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【第11章:子犬と屍(ゾンビ)】 (飢えと気絶)

【第11章:子犬とゾンビ

(飢えと気絶)

灰に覆われた焦土と化した森の一部。空中に漂う溶けた岩と燃える木の匂いの中、異様な光景が広がっていた。

地面には3人の生存者——レオ、リア、セラ——が激しく喘ぎながら倒れ込んでいた。服は塵と汗で汚れ、その瞳にはつい先ほど目撃したばかりの恐怖が色濃く残っていた。谷の半分が「地獄の業火」とマグマの海に変わるのを見たばかりなのだ。彼らの思考は完全に麻痺していた。

そして彼らの目の前には……つい先ほどまで「破滅の神」として君臨していた圧倒的な存在クオンが、まるで狂った子供のように両手を挙げて飛び跳ねていた。

「わーい!やったぁ!」クオンは無邪気に歓声を上げた。

しかし……突如として。

空中で飛び跳ねていたクオンの体がピタリと止まった。顔に浮かんでいた狂気的な神の笑顔が、ほんの一瞬で消え去った。山々を震え上がらせるほどの絶対的な覇気は、まるで陽炎のように消え去ったのだ。

そこに立っていたのは、怪物などではなかった。ただの疲れ切った、無力で無邪気な子供だった。

彼の大きなオッドアイの瞳が、突然うるみ始めた。今にもこぼれ落ちそうな涙が瞳の縁に浮かんでいる。彼はゆっくりとレオのそばに歩み寄り、そのままコロンと膝をついた。

クオンは小さな鼻をすんすんと鳴らした。

「ねえ……もう、ごはんちょうだい?」

クオンは今にも泣き出しそうな、舌足らずな声で要求した。その小さな手で新しく作られた黒い外套クロークを、お気に入りのおもちゃのようにきつく握りしめている。「すっごく……すっごくお腹が空いたの。またお腹から変な音がする。お願い?」

3人の生存者は、荒い息を吐きながら彼を呆然と見つめた。脳がこの状況を全く処理できていなかった。

『待て……こいつは、たった今、巨大な山と谷を粉砕してマグマの海に変えた化け物と同じ存在なのか!?』

「昨日の夜、僕たちは『友達』だって言ったよね?」クオンは涙でいっぱいの大きな目を瞬かせながら、純粋無垢に尋ねた。「友達は、友達をご飯抜きにしたりしないよね?」

これを聞いた瞬間、レオの中で凍りついていた恐怖が、極度の混乱と激しい怒りへと変わった。獣の血が沸騰する。彼は残された最後の力を振り絞り、半ば体を起こした。

「ふざけるな!!」

レオは獣の咆哮のような声で叫んだ。その声には極度の疲労と、それ以上の恐怖が入り混じっていた。「お前は……たった今、俺たちの目の前で谷をマグマに変えたんだぞ!俺たちの肺が破裂するほど、死の恐怖で追い回しておいて……今度はここで子供みたいに泣きじゃくるだと!?一体俺たちに何を求めているんだ!!」

レオの怒号を聞いて、クオンの唇はさらに下へと曲がった。まさに子供が泣き出す直前の顔だ。その声には、誰の敵意をも忘れさせるような絶対的な真実と孤独があった。

「だって……ああしないと、みんな僕を置いて逃げちゃうと思ったから……」クオンは小さな手で涙を拭いながら言った。「ノヴァが頭の中で言ったんだ。すごく強そうに見せれば、みんなここに残るって。僕……この新しくて暗い場所に、一人ぼっちでいるのは絶対に嫌だ。それに……ノヴァは『友達はいつも美味しいご飯をくれる』って言ってたから……」

リアとセラの目が驚きで見開かれた。顎が外れんばかりだった。

『なんだって!?この少年は……悪魔さえ泣き出すようなあの神殺しの力を……単に私たちを「驚かせて」、その見返りにご飯をもらうためだけに使ったというの!?』

このあまりにも常軌を逸した論理に、レオが一言でも反論する前に——。

言葉を言い終えた瞬間、クオンの声が突然途切れた。

彼は正しく計算できていなかったのだ。あの神格レベルの『混沌のカオス・ボール』を生成し、その破壊を制御し、さらに極超音速で彼らと死の鬼ごっこをしたことで、形成されたばかりの新しいヴェッセルの残り5%のエネルギーは完全に枯渇していた。

彼の脳内で、システム【ノヴァ】の赤い警告が激しく点滅していた。

【警告:ヴェッセルのエネルギーが枯渇しました。強制シャットダウンを開始します。】

クオンの息が止まった。美しいオッドアイが急に上を向き、白目だけになった。

ドサッ!

