主人公、しばらく出てこないってよ
付き合って一年たつ記念日である
クリスマスにて
紫乃は馨とさらに距離を深める
一方その頃、他のメンバーにも
少しずつ変化が…?
☆杏珠視点☆
はらはらと、雪が空を舞う。
吐く息が白くなるのを感じながら、冷えている手にその息を吹きかける。
「さすがに十二月末となると、本格的に冷えるな。寒くないか? 杏珠」
温かいコーヒーをすっと、飲めと差し出してくれる。
そんな彼の言葉に、大丈夫ですと会釈しながらそのコーヒーを受け取った。
私、渉杏珠は今日も今日とてバイトに励む毎日です。
ここにきてもう一年経つだなんて、雲をつかむような話で実感がよくわかない。
一年で上達したかしてないかで言えば、ぶっちゃけしてないと思うし、接客だって苦手なままだ。
ダメダメな私にも、怒ることなく優しく接してくれるのは先輩でもある神月瀬名さんだ。
実家はお寺だという彼は霊感が強く、こうしてバイトをしているときもたびたびそういうことを口にする。
大学生なのに大人びていて、しっかりしていて……私なんて、いつもつい目で追っちゃう。
多分これが、柴乃の言う好きという感情。
そして私が以前、彼に感じた感情と同じ……
「今年は、初詣にはいかないのか?」
唐突に聞かれ、え? と聞き返す。
神月さんはすでに片づけを始めていて、お客さん用に使っていたコップを拭いている。
「去年は入りたてだからと言って、わざわざ遠慮してくれたのは知ってる。今回は行ってもいいんじゃないか? 幸い、うちの仕事始めは三日だ」
「そう、なんですけど……多分柴乃は、浅沼君と過ごしたいんじゃないかなあって」
「ああ……そういえば付き合ったと言っていたな。毎度思うが、女に興味すら抱かなかった浅沼が、どう転べば渕脇とそうなったのか……理解不能だ」
確かに、すごい進歩だなとは私も思う。
冬休みに入ってすぐに遊んだ時も、クリスマスがやばかったって連呼していたし。
ほんと柴乃はすごいな。有言実行しちゃうんだもん。
私には、絶対ムリだなあ……
「……杏珠はいないのか? そういう、好きと思えるような異性は」
いきなりすぎて、変な声が漏れ出てしまう。
持っていたお盆を落としそうになり、慌てて持ち直して見せた。
「ど、どうしたんですか? いきなり」
「ただ気になっただけだ。その様子だと、いるな?」
「こっ、神月さんがいきなりいうから、びっくりしただけですよ」
「ごまかそうとするな。お前は意外とわかりやすいからな、見ていれば分かる」
この人、ほんと何でもわかっちゃうな……
とはいってもあなたです、なんて言えるわけがない。
もっとも私が言っていい言葉じゃない。
こんな地味で、人前に出ることが苦手で、スイーツを作ることしか能がない私に神月さんの相手はつとまらない。
きっと、香月さんにだっているはずだからー
「わ……私より、神月さんはいるんですか? 好きだと思える、方」
「そんなことを聞いてどうするのだ?」
「私も、ただ気になっただけですよ」
そう言うと神月さんは、ふむと真剣に考え込むような顔を浮かべる。
人の名前が出るんじゃないかと、思わず身構えてしまう自分がいて……
「……杏珠。2日は空いているか?」
「? あいてます、けど……」
「その日、寺に来ないか? 初詣のついでに。そこで少し、話そう」
予想だにしなかった誘い方に、私はドキッとしてしまう。
どうして彼が、その場で答えを言ってくれなかったのなんて私にはわからない。
でももし、これが神様がくれたチャンスなのだとしたら……
「行きます。どこにあるのか、場所教えてくれませんか?」
気が付いた時にはすでに、私は彼にそう答えていたー
(つづく!!)
なんだかんだ久しぶりの瀬名さんですね
彼はメインキャラでありつつも
そんなに表に出ない意味を含めて
名字にさんずいがある紫乃達とは違い、
名前の方にさんずいがついてたりします
今日は年内最後の更新です。
なのに主人公はでてません笑
しばらくはあんちゃんや、
他のメンバーの話になりそうなので
さて、いつでてくることやら。
次回は来年、6日頃に更新します!
みなさま、良いお年をお迎えください!
来年もよろしくお願いしますー!




