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国王

「遅いぞ、ラルフ」

「申し訳ありません」


ラルフさんはその男性に詫び謝るが、続けてアルバート様が男性へと近づいていった。


「お父上、遅くなり……」


肖像画で見た絵より少しやつれた感じはあるが、この人が現国王でアルバート様の父のようだ。


「お加減はいかがですか?」

「ふん、今日はまだ良い方だ、……それより」


目線は姉に向けられたようで、二人は同時に視線を送ってきた。

向けられた視線を受け、姉は少し微笑みながら二人の元へとゆっくり歩んで行った。


「お初にお見えになります。えっと……」

「アンドリュー様だ」


ラルフさんが名を教えてくれた。


「アンドリュー様、私はレオナ=イシュバールと申します。この度はアルバート様にご招待頂き大変光栄です」

「そなたが、話に聞くレオナか?」

「えぇ」


姉は裾を持ち挨拶を済ませると体調を気遣う言葉を投げかけた。


「すまないな、こんな格好で」


病気なのだろうか、国王といっても今見せている姿は白いガウン姿で右腕には細い点滴の管が刺さっている。


「今日は会えて良かった。……そこにいる者はそなたの妹か?」


話題は私に向けられ、一気に緊張が増した。


「こちらに来なさい、レナ」

「……はい」


周りにいる人達の視線が集まる事で私はギクシャクとした足取りで姉の近くへと歩んだ。


「アンドリュー様、こちら、妹のレナと申します。

見た目は似てはありませんが、私達は双子になります」

「ほぉ」


説明を受け、私の事を見てきた。

近くで見る国王の目は赤眼で、真っ直ぐ向けられた視線に少しだけ怖さを感じてしまい、目線を姉のドレスの裾の方へと向けてしまった。


「……すまない、初めて会う人物には目を見るようにしているので怖がらせてしまったな」

「い、いえ」


ゴホゴホ…っと咳をし始めた国王に慌てて周りの使用人達は集まってくる。


「……大丈夫だ」

「アンドリュー様、少しお休みになられた方が。今日はあまりお休みになられていません」


先程の聴診器を下げた女性が声をかけてくる。


「いや、今日は特別な日だ。エリス」

「それは、分かっていますが……」


エリスさんは国王に近づくとそれでも少しはお休みを、と背に手を添えゆっくりと座るベットへと介抱していく。


「アルバート、ラルフ」

「はっ」

「少し姉妹と話がしたい。席を外してくれ」

「……分かりました」

「畏まりました」


アルバート様とラルフさんは部屋から出るとこの場には使用人達と私達のみとなった。

でも…。


「エリス」

「なんでしょうか」

「そなたも周りの者も席を外してくれ」

「で、でも何かあったら!」

「……自分の体は自分がよく分かっている。そう教えたのはお前ではないか?」

「……っ。わかりました、何かあっては困りますのですぐ側で待機します」

「分かった」


エリスさんの指示を受け、周りにいる二人の女性も一緒に部屋を後にしていった。


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