何の警告も悲鳴もなく、彼はレオの足元にうつ伏せに倒れ込んだ。完全に気を失っていたのだ。

一瞬、森に深く冷たい静寂が訪れた。遠くの破壊された場所から、マグマの煮えたぎる音だけが聞こえていた。

セラは息を吐き出し、弾かれたように身を起こして囁いた。

「レ、レオ!リア!逃げるなら……逃げるなら今しかないわ!この化け物、気絶してる!早くここから離れましょう、こいつが目を覚まして私たちを殺す前に!」

リアも激しく頷いた。彼女の長い足はまだ恐怖で震えていたが、必死に立ち上がろうとした。

しかし、レオは……一歩も動かなかった。

ただ静かに、地面に倒れた少年を見下ろしていた。先ほどまで破滅の象徴に見えた黒い外套は、今やただのボロボロの布切れに見えた。眠っているクオンの顔は、あまりにも穏やかで、まるでこの世界で最も孤独で弱い普通の子供のようだった。

「いや、」レオは重く深い声で言った。

リアは驚愕し、声を裏返した。「はあ!?頭がおかしくなったの!?こいつが数分前に何をしたか見てなかったの!?」

「全部見ていたさ」レオは恐れることなくクオンのそばにしゃがみ込んだ。その逞しい獣の腕でクオンの軽い体を持ち上げ、広い背中に背負った。「だが、こいつは『瘴気』の毒が俺たちを殺そうとした時、助けてもくれた。それに……もしこいつが本当に無慈悲な化け物で俺たちを殺したかったなら、とっくにあのマグマで焼き殺していただろう。こいつはただ……歪んだ方法で遊んでいただけだ」

レオは振り返り、リアとセラを見た。その黄金の瞳には、真のリーダーとしての確固たる決意があった。

「こんな荒れ地でこいつを見殺しにはできない。俺たちはこいつを洞窟に連れ帰る」

【第12章:間接キス】

(無自覚な恋)

洞窟の中では火がパチパチと燃え、温かい光が岩壁に踊っていた。外の荒れ果てた森とは対照的に、この密閉された空間には奇妙な安らぎがあった。

リアはサバイバルスキルを駆使し、安全な野草と巨大な変異猪の肉を煮込んで、熱々の濃厚なシチューを作っていた。大きく窪んだ岩を、簡易的な鍋として使っている。

煮込まれた肉と野生のスパイスの香りが洞窟中に広がった。何日も飢えと疲労に苦しんできた3人の生存者のお腹からは、大きな音が鳴り始めた。口の中に唾液が広がる。

しかし、突如として……。

洞窟の隅、枯れ葉のベッドで気を失っていたクオンの無邪気な顔が動いた。

小さな鼻がピクピクと動く。

すんすん……すんすん……。

目を閉じたまま、眠っているクオンの体が突然、何かの魔法の副作用のようにふわりと浮き上がった!まるで肉の匂いを盲目的に追う、昔のコメディアニメのキャラクターのようだった。彼は空中に水平に浮いたまま、火のそばへと漂ってきた。

リアは驚いて飛び退き、目を丸くした。「え!?な、何が起きてるの!?」

クオンは空を飛び、煮えたぎる岩鍋の真上でピタリと止まった。

突然、両目がパッチリと開いた——キラーン!

彼のオッドアイには、文字通り星が輝いていた。顔には満面の笑みが浮かんでいる。器やスプーンを待つこともなく、彼は素手で煮えたぎるシチューの中に手を突っ込み——常人の皮膚なら焼け爛れる温度だ——ジューシーな肉の塊を取り出すと、そのまま口に放り込んだ。

「うまい!!(美味しい!)」クオンは子供のように無邪気に叫んだ。リスのように両頬を膨らませている。

次の10秒間、小さな洞窟には奇妙な音だけが響き渡った。

ズズーッ!モグモグ!ゴクッ!んん〜っ!

そしてあっという間に……鍋の半分が空になってしまった。そして最大の問題は、このイカれた少年が、残りのシチューを技術的に【彼とのシェア(食べかけ)】にしてしまったことだ!

