表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくら荘の珍住人  作者: 和泉あや子
第二章 住人のギャップ
33/45

第二章16 米粉のパンができるまで

 惣菜パンが良いと思い、メニューを選ぶ。朝ごはんは白米派の私だけど、たまにはパンも悪くない。米粉のパンには和風のおかずが合うらしいので、きんぴらサンドセットを注文した。味噌汁と卵焼きがついていて、日本の食卓とパン食の折衷のようだった。

 オーダーしてからほどなくして、湯気の立ちのぼるお盆を持って例の恋バナ男子が運んできた。

 まずはパンを一口パクリ。サクっと音が鳴る。

「うーん!」

 思わず声がもれる。外側は歯ごたえがあるが内側はしっとりしていて、ごはんのような食感で、本当にクセになりそう。中の具のきんぴらは少し濃いめの醤油で味付けしてあったが、パン生地に甘味があるからしょっぱく感じない。胡麻の香りも効いていた。

「私も常連さんの仲間入りしそうです」

 奥さんにそう話すと、いつでもお待ちしておりますよ、とお辞儀した。

「それにしても小麦を一切使わないでパンなんて、すごいですね」

 そりゃ試行錯誤の上で、と奥さんは苦笑いした。

「はじめは普通に小麦でパンを作っていたんだけどね、常連さんの意見で米粉に変えたんですよ」

 なんでもダイエットと健康のためにグルテンフリーを始めた方だとか。その常連の女性は、五才のお子さんがいて、その子の将来の健康まで考えての取り組みらしい。

 いまでは小麦アレルギーの人も楽しめるパン屋として密かに人気になってきたらしい。苦労しても、たくさんの人に作ったパンを食べて幸せな気持ちになってほしいという想いがここまでつながったと語る。本当にパン作りがお好きなんですねと言えば、亭主と一緒だったからよ、と笑った。

 

 米粉のパンを堪能した後、お店を後にした。


 住宅街をまたぶらり歩いて行くと、ひっそりと建つお店を見つけた。

「こんなところに猫カフェが!」

 猫好きには、たまらない。すぐにでも入ってみたかったが残念なことに定休日。また今度来てみよう。

 このあたりは住宅街でもお店がちらほらあって、隠れ家的お店も多そうだな。少しずつ開拓していこうと決めた。


 パン屋を出てから小一時間ほど散策したのち、さくら荘に戻った。


 ちょうど真美さんが外出するところにあった。

「散歩からお帰りかしら」

 奥さんは買い物バックを肩にかけながら言った。

「はい、ちょっとさくら荘の裏手を散策して帰ってきました」

「そうなの。あっちの方に美味しいパン屋があるんだけど、見つかった?」

 チェリーベーカリーのことだろう。立ち寄ったらさっそく常連予備軍になった、と話した。

「あそこのパンは美味しいし、安心して食べられるのよね。私もこれから買いに行くの」

 じぁね、と手を振って足どり軽くアパートを出ていった。


 真美さんもチェリーベーカリーの常連客だったのか。この近所では本当に有名なんだな。私もまた買いに足を運ぼう。あとあの猫カフェ。明日さっそく行ってみることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