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約束の日

その後、姉は注文しておいたドレスを受け取り、アルバート様に会う日を迎えていった。



ーーーーーー



「あー!これでもない、こっち……いや、これだと合わせるには違う……もう!?」


姉の部屋から聞こえる大きな声。

今日はアルバート様と会う約束の日、朝から部屋に籠りドレスに合う小物を選んでいるみたいだが、なかなか決まらないようだ。


「レオナ……そろそろ来るぞ」

「分かってるわよ!……あー、もうどうしよう!?」

「それより、お前、ちゃんと作ってあるんだろうな?」

「なにを?」

「なに、ってお前が聞いてきたんだろう?アルバートが好きな物が何か、と。……まさか作ってないんじゃないだろうな?」

「……も、もちろん作ってあるわよ、ちゃんと。いまレナに梱包してもらってるわ」


父にはそう言っているが、実際は私が全部作っており、そして今それが手元にある。

一人用のモンブラン。

前日に姉からくどいように注文をつけられ作った物。

最初はぐしゃぐしゃに作って困らせようかと思ったが、姉の癇癪が酷そうだったので止めた。


そうこうしているうちに家の扉をノックする音が聞こえてきた。


「お邪魔する」


入ってきたのは前に父と会食をし、私に帰る事を告げてきたあの要職の人だ。


「あ、はい。お待ちしてました。……今、父を呼んできます」


厨房から出て対応した私は姉の部屋に向かい、父に声を掛けた。


「来たそうだぞ、レオナ」

「もう!?どうしよう……こ、これで。いや、やっぱり」


姉は部屋に置かれた姿鏡の前で何度もチェックをしていた。

赤いドレスの袖口や裾には白いレースをあしらい、胸元にはキラリと光る黄色のブローチ。

多分それも父に強請って買ってもらった物だろう。

ピンク色の小さな鞄とドレスと同じ赤い鞄とで迷っているのか足元には二つが置かれ何度も持っては姿を見ている。


「ふー……どっちも同じだ」


父は呆れ顔で言い放ち部屋を出ていき、要職の人の対応に向かっていった。


「もう!一代イベントなのにそんな言い草なんて失礼ね!?」


私の事など眼中にないのだろう、部屋に入った私には目もくれずまだ決めかねている。


「レオナ!」


扉付近で父の怒鳴り声がし、軽く歯をギリっと鳴らした後、手にはピンクの鞄を手にして私の横を姉は通りすぎて行こうとした。


だけど…


「……ちょっとモンブランはどうしたのよ?」

「で…出来てる」

「さっさと持ってきなさいよ、……ったく」


お礼の一言も無い。

言わないだろうとは思っていてもやはり全くその気がない事に怒りを覚えてしまう。




「これ、お姉様」


私は姉に白い小さな箱にいれたモンブランを手渡した。


「……」


何も言わずスッとその箱を持つと姉は父と要職の人よりも先に家を出ていった。

続いて要職の人、最後に父だ。


そして父は私に目を送ると一つだけ頷いた。

それは後からもう一つ迎えが来るから待て、という合図だ。

だから私も同じように頷き父を見送った。


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