11.凶産主義者たちは各個撃破を狙っています。
テキサス国の郊外にあるヘリンガー協会の砦にエースたちが着いた時、そこにはヘリンガー協会の職員ではないが、ヘリンガー協会に協力している作家の秋田犬族、マイク・ヨンがいた。
シェーンが挨拶する。
「始めまして。私はシェーンです。」
マイクも言う。
「こちらこそ。私はマイクです。宜しくお願いします。」
二人は握手する。マイクが言う。
「率直に言うと何故か貴方とは始めてあった感じがしません。」
「私もです。ただ、前世の話をしても、現状の分析には役にたちません。」
早速現状分析の話題になる。
「今回の状況は以前のどの状況に比較しても、厳しい。」
マイクが言う。
「それは、私も同感です。|闇の勢力≪ディープステート≫は、人々を分断して各個撃破を狙っています。」
そこでマイクは、麻薬解禁について話す。
麻薬解禁は、麻薬の販売を医者の許可なく自由に認める事で、人々を麻薬中毒にして人々から金と思考を奪い廃人にする為の|闇の勢力≪ディープステート≫の戦略の一つである事をマイクが説明する。
あまりにも、とんでもない話でモーガンもジャネットも言葉が出ない。
しかし、エースは率直な疑問をマイクにする。
「そんな事をして、米国社会を壊したら、自分たちが困るのじゃないかなワワン?」
マイクがエースを見て言う。
「その通りさ。でも、|闇の勢力≪ディープステート≫たちは、世界を一度徹底的に破壊して人口を五億位まで減らしてから再度、構築するつもりだから関係ないらしい。」
もはや、モーガンもジャネットも開いた口がふさがらない。
でも、子供たちは柔軟だ。アニメの悪役がよくやる事を、現実にやっている悪役、つまり闇の勢力がいるだけだ。
ジャズが聞く。
「でも、何故いろいろな事を米国にしていると思うジャン?」
マイクが答える。
「それは、米国が世界最大の軍事力を持つ国だからさ。」
シェーンが更に説明する。
「つまり、米国を壊せば世界を壊せるのさ。」
ジャズが興奮して言う。
「俺たち、正義の戦士になれるジャン。お前はアホキンな、俺はレイン姫だ。」
エースが髪を長くしているジャズを見て言う。
「お前にレイン姫は似あわない。お前はハーフソロだ。」
そして、エースが聞く。
「あの物語の中で、鍵になる力がヘリンガー協会になるのワワン?」
シェーンが感心して言う。
「その通り。ヘリンガー協会が唱える仮説、ギブ・アンド・テイクの法則が広まればより良き社会に近づくのさ。」
それは、単純にいえば親たちの世代の罪が子供たちの世代に報いると言う法則があると言う仮説である。
これは、今までは宗教的な規則の中で唱えられており、宗教の影響が低下するにつれ、犯罪を犯す事に対して心理的負担は低下した。
エースが言う。
「つまり、悪役はバレなければやった者が得になるけど、それじゃ終わらないと言う事ワン。」
シェーンが驚き褒める。
「凄いな。その通りだよ。」
エースが父親のモーガンを見て言う。
「いつもお父さんが、世の中に摂理があるなら罪は報いがなければおかしいとお酒を飲みながら言ってたワン。」
いきなり話を振られたモーガンは、頭を振って言う。
「いや、いや、そんな大した事を言ってたんじゃない。ただ、世の中に神様の摂理があるならおかしいだろとクダを巻いていただけさ。」
ウー、エースが目をうるうるさせながらしっぽが下がり言う。
「そうだったの?ガッカリワン。」
モーガンがエースを見て言う。
「ガッカリさせて悪いが、やはり嘘と間違いはもっと悪いからな。」
エースがニコッとして言う。
「そうだね。嘘は後から不幸を持ってくるワン。」
ジャネットもジャズもシェーンもマイクさえも微笑む。
エースたちがテキサス国のヘリンガー協会の砦に集まっていた頃、カリフォルニア国のリベラル・トランスジェンダー・ヘルス専門協会に巨大ヒル族、キンゼニ・アルフレッド博士が現れていた。
キンゼニはそのヌメヌメした体全体を赤黒いビニールのような物で覆い、頭部はやはり赤黒いフードを被っている。
もちろん、赤黒い手袋をはめ、足も長靴で地肌が全く見えない姿だ。
キンゼニが地の底からでも出すような声でカインに告げる。
「もうじきだ。このカリフォルニア国が地獄のような無法地帯(地獄)になる。」
キンゼニたちは、警官たちの人数を減らし、不法移民たちをカリフォルニア国の都市部に大量に侵入させた。
結果として、都市部では普通の商店が不法移民たちに略奪され、商売が出来なくなる。
もちろん、困るのは一般人、特にお金に余裕がないダウンタウンの人々だ。
カインが嗤いながら言う。
「時間の問題で、都市部全体に監視装置を付けるしかなくなりますね。」
犯罪を多発させ、監視装置で都市部の全てを監視する。
キンゼニも嗤いながら言う。
「その通り。全ての住人たちは、平等に監視される国になる。」
彼らがカリフォルニア国の崩壊を嗤っている頃、ギャグたちは、途方にくれていた。
ギャグたちのような日雇いはその日の食事は、前日に稼いだ金で賄っている。
しかも、ギャグには重度の認知症を患う年老いた母親がいた。既に母親は息子であるギャグですら他人だ。
ギャグは日雇いで稼いでいるのも、毎日、アパートに戻る為だ。ギャグの事情を知っている双子の愛人たちもその事情を知っているから、日雇いに付き合っている。
ギャグは、最後のパンを母親に渡して言う。
「頼むから、しっかり食べてくれ。」
ギャグは狭いアパートの部屋を出る。
出たところで空腹を腹がグーと告げる。
そして、一日の終わりに今日もギャグが狭く古いアパートに戻る。
「母さん、戻った!」
大声で母親に叫ぶ。
認知症が酷くなってからギャグの母親は大声でなければ反応すらしない。




