第1話 世界のハッピーエンドと異変
作品をクリックして頂き感謝します。
アメコミ好きなのでヒーローモノを書きました、まだスーパーヒーロー要素は出てきませんがよろしくお願いします。
都内の病院 PM10:57
「成功しましたぁあ!人類のミサイルの勝利です!我々人類は今!生き残りましたァ!!!繰り返し......」
つけっぱなしのテレビ、映るのは涙でぐちゃぐちゃになりがら叫ぶベテランの老齢アナウンサー。
ベテランの雰囲気が台無しになる程に心底嬉しいのだ、世界が救われたのだから。
「そうか......。俺の半年間は間違ってなかったんだな......」
俺は熱い涙を拭う。
部屋のテレビからは半年前から騒がれた巨大隕石の破壊の事実に喜びが満ち溢れている。
この部屋の扉1枚越しからも医者に看護師に、他の入院患者の歓喜の声。
窓の外からは眩い流星群と、夜中だというのに老若男女の喜びの叫びと希望に満ち溢れている。
異常だがそれ程幸せなんだ。
俺は一般人のヒーローだった。だが暴漢の策略により片目は失明し、両脚は根本から切断され失った重い代償だ。でも挫けない、それではみんなに示しがつかない。
ああ、テレビの7チャンの特番を見ていたが、みんなが助かった実感でまた泣けてくる。
夜風が気持ち良い......そろそろ精神安定薬と睡眠薬、抗生物質を飲んで寝よう。
俺に足は無いが明日はある。宇宙から勝ち取った明日以降の世界に期待して......今は眠ろう。
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個室病室 翌日の2024/5/15 AM6:24
「......うぅ......んぅ......あ、朝だ!やったー!夢じゃない!本当に助かったんだ!!......ん?声が?」
己の歓喜の声に違和感を感じた。喉を痛めたとか壊したレベルじゃない。聞こえてきたのはクールで透き通った女の声だ。
それに何だか物理的に胸が苦しいし服が窮屈だ。
「ん??お、俺に胸が......デケェ胸がある?もしかして女になっちまったのか!??......えっ、なんで?」
意味がわからない、俺は股間に手を伸ばして更に困惑した。何故、陰茎がある?更にちゃんと女性器もある、小便はどっちから出るんだ?
でも謎だがしっくりくる、俺は元から両性具有だった様な......?
いや、それどころじゃない足だ!足が生えているぞ!?意味不明だが触ってわかる、夢じゃない。
布団を退けて下を見る。
「あ......ああ!足があるっ!!しかも美脚!?顔も期待していいのか?......てか髪もなんか青く長くなってんな?とにかく鏡の前にっ」
そう思い俺はベッドの横の車椅子を退けて久しぶりに自分の足で床を踏み、歩き鏡の前に立つ。
「ふぇ!?何だ、このイケメン美女は!?アイパッチを外すか......視力も治っている!目は赤と青のオッドアイ身長も2メートル超えているな!?」
何だこの顔面ハリウッド級の美人は?流行りの異世界転生の異世界抜きが俺の体で起こっている......。
いや、もう俺じゃなくて私でいいか。自分の心の性別は何でも良いしパンセクシャルだし。
てか本当に私は昨日の私、梶原貴音なんだよね......?
今の自分は本物か悩んでいるとノック音。いつもなら食事を知らせる嬉しいこの音も今は不愉快なアラート音。
「マズい、少し早いが多分朝食か?」
今見た目が違う私を見たら叫んで巡回中の警察官が駆けつけて逮捕なんてあり得るぞ。どうする?
