ついに
ふーふー、っと肩で息をしつつ私の事を締め付ける姉に私は続けて言った。
「私が大声上げたら外にいる使用人さん達に聞こえるけど、いいの?バレたくないでしょ?バレたらアルバート様にも伝わるはず」
こう言えば姉は少しは収まるはずと思った。
「言えばいいじゃない!?」
どうやら頭に血が昇り、いつもなら終わるはずの行動も終わらずにいた。
「そう……」
私は掴みかかった姉の手に添えつつ大声を上げた。
だけど……。
「ん、んんっー!?」
姉は咄嗟に掴みかかった手の内、左手を私の口元に当て押さえ込みはじめた。
姉の目は以前、私を刺そうとしてきた時と同じ目…いや、今回はそれ以上にも見えた。
押さえられた事で私は息苦しくなり、何度もその左手を引き剥がそうとしたが、考えられないくらい力強く、一向に引き剥がせなかった。
段々と意識が遠のき、目の前にいる姉の顔が暗くなっていく。
しかし、ギシっ…と廊下を歩く音に気づいた姉はパッと手を離し、私を解放した。
「……どうかしましたか?」
どうやら家の中での物事に気付き、そのうちの一人が私達の元へとやってきた。
「だ、大丈夫ですか!?」
苦しそうに呼吸をする私をみて、すぐに声を掛けてくれたが、姉がすぐその要因を話していた。
「父、……お父様が亡くなり悲しくて過呼吸になってしまったみたいです」
「そ、そうでしたか。立てますか?」
私に手を差し伸べてくる。
だけど、私は嘘をつく姉の事をバラした。
「……姉が、わたしを」
「えっ?」
すぐに姉の事を見る使用人。
「いやだわ、なに言ってるの、レナ。……苦しくて混乱してるんじゃない?早く部屋まで行かないと」
そう言いながら私に寄り、立たせると使用人から引き剥がし部屋へと急いだ。
その際、使用人には丁重に謝る姿を姉は見せていた。
ーーーーーー
「あんた、どういうつもり?」
私を部屋へと押し入れ、すぐに部屋の鍵をガチャ!?っと大きな音をたて閉めていく。
「どういう、とは?」
「惚ける気?さっきの使用人に対する言葉よ!」
「別に……」
惚ける私に苛立つ姉だったが、もし、部屋へと来た際に言い訳を考えなければならず、さらに不審感を植え付けてしまったことで大きな行動には出れなくなってしまっていた。
だから『口』で攻撃するしか無かった。
「私はお姉様が嫌い」
「……そんな事言われなくてもわかってるわよ。そんな事聞いてるんじゃない。なぜあんな事をバラした?」
「バラしてマズイなら変な行動しなければいい」
「あんたね!?」
「明日、アルバート様にバレるはず」
私の言葉は相当堪えたようで、姉はそれっきり黙り、そのまま私達は寝ずに夜が明けるのを待った。
お互いがお互いを監視するように睨みながら…。
翌日、私と姉はギスギスした感じでアルバート様の到着を待った。




