第2話 ウキ浮き
今回は力がどうなっているか判明するのと試しです。
次回初バトルです。
私は困惑していると彼女は続けた。
「ごめんね、少し言葉が足らなかったわ。他に変化や出来ることが増えていない?火が出るとか分身できるとか?」
何を言っているのか?漫画の様な世界になってしまったのか?
彼女が冗談を言っている訳じゃないのは、変化した私自身が身をもって感じている。
「で、出ないっすよ」
「そう......これは本当は外部には秘密なんだけど、いつも通り特別だから言うと隕石落下後に異変が続けて起きているの、これを」
そう言うと彼女は私に全焼している家の前で、燃えている人が余裕な態度でマヌケそうにピースをしている写真だった。
「えっ、なんですかこれ?私にはこんなこと出来ないっすよ!起きたらこの姿になっただけ!ただ未だに胡蝶の夢としか思えないです」
そう手を広げ自分は見た目が変わっただけとアピールした。だってそんなの出せないし分身できないし。
「そうよね......。実は全国で報告があるの、なのにお上は隠蔽しようとしている、私も消されるかもしれない......」
そんな事をさせてたまるか、九条さん程に警察官である事を誇りに思う人は知らない。そんな人を消すなんてありえない。
「そんな事を絶対させないっすよ。私にも何か力がある筈ですし......それこそ命に変えてでも!」
「本当に優しいのね……。数日前までいた貴方と喋り方は同じなのに、目の前にいるのは見知らぬ美女で……頭がおかしくなりそう。ごめんね。あなたはあなただって、ちゃんと信じてるのに……」
少し涙を流し私を抱きしめてくる彼女の背中に手を添えた。
「私の見た目で混乱するのは当然、少し休んだらどうです?何度でも言いますが私は命に賭けても貴女の味方ですから」
そう当然の様に言う。
「約半年の付き合いなのに命を賭けるなんて本当にあなたらしいわ。ふふっ年下に心配されちゃ年上の面目丸潰れねっ。でもありがとう、本当に嬉しいわ」
少しの涙を拭い微笑む。見せた書類や写真などを片付けて外に出る準備を終えた彼女は私の手を掴む。
「あなたからは強い力を感じるわ!訓練場で何か力がないか試しましょう!あなたがいつも言っていたスーパーヒーローになるのよ!」
そう言いながら私の手を掴み立たせようとしたが、私の足は床を踏む事なく空回り。
そう、無意識に浮遊をしていたのだ。
「きゃっ!?う、浮いているわね!やっぱりあなたには力があるのよ!気分は?それってどんな感覚なの?」
「マジか......気分も浮いているからウキウキ......なんちゃって......」
「......ふふっ、いつも通りね」
九条さんは私のつまらない冗談を笑ってくれる。
「......感覚としては無重力?おー天井にも貼り付ける!結構飛べますよ、これ!」
私は天井に背を向け髪を下に垂らしながら彼女の方を見る。
「あ、あ。わ、わかったわ。その、お化けみたいで......怖いから早く降りて......髪長いし肌白いし患者衣で余計に不気味だから!早く!降りて!!」
「う、うっす。なんかごめんなさい」
幽霊が嫌いってギャップ萌えかな?見た目以外にも可愛いところはあるんだな。
低身長で巨漢にステゴロで勝つし、射撃の腕前もピカイチなのに。
そう思いながらいまだに怯える彼女の両手を取った。
「あ、ありがとう。......いや、私こそ大人なのにごめんね。最近金縛りや悪夢が多くて」
「前も言ったけど私は不眠症だし躁鬱だからわかるけど病院行って何かで癒しを得ないと治らないよ」
「そうね、ありがとう。取り敢えず、車で訓練場に行きましょ、私たちの使用は自由だしね」
彼女は心の底から感謝しているのか目は潤んでいた。
そして九条はんはポケットから鍵を出して部屋を出ようとするところで私は服がないことに気づく。
「あ!すみません、服無いっす。......こんな体格になっちゃ何も着れないです」
身長が40センチ以上伸びた上に飛び出たデカパイとデカチンをぶら下げている為に服に困る。
「そうね、当たり前だったわね、諸々の全身のサイズは?まだ店やっている筈だから行ってくるわ」
「それが後回しにされて計測してないんすよ、それに自分今そんなにお金持ってなくて......」
私は困って頭を掻く。
「はぁ、仕方ないわね。計測器を借りてくるわ。......ん?ノーブラで過ごしていたの!?」
「っすね......」
「まあ買う暇もないから仕方ないわね。あとそれに全部奢りに決まっているじゃないの〜!でもなんで去年唯一のノーベル平和賞の英雄がお金ないの?警察からの給料は?」
ノーベル平和賞の賞金は大体1億5千6百万円と言う莫大な額がもらえるのに何故と疑問に思っている様だ。
私は馬鹿だから寄付しちゃったよ。
「それがボランティア扱いで給料は無く、ノーベル平和賞の賞金も寄付したり親孝行したりで......」
「それですっからかん?それよりも警察は何してんのよ!後で文句を言うわ、場合によっては私が訴えてやるわ」
本人の私よりも凄まじく怒っている......。他者が己の為に怒ってくれるのは嬉しいものだ。
にしてもアメコミヒーローは無給が当たり前だから違和感無かったなぁ。
「いや、貯金と仮想通貨などは持っていますが最悪に備えての蓄えなのであまり使いたくないです」
「まあそれもそうね、さっさと計測しちゃいましょりあとアイツらは許さない」
そう言いながらドアをバンっと閉めて出て行く、怖い。
そして計測結果
身長約205センチ
体重約170キロ
バストKカップ超え(ハリがあり重力に負けていない)
ヒップ不明(2人とも計測方法がよく考えたらわからなかったが巨尻)
足のサイズ27
など。
私の写真とデータを元に九条さんは自分好みの服を買いに行った......。
私が借りたタブレットでZを見たりして情報を得ていたら、1時間ちょっとで帰ってきた。
早速私は着せ替え人形になる。
「ほら!似合っているわ!やっぱり、この容姿も悪くないわね」
九条さんは私本人より満足げに鏡に映る私を見る。
「ひゃー......確かに私暑がりですが露出多くないですか?それに、これブランドに疎い私でもわかるくらい高いやつでは......」
これピッチリしてて股間の位置がわかるな......