レオの顔が怒りで引きつり、尻尾が苛立ちで揺れた。

「おい!このバカ大食い!」レオは怒鳴りつけた。「俺たちの分も残しておけ!俺たちが作ったんだぞ!」

レオは慌てて前に出ると、悪態をつきながら自分の分の肉とスープをすくい取った。彼は獣人であり、空腹を前にしては他人の食べかけや衛生面など気にも留めなかった。

しかし、火の反対側に座っているリアとセラの状況は深刻だった。彼女たちは激しくためらっていた。手に自分の分の食事を持っているのに、それを口に運ぶことができなかった。

セラの白い顔が、突然トマトのように真っ赤になった。

『待って……クオンはあのお鍋に直接口をつけて……指も突っ込んでたわよね。もし私がこの残りのお鍋から食べたら……これって実質、間接キス!?私のファーストキスが、サイコパスな神様と!?』

リアも瞬き一つせず、煮えたぎる鍋を見つめていた。耳まで恥ずかしさと奇妙な緊張感で赤く染まっている。

『彼は世界を終わらせる怪物……山を砕く破滅の神なのに……でも……寝顔やこんなに無邪気に食べてる姿は……すごく……可愛い……。私、おかしくなっちゃったのかな?』

二人の少女は顔を真っ赤にして、火の向こう側にいるクオンの純真な顔を盗み見ながら、少しずつ食事を口に運び始めた。その表情や態度は、まるで何かとんでもない罪を犯しているかのようだった。

その時、彼女たちの奇妙なロマンチックな緊張感を断ち切るように、洞窟の空気に冷たくからかうような新しい声が響いた。

「どう?私のクオンの食べ残しの味は……美味しいかしら、お嬢さんたち?」【ノヴァの声】

リアとセラは喉に食べ物を詰まらせた。

「ゴホッ!ゴホッ!」二人は火のそばで激しく咳き込み、まるで泥棒の現行犯で捕まったかのように慌てふためいた。顔は赤から一気に暗紫色に変わった。

しかし、レオは食事の手を止めた。その獣の顔は突然、深刻で威圧的なものに変わった。彼は目に見えないシステムの声がする空中の特定の方角を睨みつけた。

「笑うな、『声』よ。」レオの声は、怯えた生存者のものではなく、リーダーとしての重みがあった。「お前は恐ろしい力を持っている。もしお前たちが悪ではないと言うなら……今朝のあの『マグマ』と『破壊』は何だったんだ?指先一つで世界を半分消し飛ばしたじゃないか。そして最大の疑問は……なぜ俺たち3人を今まで生かしている?」

レオの直接的な問いかけが、洞窟に重く冷たい静寂をもたらした。火の爆ぜる音さえ小さく感じられた。

ノヴァの声は、からかうようなトーンを捨て、冷酷で計算高い、まるで黒幕のCEOのような声に変わった。

「生かしている理由はとても単純よ、レオ。」ノヴァは静かな言葉で答えた。その前でクオンはまだ世界の事など気にも留めず、楽しそうにスープのついた指を舐めている。「クオンはまだ幼い子供なの。この世界の暗いルールも、政治も、狡猾さも何も理解していない。彼にはそばに『友達』が必要よ……そして何より……私には、この世界の構造や腐敗した人類帝国の地図を熟知している、忠実な『ガイド(案内人)』が必要なの。」

レオは黄金の目を細めた。「つまり……俺たちは奴隷ということか?」

「いいえ。」ノヴァの声には、洞窟の冷たい空気をさらに重くするような、神がかった傲慢さがあった。「あなたたちは『虚無派閥ヴォイド・ファクション』の最初の正式メンバーよ。残りの疑問についてだけど……すべての秘密の答えは教えてあげる。でもその前に、あなたたちに一つ小さな『タスク(任務)』をこなしてもらうわ。」

レオの握りしめた拳が、怒りと未知への恐怖で震えた。

「どんな任務だ?それで命を落とすことはないのか?その『任務』は俺たちをさらなる危険に晒さないだろうな?」

ノヴァは空中で静かに笑った。それは恐怖を呼び起こすとともに、奇妙な希望をも抱かせるような笑いだった。

「危険?まさか。それどころか……この任務はあなたたちやその娘たちにとって、この世界で最大の『祝福』になるわ。このタスクが終われば……あなたたち3人は、最も狂った最高の夢の中でさえ想像もしなかったような存在になるのよ。」

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