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【第8話 文院最高評議機関(ルンド・バルゴア)】

 文院本部の地下室。

 薄暗い一室に、セヴァルドの姿があった。

 彼は黒い歪な何かに手を置き、もう一方には羊皮紙を持っていた。


セヴァルド「…(先月の文律師の死亡数は7…。…レドの名もある。)」


 羊皮紙には、深紅の文字列が次々と浮かび上がる。

 その時、彼の視線が一か所に止まる。


セヴァルド「…(死亡名簿に閲覧履歴…。)」

セヴァルド「(アクセス権限を持つのは、執筆官のみ…。)」


セヴァルド「…(やはり、ガナック。…レドのことが気になるか…。)」


 ある違和感を抱く。


セヴァルド「(…この死亡表記、別の者と若干異なるな…。…表記が短い。)」


 ――これは、一体どういうことだ?


セヴァルド「(…嫌な予感がする。処理が完了していないのか…?)」


 セヴァルドは、足早に部屋を出た。


セヴァルド「…(ルンド・バルゴアに確認を取るか。)」


 長い廊下の突き当り、奥の扉の前に立つ。


セヴァルド「…セヴァルドです。お出でですか?」


 扉がわずかに開く。

 隙間からは、闇の中で薄っすらと人の姿が浮かぶ。

 部屋の中から、重く低い声が聞こえる。


声「…なんだ……セヴァルド・カルセイン。」


セヴァルド「…ゾラル様ですね。…お聞きしたいことがあります。」

ゾラル「…」

セヴァルド「死亡表記が他と異なる死者がいます。」

ゾラル「……質問の意図は?」


ゾラル「………“骸府管理具”の使用を疑ったか?」

セヴァルド「…なるほど。…では“管理部”への確認をいたします。」

ゾラル「………。」


ゾラル「………もしくは、原基が改竄されている。」

セヴァルド「!…」


ゾラル「……その現象は、処理が完了していない。」


ゾラル「………いずれにせよ、虚偽は罪だ。…排除しろ。」

セヴァルド「…やはり。…失礼いたします。」


ゾラル「……。」


セヴァルドは、焦った様子で階段を上がる。


セヴァルド「…(骸府管理部に不届き者がいるか、…ガナックが改竄したか…。)」


セヴァルド「(どちらにせよ、レドが生存している可能性が出てきた…。)」


 自室に戻ったセヴァルドは、ドレヴァを呼びつけた。


ドレヴァ「はい。…どうされましたか、セヴァルド様。」

セヴァルド「…先月のレドの始末、偽りは無いか?」

ドレヴァ「?……はい、もちろんでございます。骸府の姿も確認しております。」


セヴァルド「…生きている可能性がある。」

ドレヴァ「…は?」

セヴァルド「言葉の通りだ。…理解できんか?」

ドレヴァ「…い、いえ…。ですが……。」


セヴァルド「奴を仕留めるため、お前に“禁律”の使用さえも許したのだ。」


セヴァルド「それでも仕留められないとするのなら、それは奴のせいではない。」


セヴァルド「…お前の実力不足だ。」

ドレヴァ「!……そんな、はずは…。」

セヴァルド「必ず、見つけ出し、仕留めろ。」

ドレヴァ「…は、はっ!」


セヴァルド「奴を、外で遊ばせておくのは危険だ。」

ドレヴァ「…かしこまりました。」


 ドレヴァは、自室に戻るとすぐに2人の男女を呼んだ。


男「失礼いたします。」


 男の姿を見るや否や、ドレヴァは机の本を投げつけた。


男「!……。」

ドレヴァ「お前たちの失態だ!…この意味が、わかるか!?レグナス、ミルザ!」

レグナス「…。」

ミルザ「ドレヴァ様。…一体、どうされたのですか?」

ドレヴァ「レドが生きていると、…セヴァルド様が仰っている。」

レグナス「な、なに…?」

ドレヴァ「仕留めそこなったんだ、お前たちが!」

ミルザ「そんな…!ですが、骸府を確認しています!」

ドレヴァ「口答えするな!結果として、仕留め損なっている!」


ドレヴァ「…私の顔に泥を塗って…!どう落とし前を付けるんだ、…ええ?」

ミルザ「も、もちろん…!見つけ出します!どうか、汚名返上の機会を!」

ドレヴァ「当たり前だ!…現場周辺の領土を徹底的に洗い出せ!」


ドレヴァ「…生きているとはいえ、深手を負っているはずだ。」

レグナス「…。」

ドレヴァ「レグナス、貴様もだ!わかっているのか?」

レグナス「…はっ。もちろんでございます。次は、外しません。」

ドレヴァ「必ず仕留めろ。“上”からの命令だ!」


ドレヴァ「…あの子は、私が作ったのだ……だから、壊していいのも私だ!」



 数日後、文院本部。セヴァルドの部屋をノックする女性の姿。


女「セヴァルド様。入ります。」

セヴァルド「スーラか。…して、結果は?」

スーラ「骸府管理部全員の確認が取れました。」


スーラ「その中で、ジーリナット勤務のゲルザードが吐きました。奴は、すでに1年前に何者かによって管理具を奪われた、と供述していますが…。」

セヴァルド「なに…?」

スーラ「処分を恐れて隠していたと思われます。…ご報告は以上です。」

セヴァルド「…管理具が民間に渡っただと…?」

スーラ「はい。」

セヴァルド「…わかった。下がってよい。」

スーラ「失礼いたします。」



セヴァルド「(ガナックの仕業ではなかったか…しかし…)」


セヴァルド「(すでにドレヴァは、配下をローダ地方へ遣わしたと聞いたが…。)」


セヴァルド「(…何かが、動いている…?)」


続く


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