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再び家へ

中に入った私にアルバート様はもう一度問いてきた。


「ロイドが亡くなった、だと?……いつだ」

「き、昨日です」

「……そうか」


私の言葉を聞き、少し落ち込んだ様子を見せたが、それ以上に落ち込みを見せたのは…。


「そんなぁ!」


姉が隣で崩れ落ち顔を覆い、悲しみの声をあげていた。

泣き、震える様子を周りの人間に見せ、同情を誘っている。


「お父様ぁ!?」


粗気もなく大声で泣き叫ぶ様子にアルバート様は肩にそっと手を置き悼む感じを見せると、姉はその手をしっかりと掴み、立ち上がると胸へと飛び込み更に泣いていた。


(……白々しい)


私は姉の行動、言動全てに苛立ってしまった。

だが、姉の悲しむ様子をラルフさんは何も言わずただ優しく見ているようだった。


「レオナ、すぐにでも会いに行け」

「えっ?」

「父親の最後の顔をしっかりと見るべきではないか?」

「……え、えぇ。そう、ですね」


胸から離れるとあの白いドレスのポケットからハンカチを出し、目元を拭っていた。


「ラルフ、棺の用意をしろ」

「は?……なぜ棺を?」

「聞いてなかったのか?レオナの父親が亡くなったんだ。ちゃんと弔うのが筋だろう?」

「いや、弔うのは分かりますが、なぜアルバート様が??」

「レオナは俺の妻になる予定の者だ。その者の父親はもう家族みたいなものではないのか?それにレナも同じだろうが」


アルバート様の言葉にラルフさんは私の事をチラリと見てきた。


「……わかりました。すぐに」

「あぁ、それとリックも呼べ」

「リックもですか?」

「あぁ、人手がいるだろう、運ぶには。あと何人かを連れてこい」

「分かりました」


ラルフさんはすぐに屋敷の中へと急ぎ準備をし始めた。


「レオナ、俺も行く」

「え、えぇ。嬉しいですわ」

「少し待ってろ」

「ど、どこに?」

「父上に報告だけしてくる」

「あ、……はい」


アルバート様はそう言い残し、私達の元を去っていった。

残された私と姉。

お互いがお互いを牽制し合いながら何も喋らずにいたが、姉が口を開いた。



「ふぅ、やっと、か」



父が亡くなった事などどうでもいいような言い方をしてきた。


「そんな言い方していいの?」


私は詰め寄るが姉は周囲を気にしてかキョロキョロと伺った後、続けてきた。


「えぇ、私にはどうでもいい事だし。それに今さら顔を見てもなんとも思わないけど?

ただ……」

「なに?」

「死んだなら匂いが、ね」

「そんな言い方!?」


私は大声を上げ姉に一歩近寄って行った。


「やめて、近づくのは」

「えっ」

「匂うわ、あんた」


今ので私はキレた。


「そんな言い方ないでしょ!匂う?ふざけないで!」

「やめなさい、レナ。レディが大声なんてあげて」


私は姉のドレスに胸元に掴みかかった。


「やめてくれる?せっかくのスワロフスキーの宝石が取れちゃう。アルバート様が気に入ってる物を壊す気?」

「それが、なに!?」


喧嘩をし合う私達の周りには人がいないように見えたが、姉は知っていた。

花壇周りにいる人がこの時間には水をやりにくる事を。

だから急に私に対する言葉遣いが優しくなっていた。


「ねぇ、そろそろ離してほしいわ、レナ」

「ふざけないで!お父様の事を!?」


そろそろマズイなと思ったんだろう。

姉は掴みかかった私の手を上から押さえるように掴むとゆっくりと降ろさせ、すぐに耳元に顔を寄せてきた。


「周り、いるわよ?」

「えっ」

「掴み掛かった状態を見られたら状況が悪いのは私より、あんた。

二度とこんな場所踏み入れれなくなるわよ?」


姉の呟きに私は右左を見ると日に照らされ、人影がこちらにやってきているのが分かり、すぐに姉から手を離した。



「そう、それでいいの。……あんたは」


言い返そうにも周りには花壇に水をやりはじめた人がおり、そのまま私達は再び黙りアルバート様達がくるのを待った。



「お待たせしました」



私達の元にラルフさんとリックさんがきた。

二人が来る前にアルバート様も報告を終え戻ってきていたが、普段とは違い、黒いマントを身に付けていた。


「あぁ、行くか」



私達は二手に別れ馬車に乗り込むと父が眠る家へと向かいはじめた。


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