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13.常識を差別とヘイトにして社会を壊す。

 テキサス国の空は抜けるような青空だ。

 ここにはテキサス国のウェーコ郊外にあるヘリンガー協会の本部、通称は砦と呼ばれる建物から出たエースとその父親モーガンがいる。

 砦と呼ばれる理由は四方に高く頑丈なコンクリートの壁があり、内部には中央に二つのビル、ラブ(Loves)と真実(Trusts)があり、それらを囲むように幾つもの建物もある。

 

 これらにはアンティファなどの襲撃に備え、監視塔も建っている。

 勿論、地下に食料及び弾薬の貯蔵施設がある。

 まるで戦争でもする準備に見える。

 それは当然の事で、これらはディープステート(アンティファなどの上部組織)が米国の第二次市民戦争を企んでいる事が明らかになった結果、有志が協力して準備したのである。


 勿論、そんな場所であっても父親がアルコールで酔っぱらっていない事が、エースの気持ちをハイにする。

 エースが聞く。

 「何時、博物館と動物園に行くのワワン?」

 モーガンが苦笑いしながら既に両方行く事にしているエースの頭を撫でる。

 そこへ、エッホ、エッホと口癖をいいながらシェーンが現れる。

 「まず、ここに来た目的を済ませる事が先だ。」

 エースがコテと首をかしげて、シェーンをうるうるした目で見る。

 シェーンが言う。

 「そんな表情をしてもダメだ。まず何故エースに女の子の影響が現れたのかを解明しないと。」

 モーガンをはっとした表情になり。シェーンに聞く。

 「しかし、運命心理学のセラピストがペリンガー先生以外にいるのですか?」

 運命心理学のへリンガー、チェトナたちは、今朝早く別の場所で開かれる講習会セラピーへ出発している。警備担当のマイクもまた、同行する。


 その時、マイクは見送るシェーンに言う。

 「もし、うちらが居ない時にディープステートの手先が来ても砦を守ってくれ。」

 シェーンが言う。

 「勿論だ。この砦を守るよ。」

 マイクが言う。

 「必ず、ここへ戻ってくるから。」

 シェーンが言う。

 「分かった。」


 このようなやり取りがあった後、ヘリンガーたちは出発する。

 へリンガーによるジャネットたちのセラピーがこの砦での最後のセラピーだった。



 そこへ、テキサス国のヘリンガー協会の職員で、セラピストでもある人族のカツヒコ・タナダダが現れる。

 エースがそっと呟く。

 「わお、まるで神父様みたいな人だワン。」

 ワイシャツにネクタイを付けずラフな感じで背広を着ているカツヒコが言う。

 「なかなか鋭い感性だね。私は以前に神父をしていた事があるのさ。」

 カツヒコには以前に神父をしていた経験がある。

 その関係もあってやはり、神父からセラピストになったヘリンガーに興味を持ち、更には運命心理学にも興味を持つ事になり、今はセラピスト専業だ。

 カツヒコは、ペリンガーが不在の場合、ペリンガーに代わってセラピーをしている。



 エースとモーガンは、個別カウンセリングの部屋へ入る。

 そこで、まず簡単な事実の確認からカウンセリングが始まる。

 カツヒコがモーガンに確かめる。

 「つまり、モーガンさんはエースの母親の前に、別の女性と愛しあっており、しかも彼女は妊娠していたのですね。」

 モーガンが渋い表情で答える。

 「はい、ただあの時は二人とも若くて、」

 カツヒコがモーガンの釈明を手で止めて言う。

 「重要な事は事実であり、説明は不要です。」

 モーガンはまだ事情を説明しようとするが、カツヒコが手でモーガンの説明を遮り言う。

 「重要な事は、事実とその事実に対する対応です。その爲には、説明はかえって対応するエネルギーを分散させ、対応できなくなる事があります。」

 対応できなくなるとまで言われてモーガンは黙る。

 それから、カツヒコは小さな丸い紙形と小さな四角い紙形を並べ始める。それぞれの紙には方向を示す切込みがある。


 カツヒコが机の上に並べた人の代わりの紙形はある方向と物語をエースとモーガンに示す。

 モーガンは嘗ての愛人を向き、愛人はモーガンとは別の方向を向き、人工流産した女の子はモーガンを向いていた。

 そして、エースは死んだ女の子を向いていた。


 カツヒコが言う。

 「エースは、無意識にモーガンさんの意識を死んだ女の子に向けようとして、彼女の影響を受けたのでしょう。」

 モーガンはカツヒコに言う。

 「どうするべきですか?」

 カツヒコが言う。

 「この世界にはいくつか摂理ルールがあります。そのうちの一つに、現在が過去より優先するという摂理が有ります。」

 モーガンが言う。

 「つまり、過去の彼女と彼女との間に出来た女の子より、今、目の前に居るエースに意識を向ける事が優先される。」

 カツヒコが補足する。

 「そうです。そして、これらの人の代理をしている紙形(式神)はこのように並べられるべきです。」

 モーガンの式神の前にエースの式神が置かれ、共に未来を向いている。

 エースが叫ぶ。

 「何か温かくて、安心する感じワン。」

 カツヒコがエースに言う。

 「エースは人工流産させられた女の子に代わって、この世界を見せてあげなさい。」

