第二章11 女子トーク
「ところで俊也さんと岡本さんはいったい何を……」
真美さんに尋ねると、ああ、あれね、と笑った。
「あの人、仕事が警備だから体鍛えていてね。それで岡本君は絵をかいてばかりだと体が鈍るからってことで手合わせしてるのよ」
木刀を交える二人に目をやった。どちらも息を少し弾ませて、にじむ汗をそのままにかわし突きをくりかえす。俊也さんはあの顔からそういう武術のイメージできたけど、ふだん静かな面持ちの岡本さんには想像つかなかった。そんな一面もあるんだ。
「文武両道なんですね、瞬さんは」
「深優、いつからいたの」
いつの間にか隣に深優が立っていて、岡本さんの姿をじっと見ていた。
「深優ちゃんおはよう。今日は彼を見に来るの、少し遅いのね」
毎週の光景なのか、奥さんが、若いわね、とニコニコする。
「いつも見に来てるの?」
深優に聞けば、耳を染めてうなずいた。ここ数日彼女を見てきたが、本当に岡本さんを気に入っているのね。優しいお兄さん、って感じだからかしら。それにしては彼の前では緊張しているようにも思えるが。
「お似合いだと思うわよ、深優ちゃんと岡本君」
ウィンクをして言う真美さん。その言葉に顔を赤くしてどぎまぎしはじめる深優。それってもしかして、そういう意味なの? まじまじと彼女の顔を見てしまう。
「わ、わたしはただ憧れてるだけで……」
「本当に憧れだけなのかしらねぇ。素敵よ、そういう感情」
そうなんだ、深優の反応は乙女な反応だったのか。全然気づかなかった。さすが真美さん経験者。
「私もあの人との出逢いを思い出すわ」
と奥さんも、顔をほのかに染めた。




