第一章6 「脱走」
「ーー探せ!」
辺りが騒がしい。
「んぅぅ…」
「はぁ……はぁ……あ、おはよう、アンナ」
目を擦りながら何とか目を開くと、目の前には息を切らしながら微笑むリアナが居た。
ーーここ、どこ?
密閉された空間、壁には通気孔のような小さな穴があり、そこから僅かに光が差し込んでいる。
隅には箒や木のバケツ?みたいなものが立てかけられている。
物置部屋みたいなものだろうか?
ーーうーん…。
いや、何があったのかはリアナに聞く方がいいか。
「ねぇ、リアナ。ここって?」
「ふぅ……ここは魔導監獄の地下一階…だと思うわ」
だと思う…?
「探せ! 虫一匹見落とすんじゃねぇぞ!」
「元はといえばお前の油断がーー」
「うるせぇ!」
男たちの声が聞こえる。
「なんか外が騒がしいけど何かあったの?」
「ふふ、彼ら、私たちを探しているのよ?」
楽しそうな笑みを浮かべるリアナ。
うん?私たちを探している?
「え…? なんで?」
「私が見張りの隙をついて、ここまであなたを連れてきたのよ」
…………?
ーー見張りの隙をついて、ここまで来たと…なるほど…。
って、
「えええええ!?」
「静かに!」
リアナの人差し指が私の口元に触れる。
「大丈夫よ、絶対にあなたを外に出してあげるから!」
そう言って、リアナは何もかもを吹っ飛ばすかのような笑みを浮かべていた。
「り、リアナ? 私、いろいろわからなくて…えっと、その…何がどうしてこうなったのかな?って」
「混乱するのもわかるわ。だけど、丁寧に説明している時間はないの。即断即決! 脱獄か、ここに残って死ぬか。答えは一つよね? はい!どうぞ!」
「え、あ…えっと?」
ーーリアナが悪いことをする人だとは思ってないし、これにも理由があるんだよね…?
「そうね…一緒に来てくれたら、アンナを世界屈指の魔法使いにしてあげるわ!」
ーー魔法使いに…?
リアナは魔法の話をしようとすると、はぐらかしていた。
だから、リアナは気を遣っているのだと思った。口に出さないだけで、私には才能がないのかな?って
「え、行きます! 絶対行く! いや、行かせてください!」
え?行かない理由なんてないじゃん。
早く脱獄しようよ!
「え? ちょ、ちょっと? まさか、そんなに食いつきがいいとは思わなかったわ。もっと、こう『悪い事は絶対ダメ!そんなことをするぐらいならここで餓死した方がマシ!』って駄々こねられて私が仕方ないわねって言いながら無理矢理にでもあなたを連れて行く流れだと…」
彼女は一歩後ろに引くと「予想外の反応だわ…」と呟く。
「リアナ、何を言ってるの? 早く魔法教えて?」
どこの何をみて私のことをそう思ったのだろう?
リアナは軽く咳払いをすると、話を続けた。
「ま、まぁ、協力してくれるというのなら助かるわ。それじゃあ脱獄計画について話すわね。アンナ、耳を貸して?」
耳を貸す…?
え?耳って取れたっけ?
軽く引っ張ってみるが、取れる気配はない。力いっぱいに引っ張っても痛いだけだ。
「アンナ、何してるの?」
「…痛くしないでね?」
「………………!? そんな怖いことしないわよ!」




