大人少女たち
「のぎちゃん!」
乃菊の病室に、亜美が勢いよく入って来る。その後すぐに、みおんと田沢も入って来た。
「のぎちゃん、心配ばかりさせばいで・・・」
みおんも声をかける。
「みんな元気で良かった」
頬にガーゼをテープで貼られ、両手に包帯をしている乃菊の姿は、実に痛々しい。
「人の心配してる場合じゃないでしょ。のぎちゃんは、いつも危ないところへ、一人で行っちゃうんだから、私たちの方がいつも心配してるんだから・・・」
亜美の切実な思いである。
「ごめんなさい・・・」
乃菊は、そう言いながら、目で何かを捜す。
「どうしたの?」
みおんが乃菊に聞く。
「国也様は・・・?」
乃菊が恥ずかしそうに尋ねる。
「国也様?おじさんのこと?のぎちゃん、まだどこか悪いんじゃないですか?」
亜美は、少し心配になる。
「何か変なこと言った、私・・・?」
乃菊は、気づいていないらしい。
「おじさんでしょ、おじさん。今までのぎちゃんは、国也さんのこと、おじさんて呼んでたじゃないですか」
亜美は、納得いかずに言う。
「そうだよ、だから国也様は・・・?」
亜美とみおん、それに田沢も顔を見合わせる。
「今、入院の支度で家に戻ってるの。でも、もうすぐ来るよ」
みおんは、とりあえず呼び方のことは置いて、乃菊を安心させる。
「良かった、国也様が無事で。お母様も一緒に来てくれるかな?」
「お母様・・・」
また三人は、顔を見合わせることとなる。
「乃菊、今、下でジュリアちゃんと真阿子ちゃんに会ったよ」
国也が病室へ入りながら乃菊に言う。
「国也様、お母様は?」
「来てるよ」
ジュリアと真阿子に続き、荷物を持った雲江も入って来た。
「菊野ちゃん、大丈夫なんだよね、本当に?」
ジュリアは、何度も乃菊の身に起こる出来事に、不安が蓄積しているようだ。
「ごめんね、心配ばかりさせちゃって」
笑顔で答える。
「その顔なら一安心だな・・・」
ジュリアは、乃菊の笑顔をみて、一先ずホッとする。
「私だって、心配ばかりして、寿命が10年くらい縮んだかも」
真阿子も同じような状況だ。
「ごめんね、100歳までしか生きられなくなっちゃったね」
乃菊が真顔で言う。
「ええ、私の寿命は、110歳だったってこと?」
真阿子がふざけて驚く。
「もう少し頑張れば、長寿世界一だったのにね」
ジュリアが冗談を言い、みんなが笑う。
「そう言えば、有名な占い師さんが、真阿子は、長生きするって言ってたよね」
みおんが、番組で占ったことを思い出した。
「そうだった。でも、あの占い師さん、ひいおばあちゃんが100歳まで生きてたの知ってたのよ、きっと・・・」
インチキ占い師と言いたいのか・・・?
「でも、真阿子が長生きするのは、のぎちゃんも証明したから、ホントだね」
「真阿子の次は、亜美かな」
「そうだよね、次は亜美ちゃんだね」
「私もそう思う」
「でも、亜美だったら、真阿子より長生きするも」
「そうだよ、真阿子が100歳まで寿命が縮んじゃったから、チャンスだよね」
みおんとジュリアと真阿子の三人で、話が盛り上がっている。
「みんなで冗談ばかり言わないでよ。私は浮かんでこないんだから・・・」
仲間外れにされている気分の亜美が、やっと話に加わる。
「亜美はいいのよ。無理しなくても、天然だから」
「どういうことですか、それって・・・」
ジュリアの言葉に、一人憤慨する亜美。
「荷物が来たから、みんなは、下へ行こうか」
田沢が状況を見て、大人の対応をする。
「行きましょ」
みおんも気づいて従う。
「行こ、行こ!」
ジュリアも真阿子も続く。
「どういうことですか、ジュリアちゃん!」
亜美も仕方なくついて行く。
「それにしても、国也様って、乃菊ちゃんあんなキャラだったっけ?」
「おじさんも、乃菊って呼び捨てにするんですよ」
ブツブツ言いながら、廊下を歩いて行くメンバーたちである・・・。




