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受け止める

夕衣が警察官に支えられて、表の歩道へ出てくると、国也がビルの前で手を伸ばし、光のようなものを上に向かって送っている姿を目にする。

「ダイコクさん・・・」

見たこともない異様な光景だが、その光は、屋上に向かっており、当然それが何のためなのかが、夕衣にはすぐに理解が出来た。

「乃菊ちゃん!」

屋上のフェンスを乗り越え、乃菊が地上へ向かって落下して来る。

「ダイコクさん、乃菊ちゃんを助けて・・・」

声には出さなかったが、夕衣は、国也に願いを託した。


「乃菊!」

国也の視線の先には、屋上から落下して来る乃菊と、その身体に戻って行く光る大蛇の姿があった。

「をおおお・・・!」

国也の手から発する光は、乃菊の身体まで到達し、しだいに光の受け皿のように広がっていき、受け皿となって乃菊の身体を包み込む。

「はあああ・・・!」

乃菊の身体は、スピードを弱めて、光の受け皿と共に降りてくる。

「うわっ!」

数メートル先で光の受け皿は消え、それと同時に乃菊の身体がそのまま国也の上に落下して来て、慌てて国也は、手を広げて乃菊を受け止めた。

「痛たた・・・」

近くからとはいえ、落下して来る人間の身体を受け止めるのは困難だ。当然国也は、乃菊の身体の勢いに自分自身も腰から地面に叩きつけられた。

「ダイコクさん!」

支えられたまま、夕衣も国也のところへやって来る。

「あ、痛、あ、あ、の、乃菊!」

苦痛に顔をしかめながらも、乃菊をしっかり抱いていた国也。すぐに乃菊の顔を見る。

「乃菊!」

顔には、血を流した痕や青あざがあり、パジャマにも血痕がたくさんあった。

「こんなに・・・」

左手で頭を抱えて、顔色を窺うが、唇も青く生気がない。お腹を見るとぐっしょりとパジャマが血で濡れている。

「死なないでくれ・・・」

国也は、乃菊の顔に頬を寄せる。

「何なんだ、今のは・・・。君、大丈夫か?」

国也の近くにいた警察官も寄って来るが、一連の光景を見て、顔は青ざめている。

「ダイコクさん、乃菊ちゃんは・・・?」

別の警察官に支えられてやってきた夕衣も、国也に声をかける。

「酷い怪我だな、今、救急車が来るから」

夕衣を支えている警察官が言う。

「乃菊・・・」

国也が声をかけると、乃菊の瞼がピクリと動く。しかし苦痛で開くことが出来ない。

「国也様、いますか・・・?」

乃菊が消え入りそうな声で、国也を呼ぶ。

「いるよ、しっかり乃菊を受け止めたよ」

国也が答える。

「ありがとう、ございます。お礼に、欧米、式の、挨拶、して、いいよ・・・」

国也は、周りを気にせず、乃菊の顔を引き寄せ、血のついた唇にキスをした。

「この女の子は、アイドルですよね?二人は、恋人同士なんですか?」

夕衣を支えている警察官が、小声で夕衣に聞く。

「いいえ、身内です。これは、挨拶です・・・」

夕衣は、キスをする二人の姿を見て、ホッとする。

「救急車が来たぞ!」

サイレンが大きくなり、赤色灯が国也たちの近くまでやって来た。

「大丈夫か、乃菊?」

「うん、何とか生きてる・・・」

「そうか、すぐに病院に送ってもらえるから・・・」

二人は、手を握り合っていた・・・。


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