「だから本当に気にしなくていいわ。ほら靴、ヒールと運動靴よ。それ履いて行くわよ。色々終わったら一緒に服買いに行くわよ!なんでも買ってあげるから!」
(ちんぽの位置が丸わかりね......)
「ありがとうございます......。あ!皮膚炎も治ったかな?」
そう思い鏡の前で服を脱いでまじまじと見る。
「ちょっ、もう......あなたは今ほぼ女性なんだから気をつけなさいよ」
そう言いつつ私の身体を割と見てくる。
「そうですねぇ〜。分かりました!じゃあ行きましょうか!」
「えぇ」
(貴音......この変わりゆく世界のでも私だけは......絶対にずっと味方よ。私も命に賭けてね)
そうして私たちが出て九条さんが車に乗るところで、後ろから不意打ちで抱き上げてゆっくり飛び立っていく。
――――――――――――――――
警察の私有地 PM8:29
私はフワフワと浮遊し、九条さんを抱きしめて移動して到着。心臓がバクバクして危なかったがバレて無いはず。
このドキドキは空が高い事ということにしてしまおう。
「ひょ〜!!緩めの鳥くらいの速度では飛べてるかなぁ?」
彼女を陸地に下ろし自分はフワフワ浮きっぱなしの私。
「いきなり掴んで飛ぶのは禁止!車はオート運転でここに来るから良いとして、私を軽々と持ち上げたところを見る限りパワーも上がっているはず」
「まあ......確かに言われてみればそうですね〜」
「前にあなたに護身術を教えた様に組み手風の訓練するわよっ!」
笑顔でスーツの上着を脱ぎながら言ってくる。彼女はなんでかやる気に満ち溢れている。
「もうボコされくないっすよ......だって2メーターの男を殴り飛ばしたじゃないすかぁ」
私はガン萎えで上着を脱ぐ。
「あの時は私たちのベストコンビネーションよ!それに巨漢と同じくらいの人とタイマンは怖いわね。そこのデカいサンドバッグ殴ってみて」
と指を刺してこちらを見て言う。
万が一貴音の力が強く、加減をミスして彼女を殺してしまっては立ち直れなくなると思い指示された。
萎え萎えでサンドバッグの前に立つ。
「これ前殴った時手首がすんごい痛かったんすよ......ふぅ、おりゃあッ!!......えっ!?」
馬鹿な!?少し気合い入れて殴っただけで太いチェーンが切れてサンドバッグが転がっていったぞ!?
初めて殴った時は手首を痛めたと言うのに......。
「......?......っ!!?」
彼女も理解するのに少し時間がかかった様だ。理解した時は目を丸くしていた。
「あ、あなたを人殺し、それも相棒の罪を背負わせなくて良かったわ......でもまだ気になるわね」
恐れつつも興味津々。
「......っす」
「まあ、次々!早く他も検査しましょ!」
その後も背筋を測る装置を破壊、握力計を握り潰し、ダンベルの棒を曲げてしまったりと、ありとあらゆるものを破壊してしまったが弁償させられることはなかった。
ごめんなさい......。
――――――――――――――――――
警察署の前のベンチは PM9:02
私たちはベンチに座り、飲み物を飲みながら九条さんのスマホで首相の緊急会見を見ていた。
「うへー、警察に対する態度的に隠蔽するかと思ったんですけどね〜」
気が抜けて今はかなりリラックスしている。
「まあ無理だよね、世界規模だろうしね」
「ですね」
「なんなら無線で人型の牛が暴れて行方不明、痩せたカラスが日本語を話して喧しいとかめちゃくちゃな報告ばかりだったから......」
「牛はミノタウロスでカラスは北欧神話のオーディンの周りにいるフギンとムニンみたっすね〜」
「またいつもの雑学ね、よく知っているわね〜。それよりもあなたの姿はリークされてZに載っているわ、許せない」
「どうせこの見た目になったのは認めますし良いっすよ。でも心配してくれてありがとう」
目と目を合わせて微笑んで言うと何故か彼女は顔を逸らしてしまった。
「え、えぇ!気にしないで!」
「そんで行方不明の牛君だか牛ちゃんはどこにいるんすかね?」
「まあ私達警視庁の管轄だから近くにはいると思うけど詳しくはわからな......ッ!??」
街頭の灯りに照らされたベンチ座る私たちを覆う様に後ろから巨大な影が伸びてきた。
そして、この獣の臭いに私たちの後ろに例の奴がいる事に気づき振り返ると視界を埋め尽くす巨体。
老いた牛の怨嗟に満ちた目が私たちを捉える。
人型の牛との戦闘です。




