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【第42話 始動】

 アリハンテ地方、メイラナット領。

 そこでは、森林の開拓が進められていた。

 そんな中、大きな爆発音が静かな森の中で響いた。


男A「なんだ、また暴発か?」

男B「だが、この轟音。…只事じゃないぞ。」


文律師「…助けてくれ!仲間が…!」

男A「……こ、これは…!」


 そこには、さっきまで仕事を熱心に進めていた文律師が、

 あまりにも無残な姿――まるで、黒い塊が地面に転がっているようだった。


 黒い塊は、まだ微かに脈打っていた。


男B「うっ…うぷっ」


 隣にいた男の一人が、その光景に耐え切れずに嘔吐する。


文律師「…も、もう文律なんて…使いたくない!勘弁してくれ!」

男A「……!」


 その光景は、これまで当然だった日常が崩壊していく様だった。




 ――文院本部。


ヴェシュラ「…王陛下より、招集命令が。」

ガナック「……セヴァルドが気付いたか。あやつを舐めていたつもりは無いが…」

ヴェシュラ「……勘が良いのですね。」


ガナック「…できれば、この手段で納めたかった。」

ヴェシュラ「先を急ぎ過ぎましたか?」


ガナック「…いや…変化を急ぎ過ぎたつもりは無いが……だが…」


ヴェシュラ「…?」


ガナック「…待てないのさ。執筆官の任期も…人間の寿命も、限られているんだ。」


ガナック「それとも、彼らが改心するのを待てというのか?」

ヴェシュラ「…無理な話です。」


ガナック「……想定の範囲だ。」


ガナック「…次の一手を取る。」

ヴェシュラ「……ガナック様。」


ガナック「…なんだ。」


ヴェシュラ「…その一手は、もう後戻りできません。」


ヴェシュラ「本当に…それで良いのですね?」


ガナック「……ああ。」


 ガナックは椅子から立ち上がり、低く静かに言葉を放つ。


ガナック「…全てを終わらせるぞ。」


ヴェシュラ「……畏まりました。」


ガナック「移動は手筈どおりだ。一旦、南へ迂回する。…カルダムで落ち合う。」

ヴェシュラ「はい。…“あの男”には、文書を送っておきます。」

ガナック「ああ、手短でいい。合流は、必ず遅れずに行えと伝えろ。」

ヴェシュラ「…はい。」


ガナック「…王宮と文院。…水と油が初めて手を取り合う原因が、このオレになるとはな。」

ヴェシュラ「連携など、一朝一夕で成せるものではありません。」

ガナック「油断はしない。……この作戦は、必ず遂行する。」

ヴェシュラ「……準備をしてまいります。」


 ヴェシュラは部屋から出る。


ガナック「…レド。お前も来るか……?」


ガナック「……存外、その方が面白いかもしれない…。」


 ガナックは、笑ってみせた。


続く


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