 モーガンが聞く。

 「なぜ、こんな事が起きるのですか?」

 カツヒコが再度、言う。

 「まず、優先するべきは分析でも、釈明でも有りません。」

 モーガンは口を閉じる。



 エースとモーガンが個別カウンセリングを終えると、シェーンが待っていた。

 シェーンがモーガンに聞く。

 「今、どんな感じ?」

 モーガンが答える。

 「今までの人生が、向い風に向かってのマラソンなら、今は追い風のマラソンの感じだ。」

 かつてモーガンが若くまだアルコール中毒になる前、モーガンはマラソンをしていた。その時の経験から今の変わった感覚を表現する。

 シェーンが言う。

 「いろいろな人達が似たような事を言っていますよ。」

 モーガンが聞く。

 「結局、世界には摂理が有るのだと思う。この摂理が世の中に広まれば少しは世の中が良くなるのじゃないかな?」

 シェーンがモーガンに聞く。

 「本当に?」

 モーガンが言う。

 「だって、自分たちのもつれ(歪み)が自分たちの愛する者たちに影響するなら、少しは自らの行為を考えるのでは?」

 シェーンが言う。

 「それが、より良い世界を望む人の在り方だが、世界には、破壊衝動を持つリベラル(凶産主義者)がいる。つまり、ディープステートたち。」

 モーガンが反論する。

 「でも、彼ら全てが破壊衝動に動かされている訳ではないのでは?」

 シェーンが反論する。

 「彼らのほとんどが嘘つき、ゴロツキ、ロクデナシで悪いのは全て他人のせいだと主張している。」

 モーガンが言う。

 「確かに、リベラル(凶産主義者)のほとんどは嘘つき、ゴロツキ、ロクデナシだけど、でも中にはそうじゃない人たちだっている。」

 シェーンが更に言う。

 「やはり、そう言う人たちも破壊衝動に動かされている。なぜなら、ほとんどの凶産主義者たちは独裁国家となり、大量虐殺をしている。」

 ロシア、中共、北朝鮮などの凶産主義者達の国は独裁と破壊の行為を行っている。

 例外は嘗てユーゴスラビアと言われた国を指導していたヨシップ・ブロズ・チトー位だが、その国はチトーの死後、大量虐殺が起き幾つもの国に分裂する。


 モーガンは黙らざるおえない。

 ロシアでの粛清、中凶での文化大破壊、クメールの骸骨の山、連合赤軍のアサマ山荘事件、これらがあるのになぜ凶産主義を信じるのか?

 それを考えると、それは凶産主義を信じたいから嘘でも信じていたい衝動、つまり破壊衝動に惹かれているから。

 モーガンが呟く。

 「やはり、根っこに破壊衝動が有るから信じている?」

 シェーンが言う。

 「人は信じたいモノを信じる。」

 モーガンが言う。

 「それでも、ヘリンガー協会の摂理が世の中に広まれば世界は変わるのでは?」

 シェーンが言う。

 「ヘリンガー協会の摂理を世の中に広めたく無いリベラル(凶産主義者)たちが存在するので中々難しい。」

 モーガンがそれでも言う。

 「彼ら(凶産主義者たち)にとっても摂理が広まる事はプラスになる。」

 世の中のもつれ(歪み)が少なくなるという事は、リベラル(凶産主義者たち)にとっても良い事のはずだとモーガンが言った。

 シェーンがはっきり言う。

 「違う。彼ら(リベラル)にとって多くの人々は不幸で怒りを持つ方が扱い安いのです。」

 思わずモーガンは黙り、そして聞く。

 「では彼ら(リベラル)にとっての人々の存在意味は?」

 シェーンが言う。

 「仲間ではなく、社会を壊す爲の道具。自分たちの集金マシンで票田。」

 モーガンが呻くように聞く。

 「それでも世界には摂理が有る事が広まるれば?」

 シェーンが言う。

 「それを知ったリベラル(凶産主義者たち)は、かえって悪どく利用する。例えば、今のLGBTそのものが社会を分断しているのは、歪みを手術で固定する爲の洗脳だ。」

 モーガンがそれでも言う。

 「そんな事をすればマスコミが人々に警告するのでは?」

 シェーンが言う。

 「ほとんどの大手のマスコミは、既に彼ら(凶産主義者たち)と手を組み、マスゴミ(太鼓持ち)となっています。」

 モーガンが言う。

 「それならマスコミの言う事は、ほとんど全てが社会を破壊する活動の一部(宣伝工作)なのですか?」

 シェーンが言う。

 「その通り。ほとんど全てが社会を破壊する活動の一部。現実にヘイトと差別のレッテルを使って社会を壊すサポートをしています。」

 モーガンが聞く。

 「ヘイトも差別も、言論弾圧の道具でしかないのですか?」

 自由の女神を目指し集まった人々でできたはずの米国が、事実さえもヘイトとして言論弾圧されている。

 思わず顔が暗くなるモーガンに、さっきまで黙っていたエースが言う。

 「お父さん、どんなアニメやドラマだって、悪役は悪賢いし、大勢ワン。でも、正義の味方は何時だって勝つワン!」

 シェーンが笑いながら言う。

 「エースのお父さんは、正義の味方か。」

 エースが大きく頷く。そして父親であるモーガンをうるうるした瞳で見る。

 「分かった。お前たちの未来の為、お父さんもガンバルよ。」

 エースのしっぽがエースの喜びを表しブンブン振れる。


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