すべての始まり
光城音也はユークリット高原から見える星を眺めながら、あの日のことを思い出していた。すべてが始まった、あの日のことを・・・
「はぁーーー」
音也は、学校帰りの路上で一人ため息をついた。今日もつまらない一日だった。ゲームでもして気を紛らわそう。とはいえもう夕方だから、そんなにできないな。そんなことを考えていた。
(パケットモンスターもうじき新作出るんだよなーまた新パケも育成しないと。それにファイナルストーリーもまだやりたりないし、ホワイトキャッツとかもイベントきたからやらないとなー。マジで時間ねー。いっそのこと学生やめてニートになりてー。でもそれじゃ生きてけないしなー。)
「おっと、すみません。」
下を向いて歩いていたから、金髪の少女にぶつかってしまった。可憐という言葉がふさわしい、まだ幼さの残る少女だった。年下の少女にぶつかったのだから、敬語を使わなくてもいいのかもしれないが、こういう時、なぜか敬語になってしまう。頭を下げてそのまま通り過ぎようとした時、
「おぬしは、この世界に満足しておるか?」
その少女の声は年相応のものだったが、音也はとてつもない違和感を感じた。音也は自分を見透かされているかのような気持ちになり、そのまま過ぎ去ろうとしていた足が止まった。振り返ると少女は曇りのない赤い瞳でこちらを見つめていた。
(何か喋ったほうがいいかな。いや、何振り向いてるんだ俺は。振り向かなければよかったのに。)
「・・・。」
少女に見つめられて音也はどうすればいいのかわからなくなった。どう答えればいいのか、もしくは無視してそのまま帰ればいいのか。数十秒悩んだのち、音也は答えた。
「満足なんかしていないよ。この世界は本当につまらない。できることなら、もっと楽しい世界に生まれたかった。」
それを聞いた少女はふっと微笑み、
「ならばその夢、わしがかなえてやろう。」
「え?」
その瞬間音也の意識は途切れた。
「ん、んー・・・・・・・・・・・ん?」
目覚めたら、そこは知らない部屋のベッドの上だった。自室のベッドよりもフカフカで、部屋も広く、とても居心地がいい気がした。
(どこだここ?俺誘拐でもされたのか?)
そこにドアから一人の少女が入ってきた。黒髪ロングヘアーの清楚な感じの少女だ。
「おや、お目覚めですか。」
さっきの少女ではない。さっきの少女は12歳くらいに見えたが今音也の目の前にいる少女は16,17歳くらいだろうか。音也は混乱していたが、何とか口を開き、
「えっと・・・きみは誰?ここはどこ?もしかして俺、誘拐でもされちゃった感じ?」
「質問を立て続けにしないでください。私は、セイラ・アーカイブ。そしてここはユークリット高原の南方です。あと、あなたは誘拐されたのではではありません。」
誘拐ではないことは音也にも予想はできた。誘拐にしては拘束されていないし、こんな居心地のいいところにも入れられないだろう。では、なぜ自分はここにいるのか。それに、体の感覚があまりない。音也が戸惑っているとそこにもう一人少女が入ってきた。
「あっ!きみはさっきの・・・」
それは先ほど話していた不思議な少女だった。
「光城音也、お前の望み通り異世界に転移させてやったぞ。」
その時、音也は思った。ああ、これは夢だと。理由はいくつかあった。まず第一にそのときの音也には感覚がなかったし、音也は異世界なんて存在しないと思っていた。
(言い夢見てるなー俺。これは早く展開を進めてひとバトルくらいしてから目覚めたい。)
「分かった。で、俺にはどんな能力があるんだ。」
「話が早いな。もう少し動揺するものじゃと思ったぞ。まあいい。わしはお前を転移させて疲れておる。あとはそいつに聞いてくれ。わしは寝る。」
そう言って消えてしまった。ともかく、目覚める前に一回は異能力バトルがしたい。そう思って音也は説明をせかした。
「じゃあ説明頼む。短めにな。」
そう言われるなり、セイラは説明を始めた。
「はい。ではまず大事なことを3つほどいいます。1つ目はこの世界の異能力は、それぞれにテーマと発動条件があります。2つ目はこの世界での死は本当に死んでしまうので、注意してください。3つ目は、」
セイラは音也の目をまっすぐ見つめながらこう言った。
「この世界は自由です。あなたの好きなことをしてください。」
いいことなのか悪いことなのか、このとき音也は、今までの人生の中で最も胸が高鳴るのを感じた。
「それで、俺の能力はなんなんだ?」
「あなたの能力のテーマは、“炭酸水”です。」
「おおーやっぱ強そ・・・う・・・?」




