうな印象がありますが。」
「人を見た目で判断するな!」
そこから数分の沈黙の後いったん落ち着いた音也は、冷静に考え始めた。
(でもこれは夢の中なわけだし、感覚ないなら炭酸飲めるかもしれないな。・・・・・・ん?なんか体の感覚がある気がする。夢で布団の感触をここまで感じることはなくないか?そもそも、夢の中でもわくわくしたりするのか?これももしかして夢じゃない感じか?いやでもそれだと最初の感覚がないのはなぜなんだ?)
「なあ、今あんまり体の感覚がないのはなぜだ?」
「それは、異世界に転移した影響でしょう。ほかの世界に移ったので、体がこの世界に慣れようとしているのだと思います。」
普通の人間なら困惑するところだろう。もしくは、まだ夢と考えるものが大半だろう。だが音也にとっては、セイラの言葉と体の感覚、胸の高鳴りが、異世界に来たのだと実感するには十分なものであった。
「あともう一つ。俺をこっちの世界に呼んだのはさっきの子か?あの子は何者なんだ?」
「あの方は私の主人であり、神です。」
「へー神か。うん、だいたい予想通りだな。」
「おどろかないのですね。」
「まあ、よくあるパターンだからな。」
それだけ聞いた音也は、熱心に説明書を読み、ときどきセイラに質問をしながらかなりの時間を過ごした。
音也が説明書のほとんどを読み終わったころ、部屋に少女が入ってきた。4畳程度のそこまで広くない部屋なので、3人が入ると少し窮屈だ。
「おっ、戻ってきたのか。それにしても神には見えねーな。」
「それは失礼ではないか?まあ言われなれているからいいが。」
神の容姿は人間の少女そのもので、幻想的な雰囲気を持つことは確かに異質だが、見た目だけでは到底神には見えない容姿をしていた。
「じゃあ、この世界についてちょっと確認な。俺たちの今いるユークリット高原は、パトラシア帝国の西部に位置し、このパトラシア帝国には、たくさんのギルドが存在する。ギルドとは、能力を持って生まれた人間が、モンスター討伐などさまざまな依頼を受けて、達成できたら報酬をもらえるという感じだな。」
「そうじゃ。」
「じゃあ、俺の第一目的を決めたぞ。
俺は仲間を集めて自分達の最強ギルドを作ることにした。」




