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独り言

廊下へと着き、中へと入り進んでいくとアルバート様が本当にいた…。


「あっ……」


私の声に反応し、アルバート様がこちらを向く。

どうやら今は姉が一緒ではないようだ。

私としたらチャンスであった。


「……もういいのか?」

「えっ」


私がリックさんを頼り泣いていた事を知っていたようだ。


「そんなに感情的に話すタイプには見えなかったが、そうではないみたいだな」


姉との口論を見て、私の事を問いてくる。

でも私がしたい話はそんな事ではなく…。


「あの、私、アルバート様と話が」

「話?」

「はい、あの……」


私が話そうとすると、アルバート様も私に対し話があると告げてくる。


「ここではしづらい。……ついてこい」


そう言うと廊下の向こう側へと歩きだしていく。

それを見て私もついて行くしかなく、ゆっくりとその後を追う事にした。


どこかに向かう途中、二人の間に会話は無く、ただ歩きついていくとある部屋の前で立ち止まった。


「ここは……」


そこは以前私が『面接』を受けたあの部屋だった。

ガチャと開け、私を招くとすぐに扉を閉めていく。





「話があると言ったが」

「はい、姉……」


私はすぐにでも姉の本性を明かそうとしたが、それを遮るようにアルバート様が口を開いた。


「やつらについてだが……」

「や、やつら?」

「ダークズだ」

「ダークズ……あぁ……」


連れてきた人から色々聞いたようでその内容を私に話してきた。

そこにはあの造船所の権利証を使い、働いている人達に無理強いさせようとしている事、また従わないと家族に危険を及ぼそうとしている事を知らせてきた。


「そんな、すぐにでも取り返さないと」


慌てて部屋を出ようとする私だったが、それをアルバート様は止めてくる。


「落ち着け、話は済んでない」

「でも」

「やつらの根城を吐かせてある。近いうちになんとかなる。……それより、お前はこれからどうするんだ?」

「ど、どうするって……?」

「ここを出て家に帰るんだろう?今、あの家に行くのはやめた方がいい」

「どういう事ですか?」


私が戻ろうとする家には戻ってこない手下を不審に思い監視の目があるかもしれんと告げてきた。


「そんな状態で戻ったら何をされるかわからんぞ。捕まり、自身の身に危険が及ぶのは目に見える」

「……そんな」


戻ったら下手したら殺されるかもしれない実情を知った私は落胆の色を見せて項垂れてしまった。


「……それじゃ、私、帰る場所なんてない」


途方に暮れる私にアルバート様はゆっくり机の方へ向かい、何か取り出すと私の方へと持ってきて目の前に差し出してきた。


「これは……」

「お前の家の権利証だ。……悪いが勝手に入らせてもらった」


父の葬儀と同時進行し、使用人達に私の家に向かわせ取ってきたと告げる。


「これも取られたらもっと面倒になるからな。持ってろ」


差し出された権利証を受け取るが、これが有っても私には帰る家が無い。

嬉しい気持ちより、この先の不安しかなかった。

そんな顔する私に…。



「……ここからは俺の独り言だが、最近俺の世話をしていた使用人の一人が辞めてしまって困ってる。

そいつは料理も担当していたが、……誰かいないだろうか」


「……えっ」


「誰かいい奴がいたら紹介してもらいたいくらいだが…もちろん俺を担当するくらいだからここに住むのが条件だがな」


そう言いつつも私の事を軽く見てくるアルバート様がいた。


「や、……やります」

「やる?」

「わたし、……私じゃダメですか?」


ひょんな事から私はこの屋敷で働く事を決めた。



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