助け
落ちた権利証を見て素早く男性はそれを拾い上げた。
「あっ、返して!?」
手を伸ばすが男性はそんな私のお腹を蹴っ飛ばすと他の男性達を引き連れ、父の部屋を出て行った。
「痛い……」
全身に青紫色のアザがいくつもでき、動くのもキツかった。
だけど、奪われた権利証をなんとかしないと…と思い、必死に体を動かし男性達の後を追った。
家の外に出るが、もう男性達の姿はなく、それを確認すると私は膝から崩れ落ち、気を失った。
「……んっ」
目を覚ますと何故か私は自分の部屋に居た。
「大丈夫か?」
目に飛び込んできたのは造船所で最初にあった人だった。
「……酷くやられたみたいだな。そこらじゅうにキズがある。
あいつらは何者だ?」
「知らない。……そうだ、権利証は!!?」
すぐに起き上がるが私はズキっとした痛みが体を走り、またすぐにベットに寝倒してしまった。
「無理するな」
「そんなこと言ってられない。あれがないと!」
「……諦めろ」
「諦めろ?どうして!?あれがないと皆に迷惑がかかってしまう。お父様の遺言にも従えない」
「もういいんだ。あんたが来て所長が死んだって聞いたんだ。皆、理解している」
「そんなぁ」
「閉鎖するのも時間の問題なんだろうな、っと。俺らはいい。あんたはちゃんと所長を弔うんだぞ」
そう言い残すと部屋を出ていった。
私は取られた事と守れない悔しさから涙が溢れてしまった。
「お父様、ごめんなさい……」
眠る父に謝り、どうすれば良いのかを考え巡らせた。
そして……
ーーーーーーー
私はアルバート様の屋敷へと向かっていた。
「あんた、確か……」
門番にいたカルロスさんが私に気付き、声を掛けてきた。
「あの……」
リックさんを呼んでもらおうと思ったが、この二人は仲が良くない事を思い出し、私はラルフさんの名を告げた。
「なんでラルフさんを?要件は?」
いきなりアルバート様を呼んでも門前払いになるだけと思い、ラルフさんの名を出したが、カルロスさんは冷たい対応を取ってきた。
そればかりか中にいる姉じゃないのか、と尋ねてきた。
姉に頼るのは嫌だった。
どうせ後から恩を売ったのだから返せと言うに決まってる。
「お願いします。早く伝えたい事が!」
私は必死に頭を下げ続けお願いし続けた。
何度も何度も下げる私に根負けしたのか、嫌々ながら門番を後にし、屋敷の扉へと向かってくれた。
それからしばらく門で待っているとラルフさんがこちらへとやってきた。
「なんだ?」
「あの……」
私は父が亡くなった事を伝えると、少し目を開き、驚いた表情を見せた後、『そうか』とだけ呟いた。
「あの、アルバート様に会いたいんです」
「アルバート様に?何故?」
私は事の経緯を話し、どうしても助けて欲しいと懇願し続けた。
だけど…
「……悪いが、アルバート様をそんな事に巻き込ませる訳にはいかない」
「そんなぁ」
「取り返す為にアルバート様を危険な目に合わすなど誰が許可する??……自分自身で取り返したらいい」
「お願いします!」
必死にお願いしたが、取り合ってくれずラルフさんは屋敷へと戻るため去ろうとしていた。
「待って!お願い!?」
声を上げお願いしていると、奥からアルバート様の姿が見え、こちらへとやってきた。
が、その隣には姉がいた…。
「あら、レナじゃない?どうかしたの?」
姉がすぐに声を掛けてきた。
だけど、私は目を逸らし、アルバート様の方を見てすぐに話し始めた。
「あの、お父様が、……亡くなったんです」
私の言葉を聞くと、カルロスさんに門を開けるように指示を出し、私は屋敷の中へと入った。




