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仕事場

部屋を出て向かったのは廊下を渡り、アルバート様達が暮らす居住区。

その奥を進んでいくと何かやら声がする場所があった。



「リースさん」


エレーナさんが声をかけた先には少し歳を召した女性がいた。


「なに、エレーナ」

「あの、こちらはこれから働く……」

「あぁ……レオナ様の」


ここでも姉を『様』付けで呼んでくる。


「はじめまして、私はリース。この調理場を任されているわ」


初めて見るリースさんは白い割烹着姿であり、体型は少しふくよかで、丸い顔の目尻に刻まれたシワがより年齢以上の印象を持ってしまう…。


「あっ、私は……」

「いいわ、レナでしょ。レオナ様から聞いてる。……でも、双子といっても似てないわね」


初対面でもズバズバ言ってくる感じは何処か姉を思わせてしまい、私は少し毛嫌いを持つ感じになってしまった…。


「それで、いつから?」

「え、えっと」


具体的にいつから働くなんて聞かされていない私は戸惑い、エレーナさんに助けを求め目を送った。


「明日からと私はラルフさんから聞いてますが」

「そう。明日ね」


そう言い残すとリースさんは私達の元から去り、調理場の奥へと戻っていった。


「ごめんね、今、夕食を作ってる最中で目が離せないの。周りもピリピリしてるから」


言われてみると、リースさんの他に使用人達が合図や指示を出しながら作業してる様子が見れた。


「……リースさんはちょっと気が短い所があるから機嫌を損ねないようにね」


こそっとエレーナさんは耳打ちで私に教えてくれ、調理場から次の場所へと案内していく。







「ここから先がレオナ様がいるお部屋ね」


調理場から少し離れた先には姉の部屋があるという。

それを聞いて一気に緊張が増していった。

ゆっくり歩き近づいていくエレーナさんだったが、私の足取りは徐々に遅くなっていき、二人の距離が離れていく。


「……どうしたの?」

「いえ、あの」


少しだけ顔色を暗くして歩く私にエレーナさんはお腹でも痛いのかと尋ねてきて、つい私はそれに乗ってしまった。


「そう、ごめんね、気づかず」


エレーナさんは私の方へと戻ってくると再び調理場の方へと引き返してきて、私をトイレへと連れて行った。






「大丈夫?」

「はい……すみません」

「レオナ様のお部屋はあの先に行けば部屋は一つしかないからすぐわかると思う」

「そ、そうですか」


「じゃあ……次は」



エレーナさんは周りを見渡し、階段の方を見ると上に行こうと告げてくる。


「上は、誰が……?」

「上はアルバート様のお部屋ね、あとは国王様。でも最近は体調が優れず、エリスさんが付きっきりで見てる」

「そういえば、そんな事言ってたような」

「そう、じゃあアルバート様のお部屋に」


螺旋階段を登り左手に向かうと廊下に置いてある花瓶と同じ物が並んでいる光景が現れた。

それに目を向けるとアルバート様が置くようにと指示したと教えてくる。


「……花、好きなんですね」

「えぇ、花を見てると落ち着くらしいの。特に赤色の花を見てると」




花瓶が置かれた場所から程近くには焦茶色の扉が現れ、そこをエレーナさんはノックしていく。


「えっ」


場所を教えるだけだと思っていた私はエレーナさんがノックした事に驚いた。


「何故!?」

「なぜって……アルバート様の指示、だけど?」

「えっ」



「入れ」



中からはアルバート様の声がし、エレーナさんはゆっくりとその扉を開いていった。


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