エレーナ
「……いいのか?」
「はい」
私の申し出に軽く首を縦に振った後、部屋の扉へと近づいて行った。
「どこに??」
私は自身の話をまだ聞いてもらってない事に戸惑っていると扉を開けていき、部屋を出ていってしまった。
「えっ……」
すぐに私も後を追いかけ出るとそこにはラルフさんがいた。
「アルバート様、こちらでしたか」
「あぁ」
「……なぜレナも?」
後から追いかけるように来た私を見つけ、声をかけていくとアルバート様がちらりと私を見て話しだす。
「……こいつはここで働くことになった」
「はっ?」
「なにを驚いている。最近辞めた奴がいただろう?そいつの代わりだ」
「いやいや……いきなり何を言ってるんです?まだ辞めて3日と経ってませんよ。それに……」
ラルフさんは私自身がここで働く事を拒絶したのに雇うのは尋常ではないと告げてくる。
「……そうはいっても本人が『する』と言ってるんだ。断る理由はないだろう」
「なっ!」
「それとも何か?命令を聞くのは嫌だと?」
命令、と言われラルフさんはそれ以上反論をしなくなった。
「分かったみたいなので部屋に案内してくれ」
「……まだ片付けなどしてませんよ。日が浅いので」
「なら、いますぐにだ」
「……わかりました」
渋々ラルフさんは了解し、私達の元を去っていった。
ーーーーーー
しばらく経った後……
「こちらになります」
私は一人の女性使用人に連れられ部屋を案内された。
通された部屋はあの廊下の近くの一室。
中は一人部屋としては十分過ぎるくらい広かった。
広々とした窓、近くには長机、椅子、ベット、そして備え付けられた本棚があり、中には持っていってないのだろうか、本が数冊残されていた。
「ここを、一人で……?」
「はい、そうですが……」
使用人も同じ部屋を使ってるようで困惑する私に疑問府をつけていた。
「申し遅れました、私、エレーナと言います。あなたに色々教えるように言われたので」
名を教えるエレーナさんは私よりも年上そうに見えたが、とても華奢で可愛い感じだった。
ピンクの長髪は艶々しており、照らされた日を受けるとより一層それが映えた。
それに目はクリッとしていて、そのつぶらな瞳は青く、軽く笑うと出来るえくぼが印象的だった。
「あ、私は……」
「レナさんでしょ。レオナ様とは姉妹の……」
「……様?」
「え、違いましたか?」
姉に対し『様』をつけて呼ぶ事が不思議だった。
まだ正式に妻でもないのに…と。
「どうして、姉をそう呼ぶんですか?」
「どうしてって……ここでは皆そう呼んでますよ?」
「えっ……」
私が思っていた以上に姉はアルバート様以外の心にも入り込んでいたようで……。
「あの、レオナ様の事、嫌ってるんですか?」
「いや……」
その質問につい言葉を濁してしまい、目を逸らしてしまった。
「ダメですよ。お姉様の事を悪く言っては。あの方はアルバート様はもちろん、私達にも本当に優しい。
つい先日なんか私に」
アルバート様以外にもここにいる人は皆、姉の本性を知らないみたいだ。
聞いてもないのにエレーナさんは自身に対してしてくれた事を嬉しそうに私に話しかけてきた。
「あっ、ごめんなさい。話し込んでしまって…ちゃんと教えないといけないのに」
「……い、いえ」
話を切り上げ、屋敷内の事を教えるといい、私を連れ部屋を二人で出た。




