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再会

再度足を踏み入れた屋敷の中。

あれから目に見える物に変化は無いが、姉にとっては全てが初めてである。

でも、そんな素振りを一切姉は見せず軽く見渡す位に留めていた。


「こちらになります」


目の前の階段を登り、現れた背丈の倍くらいある大きな焦茶の扉。

金をあしらった両開きの取っ手を開くとそこには真っ直ぐ伸びる廊下が現れた。

そこは私も踏み入れた事もなく、私達にとって初めての場所だ。


長く続く廊下はふわりとした感触の赤の絨毯が敷き詰められ、等間隔に置かれた台には白の花瓶が置かれ、そこには色とりどりの花は挿されていた。


窓もなく続く廊下にはその花から香る匂いが鼻へと入ってきた。


「なんか良い香りなんでしょう」


姉はその匂いが好きらしく歩きつつも少しその花瓶の方へと鼻を向けていた。


「ここに挿されている花は毎日違います」

「これもアルバート様のご指示ですか?」

「えぇ、あのお方はこの廊下を歩くのが好きで1日に何度もくる事さえもありますよ」

「まぁ、そうなんですね。私もここの匂い気に入りましたわ」


今の会話でさえ姉にとっては『情報』の一つに加わったんだろう。

表には出さないが私はそれを少なからず感じ取った。






長い廊下の突き当たりには同じ扉があり、そこを開くと屋敷に入ってきた時とは比べ物にならないくらい大きな空間が広がっていた。


「わぁ……」


私はつい声を漏らしその大きな空間を見上げた。

左右から上へとあがる螺旋状の階段があり、その空間の正面には2枚の肖像画が掛けられており、どちらも男性だ。


「あちらは先代の王、その隣は現国王の肖像になります」


ラルフさんはそう教えてくれ、姉はそのうちの一人の方ばかりみていた。

その視線の先は現国王だ。


「じゃあ、こちらの男性がアルバート様の……」

「えぇ、お父上になります」

「そうでしたか、早くお見えになりたいわ」


肖像画を見るにアルバート様の父であるのは間違いないようだ。

顔の特徴がよく似ており、髭を鼻下と顎に生やしている位しか違いが無いようにも見えた。


その肖像画が見ていると、奥の扉が開き、そこからアルバート様が姿を見せた。


「あぁ~、アルバート様!」


それに気づいた姉はすぐに足早に近づいていった。


「レオナ、久しぶりだな」

「えぇ。今日という日を待ち詫びていましたわ」

「あぁ」


繰り広げられる二人だけの空間。

だけど、そこに異を唱える者は少なくとも私以外にはいないように見えた。


「アルバート様、立ち話もなんですし、なにより」

「分かってる」


ラルフさんが少し割って入り、姉との会話を終わらせていく。

どうやら行く場所があるようだ。



ラルフさんを先頭に右手の螺旋階段を登り、廊下を進んでいく。

その突き当たりには一人の女性が立っており私達が来るのを待っていた。


「ラルフ様」

「あぁ、すまないな」


この女性は使用人なんだろうか。

ボブくらいの髪の長さで色はブラウン、目元は少し切長の赤い眼鏡をかけ、白いワンピースを纏っている。

だが、他の人とは違い首には聴診器をぶら下げている。


ラルフさんが立ち止まった先には明るい感じの茶色の扉があり、そこをノックすると中からも女性の声がしてきた。


開くとそこには二人の白いワンピースを着る女性。

この人達も使用人だろうか、出迎えた女性とは違い聴診器は下げてない。

傍らでは少し体を起こしベットから起き上がった男性がいた。


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