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上の世界

部屋を出された私は重い足取りで自室へと戻ろうとした。

しかし…


「……れ、レナ。何故?」


階段を降り、目を下に向けていた私に聞き覚えのある声がし、上を向くと、姉が私のすぐ側にいた。


「お、お姉……」

「なんで、ここに……帰ったんじゃ……しかも、今階段を降りてきたわよね?上にいたって事は、アルバート様の部屋……?」


驚く姉の質問に一切答えず、横を通り過ぎようとした。

でも、それを許さない姉は私の腕を掴み出していく。


「ちょ、ちょっと待ちなさい。……どういう事?なんで上に?」

「……呼ばれたから行っただけ」

「呼ばれた?……あんたが??」

「そう」

「……待って、意味がわからない。アルバート様の部屋なんて決まった人しか入れないのよ?それがどういう意味か分かる??」


動揺する姉に私はここで働く事を告げた。


「はっ?あ、あんたが、ここに……?」

「そう」

「い、いや、はっ?い、意味がわからないわ。どうしてこうなったか説明して頂戴」


頭を掻きながら必死に自身を押さえ込もうとするが、その光景は明らかに私がここで働く事を嫌ってる。

それは間違いない…。

だから、私は経緯を話していった。



「……代わり?あんたが、アルバート様の補助???」

「お酒も飲めるようにしろって言われた」

「お酒……って事は他国にも一緒に行くってこと?」

「……みたいだけど」

「へっ、いや、そんな、いやいや……ありえない」

「何をそんなビックリしてるの?働く事になったのは私を気遣……」

「そんな訳ない!?」


私の言葉を信じたくない姉は私をほっとき階段を登っていきアルバート様の部屋へと向かっていった。

真相を知るためだろう…。


ただ私は姉から解放された事でようやく自室へと戻ることが出来た。











「入るわよ」



夜、私の部屋にエレーナさんがやってきた。

その手元には木のお盆を持っており、そこには夕食が載っていた。


「……どんな話だったの」


お盆を机に置くとすぐに私に質問を投げかけてきた。

だからありのままをエレーナさんに伝えると、『良いなぁ』と感嘆の声をあげる。


「そんなにいいんですか?私はあまり人と交流は苦手で」

「なに言ってるの、他国の人より、アルバート様と一緒に出かけられるのよ。誰もそんな事出来ないから」

「誰も??」

「えぇ」

「……姉でさえ?」

「そうよ、レオナ様でも一緒に出かける事はないわ。……まぁ、婚姻したらそうはいかないけど」

「え、って事は今までアルバート様の補助してた人しか一緒に出かけた事がないって事ですか?」

「そう」

「……なんで私が?」

「それに、出かけるならそれ用の服装も用意されるはずだし」

「服?」

「そりゃあ……この格好じゃアルバート様にも他国にも迷惑でしょ?」


白いワンピース姿はここでは確かに見慣れているが、他国となると『正装』が常識、今までの私には縁遠い世界に入ったんだと痛感していった。


「とりあえず、明日からだから今日は早く休んでね。また朝、迎えにくるから」


エレーナさんは部屋を出ていき、私は持ってきてくれた食事を少しだけ手をつけ、後はすぐにベットに潜り込んだ。

だけど、なぜ私なんかを…と思うとなかなか寝付けずに夜は更けていった。


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