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翌日、姉は父を急かし家を出るとアルバートに会う為のドレスを買いに行った。


誰もいなくなった家の中、自室に篭り私は小さくなっていく二人を見ながら少しホッとしていた。

私の部屋は姉とは真逆で北に面しており日中でも薄暗く寒い。

最初は姉の隣を提案した父だったが、それが気に入らず真逆にして欲しいと頼み込んだそうだ。


寒い部屋の中は必要最低限のものだけある。

椅子、テーブル、ベット、そして買ってもらった本を置く本棚だけ。

そのどれも使い古した中古品であり、姉の部屋はなんでも新しく、定期的におねだりしては新品ばかりが置かれている。

服だってそうだ。

私が着る服はどこにでもある白いワンピース。

サイズが少しブカブカなのは姉が面白がって買ったそうで…。

対して姉は色鮮やかな服ばかりでサイズもピッタリ。

見せつけるように買ってもらっては私に見せ感想を求めてくる。

多分今回買ってもらうドレスについても聞いてくるはずだ…。



「……はぁ」


ため息を吐くと白く、まだ真冬ではないのに寒さが身に染みる。

家族間、いや姉妹間格差がここまであることに毎日絶望している。

だけど、一つだけ希望はある。

それはお酒も結婚もできる15になったら働ける事。

家を出て働けるようになるなら姉を気にする事がだいぶ減るからだ。


姉は働く気はなく、家にいるだろう。

買い物をするため定期的に家を出る私は働き口が無いかを尋ね、合う仕事を探していた。

そのうちの一つがレスター国の屋敷でのメイドだ。


料理が出来る者を探していると聞き、その口利きをしてもらっておりその返事を今待っている最中だ。


唯一の希望を胸に私は姉からの圧力に耐え続けていこうと思った。





ーーーーーー





「待ち遠しいわ、ドレス!」


姉の陽気な声が部屋に届くと私は慌てて部屋を出た。


「お、おかえりなさい」

「あら、いたの?逃げ出したんじゃないかと思ったわ」

 

皮肉たっぷりに言う姉は上機嫌で手にはいくつも紙袋を持っていた。


「それは?」

「あぁ、これ。何故かあんたにお父様が買ってくれたのよ」


姉は紙袋を床に置くとその一つからドレスを出してきた。


「青い……」

「そう、あんたと同じ目の色をしたドレス。ほら、着てみなさいよ」

「え……今?」

「当たり前でしょ。せっっかくお父様が買ってくれたのに着ないなんて最低ね!ほら!?」


ドレスを私にズイッと手渡してくる。

姉の隣にいる父をチラッとみると少し複雑そうな顔を見せている…。

父の想いを感じ取り、私は姉からドレスを受け取ると部屋に戻り、青いドレスに着替え始めた。


「……」


クローゼットの中に設置された鏡を見て少し嬉しくなった。

いつもとは違うブカブカではなく、ちゃんとサイズの合った服。

こんなのが着れる日が来るなんて思わず、しばしその鏡に映った自分の姿を見ていた。

すると、姉が入ってきた。


「……なに固まっているのよ、そんな所で。着たなら早く出てきなさいよ」


姉の言葉に反応し、顔を横に向けると目が合った。

でもすぐに私は逸らし、また鏡に目を移した。


「ちょっと!今、目が合ったわよね!?なに黙っているのよ!」


怒りの言葉を浴びせながら私に近づくと無理矢理鏡から引き離し目の前に立たせ、上から下へと視線を落としながら私の姿を見始めていく。


「……見ないで」

「いやよ。……なんだ、別に可愛くもなんともない。いつものあんたね」


それだけ言い残すと姉は満足そうに部屋を後にしていく。

だが、閉まる扉を少しだけ開け、早くご飯を用意しなさいよ?とだけ言い残すと紙袋をガサガサと音を鳴らしながら部屋に戻っていった。

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