【第7話 生活】
数週間後、レドたちは再びロブローの村を訪れていた。
村人「この間の襲撃で、うちの働き手が5人もやられちまったんです。…子供も残っています。」
ロルダン「…うむ、わかっている。深刻な事態だ。だから、ここへ来た。」
ジザ「ロルダンさん。ここで良いのね?」
ロルダン「いや、もっと左じゃないか?」
村人「いや、もっと奥ですよ。あそこの雑木林を整地してください。」
ジザ「ああ、そっちね。…“紙文律”、嫌なのよね。疲れるし。」
ロルダン「何言っているんだ、お前の仕事だろう。」
ジザ「…おっしゃる通りでございます。」
レド「ちょっと、それ見せてください。」
ジザ「…な、なによ?」
レド「……。ここの構文、無駄が多いと思います。」
ジザ「…え?」
レド「書き換えてもいいですか?羊皮紙とインクがあれば…」
ジザ「…どこの部分?」
レド「ここですよ。…先に“ツェアー”を入れて…」
ジザ「予備があるから、書いてみなさいよ。」
レドは、地面に紙を広げると黙々と描き始めた。インクは血のように赤い。
レド「…これで、どうですか?」
ジザ「見たこともない組み合わせの構文…。これ、大丈夫なの?」
レド「…よく使っていた構文なので、問題ないと思います。」
レド「この方が、効率よく壊せます。」
ジザ「…。」
ジザ「…じゃあ、行くわよ。……“発現”。」
ジザの言葉と同時に羊皮紙が黒く歪みながら燃え尽きる。
目の前の木々が根元から次々と折れ、丸太が一か所に集約されていく。
ジザ「…す、すごい。確かに、これだと早いわね。」
ガルド「…やるな、坊主。」
レド「え?…あ、はい。」
村人「おおーっ。旦那ん所の新入りですか?優秀な文律師なんですな!」
ロルダン「…まあな。」
レド「…。」
ガルド「よし、こっからは力仕事だぞ。」
テス「ジザは休んでて。」
ジザ「…ありがと。」
ガルド「お前はまだ働けるだろ。…坊主?」
レド「あっ、はい。」
ロルダン「…よし、先に折れた幹や枝を片づけるぞ。」
村人「旦那がやらなくても、オレたちで十分ですよ。」
ロルダン「いや、見ているだけでは暇なのだ。構わん。」
ジザ「…これが差なのね。」
レド「…ジザさん。」
ジザ「正直、劣等感は拭い切れないものね。」
レド「…ジザさんにも武器があります。」
ジザ「気休めならいいわ。」
レド「違いますよ。」
ジザ「…?」
レド「あなたのエンボルの発動速度は、僕なんかより全然早い。」
レド「…あの時、あなたが先に牽制してくれていたから、僕がやれたんです。…お世辞なんかじゃない。」
ジザ「…そう?」
レド「はい。」
ジザ「…ちょっと気持ちがいいわね。他はある?」
レド「…あ、えーっと・・・。」
ガルド「おい、レド!知らねえのか?その女はな、怒るとエンボルがすげえ強くなるんだぞ!」
レド「え?そうなんですか?」
ガルド「そうそう!ヒステリック女の怒りのエンボル、聞いただけでも恐ろしいだろ?」
レド「…はい。」
ジザ「おい、レド!」
レド「あっ。」
ガルド「ぎゃははははは!」
テス「…お前、いつか殺されるぞ。」
ガルド「いっけね。さっさと仕事しよ。おい、早くしろ、レド!あっちで作業するぞ!」
レド「はい!」
ジザ「ちょっと待ちなさい!」
テス「座ってなって…。」
ロルダン「…こいつら、仕事をしろ…。本当に。」
続く




