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アルバート

姉の素早い行動に私は呆気に取られ、言葉を失った。


「私を責めるばかりかお酒を強要してきたのよ」

「なっ!」


自身が強要したのに、私がしたように言いつけ父を納得させようとしていた。


「違う!?お姉様が私を!?」


父は私達姉妹を交互に見たあと、ふぅっと息を吐いたのち姉の頭を撫で始めた。


「そうか、それは災難だったな」

「でしょ!もう気持ち悪くて何度もトイレに行ったわ。もう大人なんだから飲めるはずって無理矢理」

「違う、違うっ!?」


首を何度も振り必死に私ではないと叫ぶ私を父は落ち着けと諭してくる。

その脇には軽く口元の口角を上げ笑う姉がいた。


「どうして……信じてくれないの?」


涙ぐむ私だったが、父は姉を気遣っていた。


「お父様、それよりあの話、聞いてくれた?」

「あの話……あぁ、あれか」

「そう、あれよ、あれ」


私が知らない二人の約束。


「ちゃんと話は通した。三日後だそうだ」

「やったぁ!?お父様、大好きっ!?」


姉は喜び、父の胸へと飛び込んでいった。

喜ぶ姉は何度も父にハグをし、そして父もそれに応えるかのように優しく包み込んでいく。


二人の時間が流れ、私は悪者のままこの話は終わりを迎えていった……。





喜ぶ姉は起きた父をもてなすかのように接し、私は憔悴した気持ちで料理を食べた。


「じゃあ、うんと綺麗なドレスじゃないと失礼でしょ。お父様」

「まぁな」

「買って……くれるよね?」

「仕方ないな、投資の一つだ」

「やったぁ!?飲んで飲んで。……レナ、お酒持ってきなさい」

「……もう飲まないほうがいい、体に悪いから」

「なに言ってるのよ。めでたい時は飲むのが普通でしょ、ねぇ、お父様?」

「まぁ、な」

「めでたい、ってなに……?」


二人しか知らない事を気にし私はそれを聞こうとした。

普段なら教えてくれない姉だったが機嫌が良く、教えてくれた。


「アルバート様に会えるのよ。あぁー……いつ以来かしら。もう10年も経つのかしら」


目をうっとりとさせながら天井を見る姉。

アルバートという名は父から聞いたことあるが、記憶にない…。

でも姉は会っているような様で…。


「だれ、それ…?」

「あんた知らないの!?アルバート様を」

「名前なら……」

「落ち着け、レオナ。小さい時しか会ってない。記憶にないんだろう」

「馬鹿ね、あんたは。アルバート様はレスター国の王子、いえ、もうすぐ国王になるお方よ。そんな人と会えるなんて一流家庭でもほんの一握りよ」

「……はぁ」

「はっ、あんたなんかは会えないけどね、頼んだのは私なんだから。あぁー……三日後に会えるなんて夢みたい。じゃあ明日買いに行かなくちゃ、そうでしょ、お父様?」


仕方ないなといった顔を見せ頷く父。

そしていつもなら絶対しない皿の片付けをし始める姉。

陽気な鼻唄を交え部屋へと戻る姉の意識はもうアルバートに向けられていた。


「……レナはどうする?」

「えっ」

「話すことは出来ないが、見る所までならつれていってやる」

「……えっと」


正直見たいとも思わなかった。

でも王子を見る機会なんて無いかもしれないと思い、父にお願いした。


「わかった。適当にお前のも買ってくるからそれを着ておきなさい」

「…はい」


こうして姉には内緒だが、私もアルバートに会うことにした。



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