チンピラ
「とりあえず、ここで話すのはなんだから来てもらおうか?」
男性は私の腕を掴み何処かに連れて行こうとしてきた。
「やめてください!」
「……おいおい、あんたはロイドの娘だろ?借りておいた金返さないからこうやってきてやったんだろうが」
「助けてっ!」
私は必死に職人達に助けを求めた。
だが、その職人達も他の男性達に脅される形でナイフをちらつかせられ私の助けの言葉に応えることはできなかった。
「私はロイドの娘じゃ……!」
グイグイっと引っ張られる形で歩かされた。
「あぁ??じゃあその手に持ってる物はなんだ?それはあの造船所の権利証だろうが。そんなもの持ってるのはロイドくらいだしな!」
「……」
「黙るってぇことは認めてるんだよ」
さらに歩かされ連れてこられたのは私の家だった。
「おら、入れよ!」
扉を強引に開け中へと私を入れるとぞろぞろと男性達も続いて入ってきた。
「汚ねぇな、ここ」
家に入るなり家の様子を見ては口を押さえながら話してきた。
「おぅ、ロイドはどこだ?案内しろ」
「だから、私はロイドの娘……」
ダンっ!!?
壁を思いっきり蹴り行く手を阻む形にさせた。
「そんな嘘はいいんだよ。ロイドから聞いてる。
レオナとレナ、二人の娘がいるってな。そしてその特徴も吐かせてある。その特徴が合致していて権利証を持ってるなんて娘以外いないだろうが。
……お前は、レナ、だろう?」
ごくりっ
見られながら生唾を一つのみ、権利証を持つ手をギュッと握った。
「……で、早く案内しな、ロイドの元に。返す期限はとっくに切れてるんだからな」
「……いない」
「はぁ?」
「もう、いない」
「いないってなんだよ、まさか逃げたんじゃないだろうな!?」
私が持つ権利証を掴みながらグイグイと引っ張り取ろうとしてくる。
「違う!?もう、亡くなった!?」
私の答えに男性は手を止めた。
そればかりか付いてきた男性達も隣を見合うように話しはじめていた。
「おい、死んだって言ってるぞ」
「取り損ねたじゃねぇか」
「……どうするんだよ」
「本当に、死んだのか?」
私の前にいる男性が問い詰めるので私は頷き答えた。
「……っち。返さず死ぬとは、なんて報告すればいいんだよ」
困り果てた男性は足を下ろし、確認の為に私の背を押し、父がいる場所まで案内させた。
「……くそ!」
部屋に入るなり父の姿を見た男性は怒りを露わにしてベットの近くにある椅子を蹴り飛ばしていく。
「しょうがねぇ、金目のもだけでも取ってけ」
男性の合図で部屋を荒らそうとし始めたが、私はすぐにそれを止めさせた。
「やめて!お父様がいるのよ!?」
「知った事か、俺らは回収しねぇと怒られるんだよ!?……それとも何か、お前の体で回収してやろうか?」
「……や、やめ」
近寄る男性に私は後退りして逃げ、長机を背にした。
「体が嫌なら、その権利証を寄越せ。とりあえずそれでまずは勘弁してやる」
これがなければ職人達への補償が出来なくなる。
だから私は必死に首を振り、拒否し続けた。
「……荒らすな、自分も嫌だ、それも嫌だ。
何でもかんでも通ると思うなよ!?」
我慢の限界に達した男性は私に近づくと権利証を奪い合う形で取っ組みあいになった。
必死に両手で抱え込み体を小さくして守ろうとする私と奪うために何度も叩き、蹴るを繰り返す男性。
(痛い、怖い……助けて……)
「おらっ!早く渡せっ!?」
さらに酷くなっていく男性の行動。
痛みから私は守る両手の力が弱まり、ポロッと権利証を落としてしまった。