窓から飛び降りるか?いや、ここは低階層じゃないし隠れる場所もない。
そうだ、一か八かだ。ここで入院していた時期の私と相手しか知らない思い出を話そう。
そう考えていると扉は開かれた。
「失礼しますー!おはようございます!梶原さん!隕石が無くな......り......???えっ、あ、貴女は......」
そらそうなるわという反応をされた。だが幸いにも、いつも私を担当する看護師だ。
私とこの方だけが知る話を話せば信じてもらえる筈だ。
「お、おはよう......ございます......朝起きたらサプライズ受けちゃったみたいで......私は梶原貴音本人です。まずは......そう!私の話を落ち着いて聞いてください......」
苦笑いしつつも私の入院期間に会話した内容や、看護師さんの誕生日を祝った事など互いにしか知らない事を伝えた。
いつもの悪い癖でいらん事も話しすぎてしまったがちゃんと聞いてくれた。
「......その雰囲気に話し方、姿形が変わっても中身は本当に梶原さんですねを私は貴女を信用します!それに祝って頂いたのは貴女だけ、忘れる筈がありません」
そう言いながらこちらに手を出してきたので握手をした。
どうでも良い事であるが自分の今の手を見ると細長く白く綺麗な手だ。
本当に女体ベースに両性具有になってしまったんだなと再度思わされた。
そんな事を考えていると看護師が口を開く。
「どうされますか?こんな事全く聞いた事ないですし......目や髪の色は自然な物とは思えないです。あっ、ついすみません......綺麗だなって事で......」
あたふたと看護師が言い訳をするが特に気にしない、事実だから。
「いえその通りですから......。とにかく採血にDNA検査とお医者さんを呼ぶのが1番かなと」
無難にそうするしかない、だが大丈夫なのだろうか......免許証とか色々大変そうだな。
「そうですね!梶原さんはAB型RH -という稀な血液なので信用にはなりますね、今呼んできます!......あ、メインを忘れていました!お祝い仕様です!」
そう言うと美味しそうな食事を置いて足早に立ち去る。腹が減って我慢ができないので食べ始めていると走ってくる音が聞こえる。
食事をやめたタイミングで扉をバンっと開けお医者さんが来る。
「梶原さん!?......な!?看護師の浮かれた冗談かと......。取り敢えず、この病院でできる検査を全てしましょう」
してくれるのはありがたい。疑われないのは、やはり善行をしたおかげかなぁ〜!
「これが本当なんですよね〜助かります」
そう呑気に言う。早く残りのご飯食べたい。
「ご家族と警察にも連絡させて頂きます」
その言葉に驚き過ぎて心臓が痛くなったが医者は続けて言う。
「警察への通報は型式上なのでご安心ください、私達が擁護し守ります。......なんせ隕石が落ちる前にお世話になりましたから」
そう言われてホッとしたがこの人さっきから服でパツパツになった胸ばかり見ている気がする......。
それより警察かぁ、相棒来ないかなぁ。でも今は更に忙しいだろうしな。
暫くすると私は血を抜かれたり、院内で警察に指紋取られたりと全身を検査されると夕方になってしまった。
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病室 PM4:01
家族は結局ドタバタしていて来れなかった、寂しいじゃん......。携帯も修理に出していて暇だし。
にしても不思議な事もあるもんだよなぁ、俺の好みの見た目になるなんて。
待て、フィクションだと私みたいなのは研究用にバラバラにされるんじゃないか?そして廃棄処分......?
1人で延々とネガティブな事を考えていると強めのノック音が聞こえた。
「はい?大丈夫ですよ〜」
検査は終わったよな?ダチの犬とかが来たのか?いやアイツはこの場所を知らないしな、そもそも入院場所は秘匿されているしな......?
そう考えているとガラガラとドアが開き女性が入ってくる。
「よっ!私だけの相棒君!......にしても、かじ〜本当に見た目がまるっきり違うじゃないの!びっくりしたわ!横顔がモデル級に綺麗で人形みたいね〜」
(見た目が変わっても魅力的ね......)
この声は!俺の相棒とも言えるあの人だ!そう思いドアの方を見た。
「九条さん!来てくれたんですね!暇だったんで嬉しいっす!」
そう言うと彼女はこちらに何かを投げ渡した。
「っと!お、コーラっすか!」
九条未来、26歳で警視をやっているバリバリエリートだ。2人で半年間の治安維持をしていた。
「その仕事の特例でね!私も会いたかったわ!それにあなたそれ好きだったわよね?あげるわ、疲れたでしょ」
少しだけ彼女の顔が真剣な表情に見えたが、また笑いながらベッドの横に座りいつものノリで私の頭をわしゃわしゃする。
「ありがとうございます!ってもういつもより強めだし、毎度やられると照れるっすよ〜。それに特例?」
特例って何だ?私の体が変わったことか?
「ちょっと面倒な事でね、単刀直入に言うわ。かじ、貴女の能力は容姿の変化と両性具有だけ?」
彼女は私の目を見て真剣な表情で目と目を合わせてゆっくりと話してくる、まるで友人を心配する様な優しさだ。
「の、能力?」
能力ってなんだ?わざわざ聞くってことは私以外にも似た様な人がいるのか?
私は困惑した。なんせ情報源はテレビのみで自分の様な人がいる報道は無かったからだ。
この質問に波乱の予感を感じた。
お読み頂き感謝します、評価などを頂けると助かります。
次回、己の力を理解する。




